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取り戻した“川崎らしさ”…20歳MF田中碧「そうやって圧倒して勝利を積み重ねてきたチームなので」

7/15(月) 6:30配信

ゲキサカ

[7.14 J1第19節 FC東京0-3川崎F 味スタ]

 前節から先発4人を一挙に入れ替えた川崎フロンターレにおいて、要所の中盤で続けて先発したのはただ一人MF田中碧だけだった。指揮官からの厚い信頼は明らか。そうした期待に応えるがのごとく、20歳の若武者はビッグマッチ『多摩川クラシコ』に堂々と挑み、豊富な運動量でゲームを支配していた。

「これだけ観客の皆さんが入った中で、それも多摩川クラシコで、そして上位対決というのは人生でもなかなかない」。この日、味の素スタジアムのピッチに立った20歳の目には想像以上の光景が広がっていた。

 首位を独走中のFC東京に対し、前節終了時点で3位の川崎Fが挑む上位対決。そのうえ川崎Fは1試合未消化のため、この勝敗が優勝の行方にも関わる大一番だ。そもそも、このカードは両チームの意地がぶつかるダービーマッチ『多摩川クラシコ』。そうして好条件が重なったビッグマッチには会場の満員近い42,401人の観衆が詰めかけた。

 両サポーターの激しい応援合戦に包まれて試合開始。立ち上がりから互いに前線への素早い展開が目立つ中、20歳が見せた存在感は抜群だった。前半10分、まずはFW小林悠に鋭い縦パスを通して最初のチャンスをお膳立て。その後は足腰の粘りを活かしたボール奪取と球離れの良いパスワークで、徐々に攻守のリズムをつかんでいった。

 すると前半19分、田中は自陣深くでMFナ・サンホからボールを奪うと、相手が出てきた裏スペースを狙ったキープから再び中村にクサビのパス。これでスイッチが入ったサイド攻撃から、先制点につながるCKが生まれた。「相手が人についてくるので、人がいたところにスペースができる」(田中)。そんな狙いを結実させたビッグプレーだった。

 また先制点を奪った後も、アグレッシブな姿勢を変えるつもりはなかった。その裏には鬼木達監督が試合前、選手たちにかけた言葉があった。「今日のゲームは勝っても負けてもターニングポイントにしたいというゲームだった」。そう試合後会見で明かした指揮官は「たとえ負けたとしても次に繋がる」という心構えを語っていたのだという。

 もっとも首位を相手とした大一番。選手たちにメッセージが額面どおりに伝わるはずはない。「たしかに『負けてもいい』とは言われていたけど、誰も負ける気はなかったですし、それくらいの心意気でやれていた」(田中)。心理的な余裕を与えられたチームは貫くべきスタイルを再確認し、首位を独走するFC東京を相手に前傾姿勢を貫いた。

 その結果、チームは後半にも2点を追加して3-0で勝利。直近14試合無敗が続いているということ以上に、堅守を誇る相手に3得点を奪ったという結果が最大の収穫となった。今季もわずか11失点という守備力だけでなく、いざという時に得点を奪い切れる爆発力こそが昨季まで2連覇を果たしてきた川崎Fの強みであるからだ。

「これまでリーグ戦ではどうしても『負けないように』という怖さがあり、どこかリスクを負わずにやっていた部分があった。でも、リスクを負って自分たちのやるべきことをやってきたのがフロンターレ。そうやって圧倒して勝利を積み重ねてきたチームなので」。試合後、地元出身20歳はクラブのカラーを確かな口調で誇った。

 それでも自らのパフォーマンスに話が向くと、その口ぶりには厳しさも宿る。「自分らしさは出せたと思うけど、もっと欲をいえば最後の質の部分、ボールを奪い切れる精度はこのレベルではまだまだ通用していないところがあった。それを突き詰めながら個人としてもっと怖い選手にならないといけないと感じた」といった具合だ。

 中でも課題とするのは「アタッキングサードでの違い」。名ボランチの条件に“ボックス・トゥ・ボックス”(自陣PAから敵陣PAまで)という用語があるが、自陣での攻守の起点役だけでなく「ゴールの近く、よりシビアなところで、ゴールに直結するパスやシュート、そういう部分の精度を上げていかないといけない」と考えているのだという。

 そうやって自らの行くべき道を冷静に見つめているからこそ、現状の立場に満足する様子はない。「フロンターレは誰が出ても強いけど、逆に誰も定位置は決まっていない。そういう意味では毎日の練習から結果を出すことが大事。毎日毎日が競争なので」。さらなる成長を渇望する20歳。“黄金時代”と呼べる3連覇の大偉業はその双肩にかかっている。

最終更新:7/15(月) 6:30
ゲキサカ

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