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ホームレスや元受刑者400人超に強制労働、報酬は「コーヒーと鶏」

7/14(日) 11:03配信

The Telegraph

【記者:Gareth Davies】
 英国最大規模となる現代の奴隷組織がこのほど崩壊した。この犯罪組織はわずかな報酬で400人以上を強制的に働かせる一方で、組織のリーダーは200万ポンド(約2億7000万円)を荒稼ぎしていた。

 組織の摘発は、奴隷制度撲滅に向けて活動する慈善団体「Hope for Justice(正義に希望を)」が被害者を見つけ出したことがきっかけだった。これを受けて英ウエストミッドランズ警察は2015年2月、捜査を開始した。

 3年にわたる警察の捜査で、非常に統率が取れたブレジンスキー一族率いる犯罪組織集団の存在が明らかになった。一族は、ポーランドのホームレスや元受刑者、アルコール依存症の人たちを餌食にしていた。

 組織は、弱い立場の被害者を誘い入れ、高待遇を約束して英国へと連れ出した。だが実際は被害者を不衛生な住宅に住まわせ、裁判の際に判事が「商品」と描写するような扱いをした。

 被害者は1日の労働にわずか50ペンス(約70円)しか支払われないこともあり、あるケースでは、住宅の改装作業への報酬として労働者が受け取ったのはコーヒーと鶏1羽だった。

 この犯罪組織をめぐる2件の裁判がこのほど結審。そのため、ポーランド出身の男5人と女3人が単なる欲のためにいかにして極貧の被害者を搾取したかを報道できるようになった。8人は全員、現代奴隷法違反および資金洗浄の罪で有罪判決を受けている。

 まず5人が被告人となった最初の裁判で判事は、同じ人間の「尊厳を傷つける」行為が「まったく受け入れがたい」ものであるとし、それぞれ4年半から11年の禁錮刑を下した。

 組織は協力し合い、母国ポーランドでターゲットを探して英国へ移住させた。連れてきた人たちを英イングランド中部ブラックカントリーにあるネズミが出るような窮屈な住宅に住まわせ、農場、ごみのリサイクル場、家禽(かきん)工場での仕事に就かせた。

 17~60歳を超える被害者たちは、ブラックカントリー内の少なくとも九つの住所に分けられ、1部屋当たり最多で4人のすし詰め状態で暮らしていた。期限切れの食べ物を与えられ、寝床となるマットレスは廃棄物の中からあさらせられた。中には、きちんとしたトイレや暖房器具、家具がない状態で暮らしている人もいた。

 苦情を言おうものなら、犯罪組織の用心棒役の人物が侮辱したり脅したり暴力を振るったりする一方で、「住宅内のスパイ」が労働者に目を光らせていた。
 
 ある男性は、住環境と賃金について苦情を言ったところ、腕の骨を折られてしまった。また別の人は、他の労働者の前で裸にされ、手術用の化学薬品であるヨードに浸され、黙らないと腎臓を取ると脅された。

 犯罪組織は、被害者の身分証明証も取り上げていた。

 2件の裁判のうち二つ目が開廷する際、検察官はこう述べた。「自由を奪われ、弱みに付け込まれたら、それは犯罪だ」。

 ウエストミッドランズ警察のニック・デール警部は、「彼らは被害者に、自分が法を犯して英国にいるかのように思い込ませた」と述べた。「被害者は負債を抱えさせられ、組織に5000ポンド(約68万円)の借りがあると言われたこともあった。組織はあの手この手で、身動きが取れないと被害者に思い込ませた」

 どうやって被害者を選んだかとの質問に対しデール警部は、「被害者はポーランドで誘い込まれた。置かれた環境から逃げ出さなければならない、本当に仕事を必要としている人たちだった」と述べた。 【翻訳編集】AFPBB News

「テレグラフ」とは:
1855年に創刊された「デーリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。 「UK Consumer Website of the Year」、「Digital Publisher of the Year」、「National Newspaper of the Year」、「Columnist of the Year」など、多くの受賞歴があります。

最終更新:7/14(日) 11:03
The Telegraph

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