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「一つの区切り」「岩盤動かした」ハンセン病訴訟、首相談話に原告安堵

7/12(金) 18:46配信

産経新聞

 ハンセン病の元患者家族が差別による損害賠償を求めた訴訟で、政府が12日、家族への「おわび」を明記した安倍晋三首相の談話を公表した。「一つの区切り」「固い岩盤を動かした」。原告らは喜びをかみしめ、差別と偏見のない社会の実現に向けて願いを新たにした。

 「多くの原告が法廷の中で人生を語り切った。これまでの経験は自分の宝。首相談話が出て、ほっとしている」。12日に国会内で開かれた記者会見で、原告副団長の黄(ファン)光(グァン)男(ナム)さん(63)=兵庫県尼崎市=は安(あん)堵(ど)の表情を浮かべた。

 原田信子さん(75)=岡山市=は7歳の頃、元患者の父親が療養所に連れていかれた当時の思いがよみがえった。消毒剤がまかれ、雪が降ったように真っ白に染まった自宅。母親は職を失い、食べる物にも困る日々が始まった。

 「これまでの苦労を総理に話したい。気持ちを理解してくれたと分かったら、新潟にある両親のお墓に報告に行きたい」

 4歳の頃、両親が療養所に収容された奥晴海さん(72)=鹿児島県奄(あま)美(み)市=は「何も悪いことをしていない親子が引き裂かれた。総理が心から謝罪してくれると聞き、『裁判をやってよかった』と思った」と涙ながらに語った。

 原告らの活動は大きな転換点を迎え、救済に向けた動きが今後、本格化する。だが、元患者や家族らにとって真の救済が実現するのは、社会から差別、偏見がなくなったときだ。

 原告団長の林力(ちから)さん(94)=福岡市=は「身内にハンセン病の患者がいることをひた隠しにしている人もまだたくさんいるのではないか。政府には、責任を改めて確認してもらいたい。問題が解決されない限り、日本は人権が豊かに保障された国とはいえない」と力を込めた。

最終更新:7/12(金) 18:52
産経新聞

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