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「マイカー買い換えは見送り」 消費増税前に、収入増実感なく財布のひも締める

7/12(金) 11:42配信

京都新聞

 分厚いノートのページにびっしり数字が埋まる。京都市左京区の主婦三浦真理さん(45)が、毎日欠かさず記入する家計簿だ。緻密な予算を立て、その範囲で出費をやり繰りしている。堅実な三浦家の今年の年間計画で、「予算計上」を見送った項目があった。自家用車の買い換えだ。

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 「今の車はもう10年乗っている。できれば更新したかったんですが…」。先送りを決めた最大の要因は、今年10月に予定される消費税の増税。家計簿を長年つけ続け、収支管理には自信がある。だが、「税率が10%になれば出費がどれくらい上振れするか読み切れない。10月まで控えめに暮らさないと、年間予算をオーバーするかも」と、財布のひもを一層固く締める。
 小中学校と高校に通う食べ盛りの息子3人がいる。食料品や日用品、学習塾代まで、月々の支出が増えても減ることはない。スーパーのチラシを見比べて店を回り、外食の数を減らすなど節約を心がけるが、「収入は変わらず支出ばかりが増えていく感覚。2%アップでも心理的な負担は大きい」とため息をつく。

景気腰折れ阻止できるか

 過去2度にわたって延期された消費税率10%への引き上げ。今回の参院選において、その是非は大きな争点の一つだ。安倍晋三首相は「アベノミクス」の成果として、雇用や賃金の改善などを強調する。だが、現役世代が広く効果を実感しているとは言いづらい。
 消費税増税に向け、家庭は生活防衛に動く。それは、駆け込み消費にも表れる。
 来春に小学校入学を控える長女(5)がいる宇治市の主婦大江聖子さん(36)は、増税前に通学用のランリックや学習机、体操服などを買いそろえる予定だ。「細かいものでも合計すると結構大きな買い物です」。すでにエアコン2台の買い換えは済ませ、9月までに自宅のリフォームも行う。「増税後しばらくは最小限の出費に抑えたい」と苦笑する。
 安倍政権が最も警戒するのが、増税後の景気の失速だ。税率を8%に引き上げた前回の2014年4月以降は、駆け込み需要の反動で景気が冷え込み、金看板の「デフレ脱却」が遠のいたと批判を浴びた。
 5年前の「悪夢」を回避すべく、政府は総額2兆円超の景気対策を用意する。メニューに並ぶのは、現金を用いないキャッシュレス決済時のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行など。10月の消費増税で見込まれる約5・7兆円の半分を費やしてでも景気の腰折れを阻止する考えだが、財政再建が遅れることも意味する。
 それに危機感を深めるのが企業だ。京都新聞社が京滋の主要92社に昨冬行ったアンケートでは、消費税増税について「予定通り実行すべき」と答えた企業が6割を占め、その大半が財政再建を理由に挙げた。借金を重ねて未来の「先食い」を続ける脆弱(ぜいじゃく)な国家財政のもとで、長期的な事業の展望は描けない。
 「年金や社会保障など将来は不安だらけ。そういう本当に必要な所に消費税を使うのなら、増税も仕方ないのかな」。三浦さんは、そう考える。膨らむ歳出と途方もなく積み重なる国債、そしてその多くをのみ込む日銀。無駄遣いをなくし、収支の規律を徹底する主婦の目に、政府の財政運営は危うく映る。
      ◇
 参院選では安倍政権の6年半をどう評価するかが問われる。年金や景気、憲法改正や教育…。争点となっている政策課題の現場を訪ねる。

京都新聞

最終更新:7/12(金) 18:45
京都新聞

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