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「子どもをもつ、もたない」人生、どっちが幸せと言えるの? 窪美澄の新刊『いるいないみらい』インタビュー

7/12(金) 8:00配信

SUUMOジャーナル

子どもをもつ、もたないという選択は、多くの人が人生のなかで直面することです。そして、2011年ころから使われ始めた「妊活」という言葉は、それをより突きつけるものかもしれません。でも果たして、「子どもをもつ、もたない」が幸せの尺度だと言えるのでしょうか。第161回直木賞候補作である『トリニティ』や『じっと手を見る』などで知られる作家・窪美澄(くぼみすみ)さんの新刊『いるいないみらい』では、「子どもをもつ、もたない」の選択に直面し、家族のカタチを考える人たちが描かれています。 窪さん自身は離婚を経験し、シングルマザーになってからライター活動をはじめ、子育てを経験されています。自身が経験したことと、作品に出てくる登場人物の人生、それぞれを聞いてみました。

家族のカタチを模索しながら、懸命に生きる人々を描く作品

――著書『いるいないみらい』は、どのような背景があって書かれたのでしょうか。

もともと私は女性の妊娠や出産などをテーマに書くことが多かったのですが、今回は「妊娠や出産以前、子どもをもつかもたないか、迷っている人たちの物語を書いてみませんか」と編集者に提案されたんですね。そのことで悩んだり、考えているうちに時期が過ぎてしまったり、子どもをもつことはできたけど亡くしてしまったりという人たちを書きました。それぞれ悩みながらも一生懸命生きる人々の姿を書こうと思いました。

――1話の「1DKとメロンパン」のように、子どもに関する考え方の違いで悩む夫婦は実際にも少なくないと思います。「子どもをもつ、もたない」ということについて、窪さんはどのようにとらえているのでしょうか。

私が考えるのは、「子どもがいる人生だけが絶対的な幸せではない」ということです。子どもがいなくても不幸せではないし、何かが欠けているわけでもないと思います。世間では子どもをもつ家庭が完璧な丸のようなイメージがあるかもしれませんが、実際はそうとも限らない。
「1DKとメロンパン」の夫婦もそうですが、たとえ子どもというパーツがなかったとしても、カップルや夫婦二人だけでも、もちろん一人であっても、十分丸く満たされていますよ、ということを思いますね。

――「子どもをもつ自信がない」「子どもが嫌い」という女性のお話や、男性の不妊治療についてのお話もありますね。

そうですね。「私は子どもが大嫌い」のお話の主人公のように、「子どもが嫌い」という価値観も全然アリだと思うんです。でもなかなか言いにくいことじゃないですか。子どもが嫌いっていうとヒトデナシ、のような目で見られがちですよね。でも、子どもに興味がない女性だって実際はいるわけです。みんながみんな子どもが好き、と思うほうが間違っていると思います。

少子化などの問題があって国は「子どもは二人以上産むべき」みたいな風潮がありますが、私は少し反発があって。押し付けのように感じることがありますね。だって産みたかったけれどタイミングが合わなかったり、産めたけどあえて産まなかった選択をすることもあるわけでしょう。子どもをつくる、つくらないの選択の自由はあっていいはずだと思うんですね。

私は今回の作品を書くにあたってほとんど取材はしていないんですが、第2話「無花果のレジデンス」だけ、不妊治療の男性のお話を聞きに行きました。不妊治療は女性ばかりがクローズアップされるけれど、子どもをつくろうとなったときに、実際は男性不妊の治療も女性と同様に大変。だけどなかなか知られていない部分がありますよね。性別で分けるのは間違っているかもしれないけれど、もしかしたら男性不妊のほうが、告げられる側としてのショックは大きいのかもしれないと思いました。

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最終更新:7/12(金) 8:00
SUUMOジャーナル

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