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ピーチ井上CEOが語った「デジタル・リテーラー」のカタチとは? バニラエア統合後に見据える未来への戦略を聞いてきた

7/13(土) 11:41配信

トラベルボイス

バニラエアとの統合完了を2019年末に控え、日系キャリアとしては第三位に躍り出るLCCピーチ・アビエーション(ピーチ)。このほど開催されたテクノロジー×観光の国際会議「WiT Japan 2019」で基調講演を行った井上慎一・ピーチ代表取締役CEOが、来年度の東南アジア路線進出を控え、“アジアの懸け橋(bridging Asia)”を目指す戦略について語った。

競争激化の東南アジア路線にチャレンジ

LCCにとって、経営コストの高い日本は足カセにもなり得るが、「2018年度まで6年連続で営業黒字を達成した」と井上CEOは胸を張る。今年3月末で終了した同年度は、営業収益(41億3600万円)では前年実績を下回ったものの、売上は同10%増の604億900万円。座席稼働率の平均は87.8%。2012年の営業開始以来、累計で3000万人以上の乗客を輸送、フライトキャンセルなしでの運航率は98%を記録した。

目下進めているバニラエアの路線統合では、すでに同社の成田/那覇線などが6月からピーチ路線となり、その他の路線も、2019年夏季スケジュールの終了までにバニラエアとしての運航は終了。同機体は今年末までに、ピーチのデザインに仕様変更していく計画だ。

「統合を成功させるためには、何よりもチームビルディングが欠かせない」(井上CEO)との考えから、昨年11月以降、バニラエアとピーチの間での会合も重ねている。バニラエア社員に、ピーチが目指すアジアのリーディングLCC像について、理解を深めてもらうためだ。

統合が完了すると、ピーチは親会社の全日空(ANA)、そして日本航空(JAL)という二大キャリアに次ぐ国内第三位の航空会社となり、次のチャレンジは、2020年度末までに就航を目指す中距離路線(ミドルホール)の国際線だ。これまで韓国や台湾、沖縄など、短距離路線において新しい需要を創出し、実績を築いてきたピーチだが、新たにエアバス321LR型機を投入し、東南アジア路線へ参入する。

これに対し、日本航空系列のLCC、ジップエア(ZIPAIR)は、2020年5月から成田/バンコク線、7月から成田/仁川路線を運航開始する計画を発表している。さらに韓国では、中・長距離路線LCCのエア・プレミアが動き出す。LCC間の競争激化は必至だが、井上CEOは「短距離路線に参入した当時も、高コストな日本でLCC経営は難しいと言われたが、我々は可能であることを証明してみせた。今回も同じ」と受け止めている。

成田路線を展開し、東京を主要マーケットとしてきたバニラエアが加わった後も、ピーチの本拠地は、今まで通り大阪に置く。東京でのマーケティング活動は、積極的に拡大するとしつつも「利益を確保するためには、あらゆるコストを抑えることが重要。ここは非常に慎重に進めている」(井上CEO)。

知名度ゼロ、広告予算も限られていた創業当時、客室乗務員のリクルートに苦労した井上CEOは、自らピーチのうちわを大阪の路上で配布。他にも、社内にCEO室は設けないなど、徹底的に無駄を省く“ピーチ流”のやり方が、逆にマスコミの注目を集め、その「やりくり」をまとめた本も出版したところだ。

東京五輪が閉幕した後の需要動向を懸念する声もあるが、井上CEOは楽観的。特に関西圏では、2021年に初のアジア開催となるワールドマスターズゲーム、2025年に大阪万博が控えている。IRリゾート、いわゆる統合型カジノ・リゾートが大阪で開業される可能性にも期待を寄せている。

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最終更新:7/13(土) 11:41
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