ここから本文です

「栗林慧全仕事」 熱中少年が手に入れた〝昆虫の目〟【あの名作その時代シリーズ】

7/12(金) 12:30配信 有料

西日本新聞

草原のひょうきん者・ショウリョウバッタ(栗林慧さん提供)

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は06年12月3日付のものです。

**********

 おそらく多くの読者が、どこかで一度は目にしたことがあるはずだ。虫の目線で見たような、迫力満点の虫の写真。通称「虫の目レンズ」で撮影された作品である。

 〈虫=小さな生物〉という固定観念を吹っ飛ばすように圧倒的な存在感を放つ昆虫たちは、まるで恐竜だ。見ているうちに、別世界に迷い込んだような不思議な気持ちになる。実際の虫の目に映る世界は、複眼の構造やその位置から、人間と比べてはるかに視野は広く(時に三六〇度)、ずっと解像度が低い。つまり、写真のような像ではないのだ。

 「人間であるぼくが『虫の目』を手に入れて、撮影できたんです」

 栗林慧さん(67)はうれしそうに解説してくれた。一般的な接写レンズでは、虫は写せても背景はボケてしまう。手前の虫を拡大しながら、遠距離まで写し込めるのが栗林さんが独自に開発した「虫の目レンズ」による写真である。「内視鏡やビデオカメラなどいろんなレンズを使って、二十年近い試行錯誤を重ねました。たどり着いたのが、急速に精度がアップした監視カメラの小さなレンズ」。セキュリティー社会の思わぬ副産物というわけだ。 本文:2,649文字 写真:1枚

続きをお読みいただくには、記事の購入が必要です。

すでに購入済みの方はログインしてください。

  • 税込216
    使えます

サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。 購入後に記事が表示されない場合はページを再度読み込んでください。 購入した記事は購読一覧で確認できます。

西日本新聞

最終更新:7/12(金) 12:30
西日本新聞

おすすめの有料記事

使えます

もっと見る