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UQ菅新社長インタビュー、端末販売方法から5Gへの取り組みまで

7/12(金) 7:00配信

Impress Watch

 モバイルブロードバンドとMVNOサービス「UQ mobile」を手掛けるUQコミュニケーションズは、J.D.パワーの調査で、ワイヤレスホームルーターサービス、格安スマートフォンサービス、格安SIMカードサービスの3部門で顧客満足度1位を受賞している。

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 そんな中、6月13日付で代表取締役社長に就任した菅隆志氏に、端末割引や解約金の問題など現在の携帯業界、また今後の5Gに向けた取り組みについて聞いた。

■UQ mobileはユーザーから高評価、今後も通信品質は維持したい――最近のUQコミュニケーションズ(以下、UQ)は、モバイルブロードバンドサービスよりも、MVNOサービスのUQ mobileの方が印象が強いです。格安スマホ市場への手ごたえはどのように評価していますか。

菅氏
 J.D.パワーの調査やユーザーの生の声、ネットの評価を見ていると、大手キャリアに対しては料金面面で評価されています。また、通信品質が安定していると声もいただいています。

 (他のMVNOサービスは)ランチタイムが(通信速度が下がり)使いにくいと言われる中、UQ mobileは安定していると声をいただいており、我々にとっては強みだと考えています。ユーザーに満足いただけるような通信品質の安定的な提供は優先して取り組んでいきたいですね。

――テレビCMも継続的に流し、ブランド構築にも取り組んでいます。ユーザーを獲得する上で、次に取り組むべきことは何ですか。

菅氏
 まず、今の通信品質は維持していきたいです。WiMAX提供開始から10年経ちますが、これまでそれなりに右肩上がりで成長してきました。

 当社は、モバイルインターネットの世界を切り開いてきたと自負していますが、創業当初のベンチャー精神が少し曇ってきている面があるかもしれません。今後もMVNOの中でしっかりポジションを確立するためにも、創業当時に戻って、生き残りをかけた戦いをしていかなければならないと考えています。

■ホームIoTサービスなど、新しいサービス領域を検討――UQがこれまでにない新しい領域に取り組む考えはありますか。

菅氏
 やはりこれから、次の10年に向けた「成長の礎」みたいなものを作る必要があると考えてはいます。ただ、現段階ではまだお話しできません。

――6月には、家庭向けのIoTサービス「UQ×with HOME」を提供開始しています。このサービスは新しい領域の取り組みのひとつになりますか。

菅氏
 IoTサービスは、大きな流れとしてはひとつの方向と思っています。KDDIさんでホームIoT以外でもキャリアフリーで展開していくということなので、ユーザーが利便性を感じていただけるようなものであれば、積極的に領域は広げていきたいですね。

――UQの立場からすると、KDDIのサービスは取り入れやすいと思います。KDDIが取り組むFinTech領域なども提供したいと考えていますか。

菅氏
 その領域もスコープの1つにはいってますね。

――そうなると、ユーザーとしてはUQとauの違いを見つけにくくなってしまいます。引き続き、料金面などでユーザーに選んでもらうのか、その他に差別化できるものを用意するのでしょうか。

菅氏
 サービスのコアとなる通信については(KDDIさんと)ある程度被る部分があるものの、それなりには棲み分けもあると思います。別会社なので、それぞれがマーケットの中で戦えばいい。MNOとMVNOということで、料金面以外でもいろいろな違いがあります。

 その中で、プラスアルファとして、ホームIoT領域にも取り組みます。KDDIさんが手掛けている“ライフデザイン戦略”に関連するサービスを当社が手掛けるからといって、同じようなターゲット層にはならないと思います。

■KDDIが提供しているから、サービスを提供していくわけではない

――UQは一般的にBIGLOBEと並んで、“auのサブブランド”と目されることが多いです。

菅氏
 ユーザーがどこまで意識しているかですね。KDDIから3分の1の出資があることを知っている方もおられますが、知らない方もいます。

 たとえば、Y!mobile(ワイモバイル)はソフトバンクと両ブランドを掲げた店舗を展開しています。そのような展開をすれば、関係性がある会社と思ってもらえるでしょう。

 UQスポットで一部、auを取り扱っていることはありますが、そこまでユーザーには(UQとKDDIの関係性は)知れ渡っていないでしょう。

――なるほど。そうなるとユーザーには、UQとauが違うものと認識されている中で、KDDIが提供するサービスを取り入れていくのは、UQを認知しているユーザーにとっては、興味を持ってもらえるということでしょうか。

菅氏
 auを意識しなくても、我々がサービスを提供することによって、ユーザーにいかによろこんでいただけるかということですね。ただ、auがやっているからやる、という訳ではないです。ユーザー視点で価値があるサービスを提供していきます。

■解約金に関する省令はUQにとってチャンス、今後の端末販売の方法は検討――格安スマホ市場はここ数年で成長が鈍化しているという調査結果があります。次の商戦期に向けて今の市場をどう見ていますか。

菅氏
 市場の伸びは以前より鈍化していると思います。一方でユーザーの料金への関心は、菅官房長官の発言によるものもあり、高まっているかなと思います。

 端末割引、解約金の話もあります。MNOが提供する料金プランが値下がりして、(当社が提供しているプランに)料金が近くなれば、マイナスの影響はあるでしょう。しかし、解約金が下がり、端末の流動性が落ちれば、MVNOにとってはチャンスになります。

 当社は100万回線以上の加入があり、新ルールで定められた禁止行為の規制対象となりました。解約金を1000円にするかどうかは別の話ですが、対象キャリアの流動性が高まるのはみなさん一緒です。当社はユーザーの母数が違うのでここはチャンスですね。

――解約金が下がっても、手続きの面倒さなどで乗り換えないユーザーもいるそうです。

菅氏
 たしかに通信事業者同士の流動性が高まるかどうかは、解約金の面だけではないと思います。MNPの手数料と契約事務手数料で6000円程度発生します。(乗り換えるにあたって)本当に1000円だけだったら、また違うと思いますが、プラス6000円となると、個人的には、劇的に流動性が高まるとは思っていません。

――これまで続けてきた端末販売の方法は、法改正などがこのままいった場合、手を入れないといけないという考えですか。

菅氏
 その通りです。残り日数は少ないですが、検討しているところです。

――店頭スタッフへの浸透などを考えると、残り時間は少ないと思いますが、どのくらいの期間があると思ってますか。

菅氏
 9月に入れば、それなりにアナウンスしていかないと、間に合わないでしょうね。

――となると、カタログなどの印刷を考えると本当に時間がないですね。

菅氏
 その通りですね。印刷物は完成まで時間かかりますからね(笑)

――MNOでは、料金の値下げにより、収入が低下し、キャリアショップの運営が厳しくなり、ショップが閉鎖されるのではという見方もでています。5Gではインフラの共有などが実現されますが、店舗の運営にあたってはUQとau、UQとBIGLOBEの同一店舗はあり得るのでしょうか。

菅氏
 MNOは、2000店以上展開していてそれなりの維持コストがかかっているでしょうね。料金値下げの結果として、ショップが減ってしまうのは流れとしてそうならざるを得ないです。単純に減らせばいいのではなく、2個を1個にして、利便性を損なわずに経営効率を高める取り組みは必要だと思います。

 我々は、店舗数を広げている段階なので今すぐ波及があるとは思いませんね。(店舗の共有について)斬新な発想ですね(笑)正直なところ今のところは考えていません。

■WiMAXとUQ mobileのセット割「ギガMAX月割」、ユーザーの解約率低減に――売り方を見直していく中で、ユーザーにはどのようにサービスを提供していきたいですか。

菅氏
 我々が提供しているサービスのベースは、WiMAXとモバイル通信です。まさしく今、両方をセットで契約すると月額料金を割り引く「ギガMAX月割」を提供しています。

 これは我々のアセットを生かした訴求と思っています。

――ギガMAX月割の手ごたえはありましたか。

菅氏
 数字は開示していませんが、好評ですね。セットで新規に加入する方だけでなく、すでに両サービスを利用していたユーザーにも入っていただけました。店頭ではセットで使ってもらうことを訴求しています。

 おかげさまでJ.D.パワーの評価では、ホームルーターを含む、3部門で1位をとりました。第三者機関から、ユーザーの満足度が高いと評価を受けていますので、セットで提供することでユーザーにとって満足度が高いと思います。

――セットで提供すると、UQから離れるユーザーも少なくなりますよね。

菅氏
 そうですね。他キャリアでもそうですが、バンドルすることで解約率は低減するので我々としても促進していきたいです。

――今後、携帯業界を取り組む上での大きな課題は、規制が変わることが最も大きなところでしょうか。

菅氏
 そうですね。一番大きい点です。あとは新規参入される楽天さんの動向が読めませんね。既存のプレイヤーはなんとなく動きが読めますけど、楽天さんは読めませんね。

――新規の事業者ということでもちろん、読めない点もあるとは思いますが、ライバルをどのように分析していますか。

菅氏
 あんまり言いたくないですね。まだ言うタイミングではないと思います。

■UQの5Gへの取り組み――UQとしては5G時代にどのように取り組んでいきたいですか。

菅氏
 5Gの要素技術として「Massive MIMO」が挙げられます。すでに当社でも、WiMAX 2+でスタジアムなど、人込みで効果が出やすいところに対応アンテナを設置しています。実際に効果も出ており、もっと高度化を実現しなければと思います。

 5Gの周波数は楽天を入れた4社が割り当てられました。当社としてはすでに持っているバンド41を今後どのように使っていくのがポイントですね。まさしく今、審議会の技術検討部会で既存バンドのNR化というところをどのように整理しようか進めているところです。進捗動向を見ながら、5Gの中で利用していくか、またKDDIのバンドとあわせてどのように貢献できるかしっかり整理していきたいです。

――5Gデバイスの調達についても問題ないとお考えですか。

菅氏
 まだ、はっきりとはわかっていないです。ただ、バンド41はグローバルでは5Gとして展開されています。そういった面では(調達がしやすいといった)可能性はあります。

――MNOでは5Gは使い放題として提供することを示しています。WiMAXで提供してきたサービスもそれに近いものがあります。エリアの違いはありますが、どのように差別化していくきますか。

菅氏
 料金面を語るには、まだ時期尚早でしょう。周波数もどうなるかわかりませんし。

――5G時代となってもUQの果たす役割は維持されていきますか。

菅氏
 モバイルブロードバンドとMVNOサービスについてはすぐにどうのこうのなるわけではないですね。今後も提供価値としてコアになっていくと思います。

――最後に読者に向けたメッセージをお願いします。

菅氏
 社内では、UQってエッジが効いた、キラッと光るようなそういう存在感のある会社にしてきたいと言っています。ユーザーに向けて、存在感だけではなく、そういった光るものを提供していきたいと思います。

 具体的には、現段階でお話しできるものはありませんが「おっ! UQがこんなものまた出してきた」と、ワクワク感を持ってもらえるようなことを継続していき、発信していきたいと思います。

――ありがとうございました。

ケータイ Watch,石井 孝幸

最終更新:7/12(金) 7:00
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