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未完成でも次元の違う強さ見せたクリソベリル/ジャパンダートダービー回顧(斎藤修)

7/11(木) 20:00配信

netkeiba.com

 ここまで無敗で断然人気に支持されたクリソベリルが、まさに次元の違う強さを見せつけた。その相手になったのは、2着のデルマルーヴルだけ。

 逃げたヒカリオーソがつくった1000m通過62秒1という淀みのない平均ペース(これについてはまたあとで触れる)を、デルマルーヴルは流れに乗って4番手を追走。

 一方のクリソベリルは、スタート後の直線こそ行きたがる素振りを見せたが、向正面ではうまくなだめて折り合いを付け、中団の砂をかぶらない外目を追走した。

 デルマルーヴルの戸崎騎手は、少なくとも向正面で一度、直線に入って一度、そのほか映像に映っていないところでもおそらく何度かうしろを振り返り、クリソベリルの位置を確認していた。

 我慢できるところまで我慢して、クリソベリルに並びかけられる前に追い出して、どこまで我慢できるか、という競馬。そのとおり、4コーナーで2番手の一線に並び、残り200mで先頭に立った。しかしそれも一瞬のこと。直後に迫っていたクリソベリルが並ぶ間もなく抜き去った。

 クリソベリルはこれがデビュー4戦目とメンバー中もっとも少ないレース経験での出走。デビューは2歳9月だが、それから約半年のブランクがあり、3歳初戦が3月。そこからまた2カ月、2カ月という間隔でじっくり仕上げられてきた。

「ポテンシャルの高さに体の成長が追いついていない」(川田騎手)、「まだ競馬を教えている段階」(音無調教師)ということだから、順調に成長すれば昨年のルヴァンスレーヴ級の活躍を期待してよさそうだ。

 音無調教師は、全兄クリソライトとは性格も馬体も違うと話してした。クリソライトはこのジャパンダートダービーを7馬身差で圧勝し、そのほか地方のJpnIIを4勝と、韓国のコリアCを勝つなど活躍した。

 ただ揉まれ弱い面があり、勝つときは強いが負けるときはあっさりという危うさもあった。しかし弟のクリソベリルはキャリア4戦ながら、レースの流れや相手次第でどこからでもレースができる安定した強さを見せたということでは、当然兄以上の期待ということになるのだろう。

 クリソベリルの強さが際立ったレースだったが、ただそれは例年と比較して出走したJRA勢の層が薄かったということもあった。

 この世代のダート路線では、ここまでオープン以上の勝利があったオーヴァルエース、デュープロセス、マドラスチェック、ノーヴァレンダらに、アメリカに遠征したマスターフェンサーという存在もあった。

 それらが休養や別路線に進んだことで、例年であれば除外の可能性が高い1勝クラス(500万下)勝ちまでというトイガー、メスキータに、1勝クラスでも勝ちきれないドウドウキリシマらが出走できたが、やはり掲示板には届かず。そのぶん、南関東のクラシック上位馬が3~5着に食い込むという結果でもあった。

 ヨーロッパの競馬でよくあるようなラビット的な役割を果たし、どの馬も能力を発揮できるような流れを演出したのがヒカリオーソ。

 それが前半1000mが62秒1、後半64秒0という流れで、最後に37秒4という上りの脚を使ったクリソベリルの勝ちタイムが2分6秒1。近年やや時計がかかるようになった大井の馬場で、過去4年の勝ちタイムがいずれも2分5秒台後半だったから、勝ちタイムとしては標準的なもの。

 前半が淀みなく流れたぶん、羽田盃を勝ったミューチャリーは後方2番手という位置からの追走となったが、メンバー中最速の37秒1という持ち味の末脚を発揮し、デルマルーヴルにアタマ差まで迫っての3着。

 あわや2着かという場面だったが、デルマルーヴルはクリソベリルに真っ向勝負を挑んでということを考えると、その着差以上に能力差はあったかもしれない。

 羽田盃2着、東京ダービー3着というウィンターフェルも中団追走から37秒5の上りで、ミューチャリーにアタマ差の4着。直線で遊んでしまう気性的に難しい面が指摘され、持てる能力を発揮しきれず、それがここまで重賞で2着5回という成績にも表れている。しかし相手が強くなればそのぶん力を発揮するという能力の高さはあらためて示した。

 逃げたヒカリオーソはやや差があっての5着。東京ダービーは、逃げたイグナシオドーロの2番手から早め先頭で押し切ったが、そのときは前半65秒6という超スローペースで、後半が63秒8。勝ちタイムも2分9秒4と、東京ダービーが2000mになってからもっとも遅い勝ちタイムだった。

 しかし今回は単騎の逃げで、走破タイム2分7秒2での5着は、東京ダービー馬として恥ずかしくない結果だった。

 JRAのその他有力馬では、デアフルーグはクリソベリルをマークする形で直後を追走したが直線半ばで置かれてしまい8着。

「疲れがあったかもしれない」(津村騎手)とのこと。

 2番手を追走していたロードグラディオは道中かなり力んで走っているように見え、直線で手応えをなくして10着。前走初ダートで古馬2勝クラスを勝っていたが、地方の馬場は合わなかったかもしれない。

 さて、勝ったクリソベリルだが、音無調教師やオーナーサイドも話していたが、ダート3歳戦では、ここを勝ってしまうと秋のGI/JpnIで古馬と対戦するまで使うところが難しい。

 GI/JpnIを勝ったことで斤量を背負わされてしまうからだ。これについてはまたあらためて機会があれば取り上げたい問題だが、ダート競馬が芝の補完的な役割だった一昔前とは違い、今はJRAでも2歳時から一貫してダートのみを使う馬もめずらしくなくなった。

 3歳ダート路線は、距離面も含めてさらに一歩進んだ整備がされてもいいのではないか。

最終更新:7/11(木) 20:10
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