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開発者インタビュー:フィルム写真に徹底的にこだわったデジタル。富士フイルム「Xシリーズ」と「X-T3」

7/11(木) 21:02配信

テレ東プラス

テレ東プラス編集部と少女写真家 飯田エリカさんが、映像作品『ひかりあつめ』を制作するにあたり、最初に行ったのが、今回のテーマであり撮影機材でもあるX-T3がどんなカメラなのかを紐解くインタビューです。

取材対象は、X-T3はもちろん、その他の富士フイルムのミラーレスカメラ「Xシリーズ」の商品開発を手がけてきた、富士フイルム 光学・電子映像事業部の営業グループ統括マネージャーである上野 隆さんです。

フィルムカメラの歴史をデジタルに取り込み新しい価値を生んだ、富士フイルムのミラーレス。

―富士フイルムのミラーレスカメラの商品開発を手がける上野さんですが、もともとはフィルムを専門としていて、デジタルカメラとは無縁だったそうですね?

「はい。以前はプロフェッショナル写真部という、プロの写真家さんにフィルムを使ってもらうための部署で仕事をしていました。そこでは『デジタル時代にフィルムで撮る写真愛好家を増やす』というミッションのもと、写真教室やいろんなイベントを仕掛けていました。ですが、2010年に富士フイルムのデジカメチームが従来のコンパクトデジカメではなく高級カメラにチャレンジすることになり、アドバンストアマチュアとプロを相手にしてきた僕がアドバイザーとして呼ばれました。そこで初めて手がけたデジタルカメラがX100というカメラです」

―X100はとてもクラシカルな印象のカメラです。

「前から見るとフィルムカメラのようにしか見えないカメラです。僕自身、小さい頃からずっと何十台とフィルムカメラを使ってきた中で『カメラはこうあってほしい』という強い思いがあるんです。だから他社のデジタル一眼レフカメラには全く惹かれるところがなく、フィルムの部署にいた時はライカ、ハッセルブラッド、ローライフレックス、コンタックスといったカメラを使っていました」

―どれもやはりクラシックな印象の強いカメラメーカーですね。

「AFもなく、全部ダイヤルで設定し、一枚ずつフィルムを手で巻き上げながら大事に撮るカメラです。だからデジタルによくある『1秒間◯コマ撮れます』みたいな売り文句は正直どうでもいいと思ってました(笑)ライカのカメラがなぜスナップ写真を撮りやすいかといったら、電源を入れなくてもシャッタースピードや絞りなどのセッティングができるからなんですよね。そういうことがカメラにとっていかに大事なのか、ということをスタッフに強烈に説明しました。その結果できたカメラがX100でした。ただ、当時のEVFは表示の遅延がすごかったので『スルーファインダーにしてください』と伝えたら、スルーファインダーとEVFを切り替えるという、私の予想以上のファインダーを開発者が返してくれて、それには良い意味で驚かされました(笑)」

―デジタルとフィルムの癒合で新たな価値が生まれたのですね。

「X100はおかげさまで評判になり、新聞社などからたくさんの取材を受け『新しいコンセプトですよね』と言われました。でも、基本的には新しくもなんともないんですよ。フィルムカメラの撮像素子をデジタルにしただけなので。フィルムカメラには、ライカやニコン、キヤノンなど、各社が使いやすくシャッターチャンスを逃さないように一生懸命考えてきた歴史があるんです。基本的に僕らは従来のデジカメが勝手に放棄していた、それらの要素を取り込んだだけなのです」

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最終更新:7/11(木) 21:02
テレ東プラス

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