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【論説】トランプ氏に迎合するな

7/15(月) 15:50配信

The Guardian

【ガーディアン論説委員】
 ドナルド・トランプ米大統領がまたもや連続攻撃を行った。そのターゲットは自らの職務を果たしただけのキム・ダロック駐米大使だった。米国における英国の代表が本国に、不適切な部分を削除した、えん曲的報告書を送っていたのでは国益にかなわない。各国政府は外交官による詳細で誠実かつ偽りのない情報と忠告を求めている。ダロック氏がトランプ氏とその政権を手厳しく評価していたことは気まずいが、問題はその内容ではなく、公電や報告メモが流出したことだ。

 それらの内容が異例なのは、トランプ政権が全くもって異常だからだ。同政権が機能不全、分裂状態に陥っており無能であるというダロック氏の評価は誰が見ても明らかで、トランプ政権自体から流出した政権に対する評価と比べると外交的だといえる。トランプ氏を愚か者、無能、不安定と評する報告は政権内部から複数出ている。

 メモに対するトランプ氏の反応は、同氏が大統領としての適性がないことを再び証明した。ダロック氏と「愚かな」テリーザ・メイ英首相に対する攻撃は、トランプ氏の弱い者いじめ気質を示す新たな証拠だ。トランプ氏は、自由民主主義国家の指導者に対して軽蔑した態度を見せることが多く、よくても見下して接している。攻撃と強さをはき違えており、過度のおべっかを使うかまたは敵を降伏させるまで打ちのめすか――この二つのやり方しか持ち合わせていない。

 多くのいじめ加害者同様トランプ氏は、自分自身が批判されることには我慢できない。世界の超大国の最高司令官たるもの、一介の職業外交官の発言の一つや二つなど流すべきだ。だが、トランプ氏は知りもしない男など相手にしないと言いつつも、ダロック氏のことを偉そうで、非常に愚かで、頭がおかしく、人気者ではないと断言した。

 英国に誰がどれほど貢献しているかを決めるのは米国大統領ではない。また、トランプ氏がメイ首相を批判したのも適切ではない。

 次期英首相候補のボリス・ジョンソン氏は米国と良い関係を築いていると自負しているが、米国に黙従する可能性が懸念される。米国に黙従するのは間違っている。

 英国に「主導権を取り戻す」ため、いかなる対価を支払っても欧州連合(EU)から離脱すべきだと主張する人たちが、米国による威圧を問題だと感じていないことは驚きだ。今回の問題で唯一の評価すべき点は、英米の特別な関係とブレグジットが実現すれば米国との輝かしい貿易により大儲けできるという理論の安っぽさが浮き彫りになったことだろう。英国首相および英大使に対する攻撃はこれらに対する警告かもしれない。【翻訳編集:AFPBB News】

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:7/15(月) 16:24
The Guardian

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