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睡眠の質を上げるには

7/12(金) 7:01配信

マイナビニュース

睡眠の質を上げるには

悩み多きビジネスパーソン。それぞれの悩みに効くビジネス書を、作家・書評家の印南敦史さんに選書していただきます。今回は、残業で睡眠不足が続き、睡眠の質を高めたいと悩んでいる人のためのビジネス書です。

■今回のお悩み

「残業続きで睡眠不足が続いています。睡眠の質を高める方法はありますか」(46歳男性/専門職関連)


働き方改革の影響で残業禁止の会社が増えたとはいえ、単純に「だから残業がゼロになるぞー!」とは考えにくいものだったりもします。時流がどうあろうと、相変わらず終電近くまで残業せざるを得ないというかたも、決して少なくないはずだからです。

ましてや残業のみならず、その原因ともいうべき精神的なストレスまでもがそこに加わったりもするのです。休まる暇はないわけで、慢性的な睡眠不足になったとしても無理はないのかもしれません。

しかも、「寝だめができるから」「ショートスリーパーだから」など、独自の理論で睡眠不足を正当化する人すら存在します。もちろん寝だめができる人だっていないわけではないでしょうし、ショートスリーパーにしてもまたしかり。

とはいえ、眠るべきときにはしっかり眠り、起きている時間は効率的に動く。そんな当たり前の生活習慣が、やはりいちばん効果的なのではないでしょうか?

「でも、理屈じゃ理解してるけど、現実問題として睡眠の質がよくないんだよ」

たしかにそうですよね。それができないからこそ、悩まなくてはならなくなるのですから。そこで、今回もビジネス書の力を借りてみることにしましょう。

睡眠時間の確保する「5大片付け」

「人生を好転させるため」「納得のいく理想の人生を描くため」などと、睡眠時間を削って仕事をするのは逆効果。そう断言するのは、『昼間のパフォーマンスを最大にする 正しい眠り方』(友野なお 著、WAVE出版)の著者。

というのも著者自身が、過去に睡眠の関連した失敗を経験しているのです。いまでこそ毎日ぐっすり眠れて心身ともに健康であるものの、以前は睡眠をおろそかにしていたということ。

1日2時間程度しか眠らない日があったり、明け方に寝て昼ごろに起きる日があったりと、睡眠・覚醒のリズムが大きく崩れてしまったのだとか。そればかりか重度のパニック障害に悩まされていたというのですから、まさに逃げ道なし。

しかも、なんとかしようと睡眠時間を削って情報収集をしていたため、悪化するばかり。でもそんなとき、お母様から「一度すべて忘れてぐっすり寝なさい」と言われたことがきっかけで、人生が180度好転したのだそうです。

つまり本書における主張の根底には、そうした自身の体験があるわけです。なかでも、すぐに役立ちそうな情報として注目したいのが、「5大片づけ」によって睡眠時間を生み出そうという発想。いらないものを片づければ、睡眠時間を確保できるという考え方です。

ちなみに片づけるべき5項目として著者が挙げているのは、(1)「時間」(2)「人脈」(3)「心」(4)「情報」(5)「部屋」。

(1)「時間」に関しては、「なにに」「どれだけ」の時間を割いているのかを客観視するための行動表をつくれば、無駄な習慣に気づくことができるということ。(2)「人脈」は、SNSで多くの人とつながれる時代だからこそ、定期的に「人脈の整理」をすべきだという考え方。

(3)「心」とは、「ああすればよかった」などと、1日の自分の行動を振り返って反省材料を探してしまうことの問題。必然的にそれはネガティブ思考に寄ってしまうため、片づけてしまったほうがいいというわけです。

(4)「情報」については言わずもがな。情報にさらされている時代だからこそ、意識的にデジタルデトックスをするべきだということ。また、片づいていない空間では意識が低下し、心が乱れがち、その結果、無駄な時間を浪費してしまうことになるため、(5)「部屋」の片づけも重要なポイントに。

このように、ちょっとした無駄を排除していけば、睡眠時間を確保しやすくなり、精神的にも安定するというわけです。当たり前だからこそ、頭の隅にとどめておきたいことではあります。

7分で眠れる「安眠マッサージ」のポイント

『7分で眠れる超熟睡法(不眠症だった医師がついに考案した裏ワザ)』(小野垣義男 著、マキノ出版)の著者は、30年間不眠に悩んできたという過去を持つ内科医。しかし現在は、本書で紹介している「7分で眠れる・熟睡できる」方法によって、不眠に悩む多くの患者さんを改善へと導いているのだそうです。

それは、ふだん「100数え下肢(かし)のマッサージ」と呼んでいるもの。本書では簡略化し、「安眠マッサージ」の名称で話が進められていきます。

著者によれば、安眠マッサージは子どもから高齢者まで年齢、性別を問わず手軽に行える安眠術。誰もが容易に雑念を払いのけることができ、個人差はあるものの、慣れてくれば10分足らず、7分もあれば眠りにつけるのだといいます。


安眠マッサージのポイントは3つです。

(1)横向きに寝る

(2)片方(上)の足で、反対(下)の足をさする

(3)足をさすりながら数を数える

(「はじめに~グッスリ眠れることは何よりもの幸せ~」より)


これだけで、眠れない焦りや苦しさを断ち切り、なにも考えず、穏やかに眠れるようになるというのです。

(1)「横向きに寝る」のは、そのほうが体にとって自然で眠りやすいから。体の右側か左側を下にして横向きに寝るのが基本だそうです。安眠マッサージをする際には、足が疲れないようにすることが大切で、お腹がベッドにつくくらい体を深く傾けること。すると上の足のひざがベッドにつき、そこを支点にして足を動かせるので疲れないのだといいます。

次は(2)「上になった足で下の足をさする」について。体の右側を下にして寝ている場合であれば、上になっている左足で、下になっている右足のふくらはぎや足の裏などをさすることを著者は勧めています。

大事なのは、やっている最中に疲れないようにすること。足をさするのがつらいときは、体の向きなどを適宜変え、自分がいちばん安定して、楽に行える姿勢が適しているそうです。

最後の(3)は、足をさする動きを1往復ずつ、1、2、3……と100まで数えるという動作。眠くなって間違えそうになっても、集中して100まで数えることが大切だと著者は言います。

数を数えながら足をさすることで、眠れない心配やイライラ、あせりを遮断し、なにも考えないことが可能になるというのです。たしかにこれだけなら、すぐにでもトライしてみることができそうです。

就寝3時間前には家に帰ろう


眠気は脳の疲労のサインです。脳が疲労すると、若い感受性の強い人は眠気を強く感じます。しかし、睡眠不足にさらされ続けると感受性が低下し、眠気を感じにくくなってしまいます。脳の働きが「ビジネス・パフォーマンスの基盤」と言っても異論のある人はいないでしょう。疲労した脳では能力は発揮できず、脳の疲労回復の唯一の手段は、睡眠です。仕事中に眠気を感じる人、あるいは眠気を感じなくなっている人は、睡眠を見直すことが必要でしょう。(「プロローグ」より)


『ビジネスパーソンのための快眠読本』(白川修一郎 著、ウェッジ)の冒頭にはこう書かれています。睡眠評価研究機構代表という肩書きを持つ著者は、JR東海など企業の睡眠教育に関わっている睡眠研究のパイオニア。

本書ではそのようなキャリアを軸として、ビジネスパーソンが快適な睡眠をとるための「どうしたら」、そしてその背景である「なぜ」についてわかりやすく解説しているわけです。

なかでも興味深いのは、睡眠とタイミングとの関係です。というのも著者は、「就寝3時間前には家に帰ろう」と促しているのです。


寝つきに大きく影響する交感神経の活動は、習慣的な就寝時刻のほぼ30分前から休息モードに入り始めます。覚醒拮抗作用があり眠気を誘いやすくなるホルモンのメラトニンも、習慣的な就寝時刻の1~2時間前から分泌が始まります。(112ページより)


そしてメラトニン分泌には、交感神経が興奮していると分泌されにくいという特徴があるのだといいます。でも満員電車に揺られて帰宅、車を運転して帰宅、急ぎ足で帰宅、どれも交感神経を興奮させてしまうことに。

そのため、可能であれば就寝時刻の3時間前には帰宅し、食事をとり、ゆっくり入浴し、就寝1時間前からは明かりを落としてリラックスし、覚醒モードから睡眠モードへ切り替える準備ができればベストだということ。

そうしたサイクルをすぐに取り入れることは難しいかもしれませんが、少しずつ試しながら習慣化してみれば、睡眠の質を段階的に高めていけるのではないでしょうか。


これら3冊を読んでみて感じたのは、睡眠の質を高めるためには、その大前提として生活習慣そのものを見なおす必要があるということ。当たり前ではありますが、それは現実的に、なかなかできないことでもあります。

そこで、この3冊を参考にしながらご自身の生活習慣を再確認し、修正が必要なところを段階的に修正してみては? そんな些細なことが、快適な睡眠への入り口になる可能性があるのですから。


著者プロフィール: 印南敦史(いんなみ・あつし)


作家、書評家、フリーランスライター、編集者。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家としても月間50本以上の書評を執筆中。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)ほか著書多数。

印南敦史

最終更新:7/12(金) 7:01
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