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VWが生産終了を発表した「ビートル」 自動車ファンを虜にしてきた魅力とは?

7/12(金) 11:40配信

THE PAGE

空冷エンジンを後部に配置する独特な構造

 世界最大手の自動車メーカーである独フォルクスワーゲン(VW)は、小型車であるビートルの生産を終了したと発表しました。ビートルはカブトムシの意味で、独特の形状やコンセプトから多くの自動車ファンを魅了してきましたが、時代の波には勝てず、80年の歴史に幕を下ろしました。

 ビートルは、1930年代にナチスドイツが、大衆にマイカーを行き渡らせるという国民車構想をもとに生産をスタートしたクルマで、当初、ビートルは愛称でしたが、後に正式な車名となりました。

 基本設計は、スポーツカーで有名な「ポルシェ」創業者のフェルディナント・ポルシェ氏が担当し、空冷のシンプルなエンジンを後部に配置するという独特な構造を採用したことで、安価で堅牢なクルマの大量生産に成功。丸みを帯びた特徴的なデザインと、「バタバタ」という空冷エンジン独特の排気音は、世界中の自動車ファンを虜にしました。乗用車タイプに加え、商用バンなどいくつかの派生モデルも生み出しており(いわゆるワーゲンバス)、特にワーゲンバスは、米国で大ヒット。1960年代から70年代にかけて社会を席巻したヒッピー文化の象徴として、今でも映画やドラマによく登場します。

時代が進むにつれて競争力が低下 1998年にニューモデル投入

 しかしながら、時代が進むにつれて空冷エンジンの騒音やパワー不足といった欠点が目立つようになり、次第に商品としての競争力が低下していきます。VWは1998年、おおまかなデザインのみ踏襲し、設計を一新したニュービートルを投入、メキシコ工場での生産をスタートしました。しかしながら、初代とは構造がまったく異なるニュービートルは、初代モデルのように世界を席巻するという状況には至らず、その後、ザ・ビートルと改名されましたが、とうとう生産終了の決断が下りました。

 1930年代に基本設計が行われたクルマが、近年まで活躍できたケースは珍しく、ビートルはまさに自動車史に残る名車の1つといえます。

 今、自動車メーカー各社は、EV(電気自動車)シフトと、所有から利用へという価値観の転換といった、業界始まって以来の変化にさらされています。10年後のクルマは今とはまったく違う姿になっている可能性が高いという現実を考えると、このタイミングで、従来型自動車の最高傑作のひとつが完全引退するというのは、何とも感慨深い出来事といってよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7/12(金) 11:40
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