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異常細胞発見はデジタルよりアナログ頼り

7/11(木) 10:00配信

日刊スポーツ

<白血病を知ろう!(7)>

トップアスリートやシンガー・ソングライターらが相次いで闘病を公表した「白血病」-。血液のがんであるこの病気の発生率は、年々上昇しているといいます。その病因は不明のケースが多く、検査、治療も長期間に及びます。米国の血液内科マニュアルを独学で修得した、自称「さすらいの血液内科医」、東京品川病院血液内科副部長・若杉恵介氏(48)が「白血病を知ろう!」と題して、この病気をわかりやすく解説します。

  ◇   ◇   ◇  

疑うにせよ、疑わないにせよ、白血病が発見されるきっかけは、採血検査になります。特に血算(けっさん)と呼ばれる血液の成分の量(白血球数やヘモグロビンの量など)と、白血球分画と呼ばれる各種白血球の構成の割合の解析が重要です。

白血球分画は、自動分析器による機械式(デジタル)と、検査技師が顕微鏡で数える鏡検式(アナログ)があります。

血液内科医としては鏡検式を大切にしていますが、その検査の質は、顕微鏡を見る「検体検査技師」の優秀さに依存します。ごくごくわずかな異常細胞(白血病細胞=芽球〈がきゅう〉)を見つけてもらうことで、白血病の患者さんを発見したり、その再発を察知したり、ということになります。

治療中も、採血検査は週2~3回行うことが多いので、患者さんは何度も採血されて大変です。でも、それが血液内科で薬の効果や感染症の早期発見につながるのです。診断の時もそうですが、検査をしないとわからない世界です。

実は顕微鏡で見て、正常幹細胞と白血病の幹細胞は、あまり見た目は変わりません。両方とも芽球と呼ばれます。一目見ただけで、白血病=異常といえる芽球が多いのですが、逆に「これは正常です」と言い切れる芽球の線引きはないのです。最初の治療である寛解導入療法で、採血血液の中の(この場合は白血病の)芽球が減っていくのですが、途中で増え始める時があると「治療失敗か?」と思う時もあります。

多くの場合は、今まで抑え込まれていた正常の骨髄が、急に元気になってできた芽球(きれいな芽球?)です。でも、「大丈夫、大丈夫、正常な骨髄の回復だから」と思っていたら、急激に増加して、白血病細胞と判明したりすると、患者さんに「どうやって説明しようか?」と途方に暮れてしまいます。

いずれにせよ、検体検査技師がいないと、血液内科医は全く仕事になりません。「頭が上がらない」と、言ったほうがいいかもしれないほどです。

◆若杉恵介(わかすぎ・けいすけ)1971年(昭46)東京都生まれ。96年、東京医科大学医学部卒。病理診断学を研さん後、臨床医として同愛記念病院勤務。米国の血液内科マニュアルに準拠して白血病治療をほぼ独学で学ぶ。多摩北部医療センターなどを経て、18年から現職の東京品川病院血液内科副部長。自称「さすらいの血液内科医」。趣味は喫茶店巡りと読書。特技はデジタル機器収集。

最終更新:7/11(木) 10:06
日刊スポーツ

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