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豚コレラ餌ワクチンでクマ出没 県、周辺の調査中止へ

7/13(土) 8:24配信

岐阜新聞Web

 豚(とん)コレラが岐阜県内外の野生イノシシに広がる中、高山市で6月に野生イノシシの有害捕獲用のわなにかかったツキノワグマに男性2人が襲われた事故を受け、県は、イノシシ用の経口ワクチンの散布場所などにクマの出現が確認された場合、周辺での調査捕獲を中止することを決めた。東北地方ではイノシシを捕獲するためにまいた餌を求めてクマが頻繁に寄りつく事例が確認されており、有識者は「経口ワクチンの散布もイノシシだけでなくクマへの餌付けとなる認識を持つ必要がある」と話している。

 「イノシシの捕獲にはクマの問題がつきまとう」。6日に岐阜大(岐阜市)で開かれた「安定的にツキノワグマがいる地域の現状と課題」を考える講演会で、野生動物と人の共生に取り組む合同会社「東北野生動物保護管理センター」(仙台市)の代表社員宇野壮春さん(40)は、イノシシ用の箱わなの中にある餌を求めてクマが現れる映像を見せ、東北地方の現状を報告した。調査のため設置した箱わな(4~10月)のほとんどの場所にクマが現れたという。クマとイノシシは餌の好みが一緒で「力関係はクマの方が上。クマはイノシシ以上に警戒心が低いので餌付いてしまう」と指摘した。

 岐阜県は、5月に行った経口ワクチンの散布で2カ所でイノシシ確認用のカメラにクマが写っていたが、特段の対応は取っていなかった。12日に始まった第2期1回目のワクチン散布からは、カメラ映像や周辺の痕跡でクマの出現が確認された場合、周辺での調査捕獲などの作業を中止することにした。ワクチン散布の際は、クマ撃退用のスプレーなどを携帯し、3人一組で作業に当たることを徹底している。県担当者は「中止にする範囲は、猟友会の意見や現場の状況などを踏まえて判断したい」と説明する。

 県内のツキノワグマの個体数水準は東北地方と同程度と推定される。北アルプス地域の個体群は増加傾向で、白山・奥美濃地域の個体群は横ばいで推移しており、県内の山林のほぼ全域でクマと遭遇する可能性がある。岐阜大の鈴木正嗣教授(野生動物管理学)は「(クマに対する)危機管理体制を整える必要がある。センサーカメラを増やし、しっかりとモニタリングすることが必要ではないか」と話している。

岐阜新聞社

最終更新:7/13(土) 8:24
岐阜新聞Web

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