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セクハラ被害者による実体験ルポ「取引先にはセクハラされても文句を言えないの? 会社は守ってくれない」

7/13(土) 9:10配信

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もし、ある日あなたがセクハラを受けたらどうしますか?仕事中に取引先の社長からキスを迫られたり、ホテルの部屋に押しかけられそうになるなどのセクハラ被害に遭った雅美さん(27歳)の体験を通して、セクハラの実態を考えます。
今回は連載第6回。セクハラ加害者であるA氏への法的措置を検討していると打ち明けた瞬間、態度を硬化させた上司に、雅美さんの対応は……。

暗闇の中救ってくれたのは警察からの電話だった

会社から突き放され絶望している私のもとに、思わぬ連絡が入った。それは「被害届が出ないと捜査は始められない」と言った警察のCさんからだった。

「あなたの親告を受けて、事件性もあるのでA氏に聴取をしたいのですが」
「え? 届出していないのに捜査してもらえるんですか?」
「ただ今回は任意の聞き取りという形でしかできないのですが……」

Cさんは私が一方的に電話を切ったあと、思うところがあったそうで「市民の安全配慮の観点から必要と判断」し、事件現場を歩いたり目撃者を捜したりしてくれたそうだ。やはり被害届が出ない限り本格的な捜査はできないが、できる限りのことをしたいと言われた。警察に対して抱いていた不信感が消え、気持ちがほぐれていくのがわかった。

「ぜひお願いします」
「では、本日A氏のもとを訪ねます。結果はまた報告します」

本当はA氏に罰を受けて欲しい。それが叶わなくても、せめて自分がした行為が犯罪であり、人を傷つけたことを自覚して欲しいと願っていた。任意の聴取をしてくれるだけでも気が晴れた。「警察に通報するほど嫌だったんだ」とわからせてやりたかったのだ。被害届が出ていないなか、可能な範囲で私の気持ちに寄り添ってくれたCさんに感謝した。

会社の態度はますます硬化。私は会社を攻撃する加害者なの?

電話を切ると、上司に「今日A氏の元に警察が行きます」と報告をした。すぐに既読がついたが、返事がない。いつもはすぐに返事が来るのでおかしいなと思った。

「いま○○さん(上司)何してる?」

気になって会社にいる同僚にLINEする。

「なんか血相変えて出て行ってからB専務とずっと会議してる」

穏便に済まそうとしていたのを私が警察沙汰にしたことで焦り、A氏と懇意にしているB専務と緊急会議を開いているのだろう。私は悪いことをしているのだろうか?と自責の念に駆られてしまう。

しばらくたってから上司の返事があった。

「了解です。弁護士もついているようだし、君の行動にもう口出しはしませんし、こちらも何も聞きません。会社には会社の対応があるので、それは任せてください」

それは会社と私が違う方向を向いていることを決定づける言葉だった。「勝手なことをするならもう知らないよ」と言われている気がした。私よりA氏に気を遣っていることがわかるたび、自分は会社に迷惑をかけるだけの疫病神なんだと思えた。守って欲しい相手に殺されるかもとまで感じた。

警察から連絡があったのはその日の夕方だった。Cさんではなく、聴取を担当した男性刑事さんだった。

「A氏が罪を全面的に認めました。『酔っていて覚えていないところもあるが、申し訳ないことをした』とのことでした」

報告を受け身体の力がスーッと抜けた。ひとまずA氏と事実関係を巡って争う必要はなくなり、あとはどう償ってもらうかを考えることに注力できる。

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最終更新:7/13(土) 9:10
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