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専門家が見た韓国不正輸出リストの問題点……韓国政府は悪質企業名の公表を

7/12(金) 11:31配信

FNN.jpプライムオンライン

指摘2:日本国内の事例の情報について

先述の通り、韓国の産業通商資源省は以下の通り指摘した。
「日本は我が国とは違って総摘発件数も公開しないでいて、一部摘発事例だけを選別して公開している(www.cistec.or.jp)。」
これは誤りである。

まず、このURLのリンク先は、経済産業省傘下の一般財団法人「安全保障貿易センター(CISTEC)」のホームページであり、日本政府の機関ではない。この情報をもとに日本政府を批判するのは、筋違いである。現在、韓国の産業通商資源省が、日本の財団法人と政府機関を区別できないという事実こそ、現在の日韓両国間における輸出管理面での協力関係の欠如を如実に物語っている。
日本では、輸出管理体制の不備を理由に経済産業省から「警告」を受けた日本企業の名前は公表されるので、企業は「警告」に対して神経を尖らせており、年に数件しかそのような事例はない。

また、日本の輸出管理の法令である外国為替法に違反した企業や個人の名前は、容疑者が逮捕された時点で、警察が名前と事件の概要を公表するので、メディアで報道されるのが一般的である。起訴が確定すれば、裁判手続きに入る。裁判所は誰でも聴講できるオープンな場所である。最終的に有罪が確定すれば、その後、経済産業省が輸出禁止等の行政処分を企業や個人に科すこともある。行政処分の情報も、経産省から公表される。日本では、「一部摘発事例だけを選別して公開している」との指摘は誤りであり、透明性をもって情報は公開されている。

★輸出管理のポイント~兵器転用の懸念を払拭できるか?

輸出管理上の重要なポイントは、自国から輸出される物品や技術が、意図せずに兵器転用される懸念を払拭することである。そういう「懸念を払拭できるか」の一点が重要である。

他国に輸出された物品・技術が第三国に迂回輸出された後、「兵器転用された」と判明してからでは、もはや何も対応できない。輸出管理を通じた未然防止こそが重要である。そのためには、輸出の際に、「兵器転用の懸念を払拭できるか」を確認することが極めて重要となる。「何のために使われるのか分からない」という不確実性だけでも、輸出者としては真剣に懸念して対処しなければならない。

ゆえに軍民両用に使用されうる(デュアルユース)物品や技術を輸出する際には、事前にしっかりと最終需要者と用途を審査することが重要となる。最終需要者が何の目的で物品・技術を取得しようとしているのか、確認しなければならない。その際、資料の提出等、需要者側の協力が必要なことが多くなる。

貨物は一度、海外に輸出されると、その後、輸出者がその貨物の動きをフォローすることは難しい。もし貨物が輸出された後になって、輸出国の政府が何か確認したいことが出てきた場合、輸出者経由で需要者側に協力を求めるか、あるいは輸出先の国の政府経由で確認することが重要となる。このような協力関係にある貿易相手国であれば、輸出許可手続きを緩和しても、後でフォローしやすくなるので、輸出管理面での懸念を緩和できる。

韓国にかかわる懸念は、韓国企業による不適切な管理に起因する迂回輸出の懸念を払しょくできないことである。
今回の事案リストにある通り、韓国政府がこれまでに摘発しただけでも、リスト規制に基づく機微な規制品の違反事案が数多く確認された。長年の間、日本企業の輸出管理者らの間で懸念されてきた、韓国企業の輸出管理体制の緩さが裏付けられている。

事実、過去には、韓国経由で炭素繊維が中国に不正輸出された事案や、高級乗用車が北朝鮮に不正輸出された事案もある。また韓国メディアなどの報道によると、この2年間、北朝鮮による瀬取りや石炭密輸などに協力した容疑が持たれている韓国企業が少なくとも複数社、韓国政府により取り調べられてきたとされる。さらに、国連専門家パネルによると、2018年12月には韓国企業5社が、北朝鮮産石炭の韓国密輸事件で起訴された。筆者の知る限り、韓国政府がこれらの企業の名前等の情報を公表したことはこれまでに確認されていない。

これでは日本企業からすれば、自社の取引相手の韓国企業が、過去に何らかの事件に関わっていた企業かどうか、見極めが困難である。

日本国内での輸出管理違反事件の捜査において、韓国政府の協力は不可欠である。特にキャッチオール規制では、政府間協力は非常に重要である。膨大な国際物流の中から一つの懸念貨物を摘発するのはとても困難な作業であり、国際協力が不可欠だ。こうした貨物が日本から韓国へ輸出された後、韓国政府に協力を期待できないのならば、輸出前の時点で、時間と手間をかけてでも、予め取引相手の韓国企業や物品の最終用途などについてしっかりと確認をとらなければならない。

韓国側に輸入された後、貨物の用途について日本政府が韓国政府から確認をとれないのであれば、日本としては物品・技術が第三国に迂回輸出されて兵器転用されかねない懸念を払拭できない。これでは従来のように韓国を「ホワイト国」扱いして、輸出の際に何もチェックしないままの状態を続けるわけにはゆかない。

その場合には、残念ながら、日本としては韓国をホワイト国から除外せざるをえないのである。

【執筆:国連安保理・北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員 古川勝久】

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最終更新:7/12(金) 21:21
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