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染色体検査は顕微鏡で数える「手作業」

7/13(土) 10:00配信

日刊スポーツ

<白血病を知ろう!(9)>

トップアスリートやシンガー・ソングライターらが相次いで闘病を公表した「白血病」-。血液のがんであるこの病気の発生率は、年々上昇しているといいます。その病因は不明のケースが多く、検査、治療も長期間に及びます。米国の血液内科マニュアルを独学で修得した、自称「さすらいの血液内科医」、東京品川病院血液内科副部長・若杉恵介氏(48)が「白血病を知ろう!」と題して、この病気をわかりやすく解説します。

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実は採血でも骨髄検査でも、ときどき「Gバンド」と呼ばれる、染色体の検査を行っています。染色体とは男性だとY染色体があり、女性はX染色体が2つあると説明される遺伝子の集合体で、父親由来、母親由来の22対と性決定染色体2本で計46本あります。細胞が分裂増殖する時に現れるため、分裂が盛んな白血病においては観察しやすく、異なる染色体がつながったり、なくなったりすることで異常が見つかります。

「染色体検査」は、検査会社で主に行われていますが、顕微鏡で見て数える、ものすごく細かな「手作業」です。最近は、デジタルカメラで画像構成ができるようになりました。昔は、印刷した染色体の写真を、ハサミで切って貼ったりしていました。結果が判明するまで、当然時間がかかり、1~2週間程度必要です。

「遺伝子検査」も行われ、組み合わせの遺伝子「キメラ遺伝子」(白血病発症の原因の1つになる)を解析します。こちらは、比較的短時間に結果が出ますが、ピンポイントな遺伝子の組み合わせしかできません。マルチセットという、いくつかの組み合わせのセット検査もできるのですが、それでも白血病の遺伝子異常の半分もカバーできていません。

例えば、地震の時に、どこの道路が壊れているか(白血病の病型分類)、ヘリコプターで空から見るのが「染色体検査」。また、道路の交通状況を路線ごとに1件1件チェックするのが「遺伝子検査」といえます。ヘリで現場が確認されれば、毎回毎回ヘリを飛ばすのも大変のため、後はそこが開通したかどうかは、電話などで早く情報が確認できます。でも、また地震が起きる(再発や再燃)と、ヘリで確認が必要、との使い分けをして、白血病の診断と治療方針を固めます。

また、最近の遺伝子解析は進歩が著しく、2週間程度で人の遺伝子ゲノム(染色体のDNAに含まれる遺伝情報)が、ほぼ全て解析できる時代になりました。薬の開発には数十億円のお金が動きますが、さらに特異的な薬の開発が期待されています。

◆若杉恵介(わかすぎ・けいすけ)1971年(昭46)東京都生まれ。96年、東京医科大学医学部卒。病理診断学を研さん後、臨床医として同愛記念病院勤務。米国の血液内科マニュアルに準拠して白血病治療をほぼ独学で学ぶ。多摩北部医療センターなどを経て、18年から現職の東京品川病院血液内科副部長。自称「さすらいの血液内科医」。趣味は喫茶店巡りと読書。特技はデジタル機器収集。

最終更新:7/14(日) 6:10
日刊スポーツ

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