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男性用避妊薬開発が一歩前進、女性は「きちんと飲んだ」と信用できる?

7/14(日) 11:03配信

The Telegraph

【記者:Radhika Sanghani】
 最近行われた複数の臨床試験の成功を受けて、男性用の経口避妊薬(ピル)が実現にまた一歩近づいたようだ。

 英ダンディー大学は昨年11月、同校の研究チームが男性用ピルの研究・開発費として、米慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」から90万ドル(約1億円)の助成を受けたと発表した。研究チームは、性交の際に精子が卵子に到達するのを阻止する方法を研究している。だが、プロジェクトを率いる教授によると、研究はウサイン・ボルト選手が100メートル走でゴールするのを阻止するくらい難しいという。

 英エディンバラ大学の研究チームは、男性向け避妊ジェルの試験を行なっている。このジェルは、男性ホルモンのテストステロンと女性ホルモンのプロゲステロンを組み合わせ、精子を作り出すスイッチをオフにするものだ。

 一方、米国では、1日1回摂取するタイプの錠剤の開発が進められている。非営利の生物医学研究所「LAバイオメド」とワシントン大学の研究チームは、男性30人を対象に臨床試験を実施。1か月間にわたるピルの服用で、薬が安全であること、男性ホルモンが毎日減少することが確認された。ただ、有効性を証明するためには、さらなる調査が必要だという。

 臨床試験のリーダーの一人、ステファニー・ペイジ博士は、市販までには10年かかると見積もる。男性用ピルの初の試作品が1974年、女性用が1960年ごろに開発されたことを考えると、10年は非常に長いように思える。

時間がかかる主な理由は、タスクが途方もなく複雑なことだ。卵子の排出が月に一つか二つであるのに対し、精子は1日に何百万個も作り出される。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジのリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の専門家、ジョン・ギルバー教授は、男性用ピル開発の遅れは、製薬業界内の性差別的な考えと、誰が避妊の責任を負うべきかについての時代遅れな考え方による資金不足も原因となっていると指摘する。

「特に2008年の景気後退以降は、投資家は避妊薬、とりわけ男性用避妊薬の研究への支援には後ろ向きになっている」とギルバー教授は話す。「投資家らは、赤ちゃんを産むのもやめるのも女性の役目だと考えている。赤ちゃんを産むのは女性なのだから、その責任は女性にあると考えているからだ」

 一方、男性向けピルの需要について、疑問も上がっている。望まない妊娠に伴う身体的、心理的負担は女性の方が断然大きいことを考慮すると、男性は果たしてきちんとピルを飲むのか、女性はパートナーが欠かさず薬を飲んでいると信用できるのか、という疑問だ。

 だが、今の若い世代が、家族計画にもっと男性が関わることを望んでいるというデータもある。2012年に男性9000人を対象に世界規模で行われた調査では、55%が新しいホルモン避妊法を試したいと回答している。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:7/14(日) 11:03
The Telegraph

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