ここから本文です

攻撃的な老猫を、わたしがもらい受けた理由(未婚のひとりと一匹と:04)

7/13(土) 14:10配信

DANRO

猫のくるみの「生きにくさ」に敬意をはらい、健康に向き合った結果、乳がんを見つけたコヤナギユウです。
(コヤナギユウ)

手術室に向かうところから始まったこの連載ですが、今回から時間が少し、巻き戻ります。

くるみと出会ったときのことを書かせてください。

くるみは12月の公園で、小さなスポーツバッグに詰められて放置されているところを拾われました。犬の散歩をしていた人が夜も、朝も置いてあるバッグを不審に思って開けたところ、入っていたのがくるみです。

「落とし物」として警察に届けたあと、保護猫ボランティアをしていた友人が預かり、ことの顛末をSNSでつぶやいたところ、猫の鋭い眼光にわたしが一目惚れした、という下りは連載2回目で書かせてもらったとおりです。

捨て猫を拾うというエピソードはよくあることです。

ただ、それがすっかり大きくなった老猫で、しかもまったく人間になついておらず、隙あらば噛もうとするほど「人間嫌い」なら、どうでしょう。

失いがたいくらい、その顔に惹かれてしまったものの、好いてもらえないかもしれないし、すぐに介護生活になるかもしれない。それでも一緒にいたいのか、気持ちだけでは判断できなかったわたしがやったことは、猫の終末介護についての本を買い集めることでした。

お見合いの時は怖かった

友人が捨て猫のことを、画像付きでSNSへ投稿する度に、すかさず一番最初に「いいね!」を押しました。Amazonのウィッシュリストで猫の必需品を公開していたときも、買い占めない程度に贈りました。とにかく気になって仕方がない。

そんなやりとりを見ていた友人に「飼えば良いのに」のズバリ問われ、無理とはいえなくて、そりゃ飼いたくて、ひとまず顔を見に行くことにしたのです。保護猫をもらい受ける前に会うことを「お見合い」といいます。

関節炎を患った老猫(メス)と聞いていたものの、同時に「かなり気の強いお嬢さん」とも聞いていました。ゲージで保護している間、トレイの掃除の時もエサを差し入れるときも、「軍手2枚重ね+フリースの靴下を手にかぶせてお世話をしています。普通に噛まれてます」とのこと。猫はよぼよぼなのか、元気なのか。

お見合いの頃、猫はゲージを卒業し、部屋を自由に歩けるほどには落ち着いていました。ほわほわの毛に包まれた顔は、耳がクシュッとしていることもあり、おむすびのようで、キリッとした目もとの瞳孔は黒々としています。

横顔はリュウグウノツカイを思わせる断崖絶壁。先住猫が使っている猫テントに収まっている姿は貫禄があり、とても捨て猫には見えません。というか、一般的にイメージする「猫」と見た目からしてだいぶ違います。

わたしという見慣れない来客を一瞥し、無視。わたしも、嫌われたくない思いから、同じように無視を決め込みます。友人と世間話をしていると、話し声が煩わしかったのか、お気に入りだという段ボールの簡易小屋へ移動しはじめました。

その足取りは衝撃で、わたしは覚悟を改める必要がありました。

毛が長めなせいもありますが、足が短く、ずんぐりとしたフォルムです。成猫なのに体重2キロという小柄なからだを、ゆっくりゆっくり上下にゆらしながら、びっこを引いて歩いています。

よく見ると、関節はこぶのように膨らんでおり、前後すべての足先は動いておらず、猫特有のしなやかさがありません。特に右前足と左後ろ足が痛そうです。

猫は段ボールにたどり着くと、身体を横たえる場所を一目確認し、ブリキのおもちゃのようなぎこちなさで、ギギギッといった具合に身体を倒しました。猫らしい香箱座りは出来そうもなく、後ろ足を横に揃えて投げ出して、前足はスフィンクスのように投げ出しています。

1/2ページ

最終更新:7/13(土) 14:10
DANRO

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事