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買収した企業の業績が「計画を上回って推移」したのは約1割【日本企業のクロスボーダーM&A実態調査】

7/16(火) 9:00配信

MONEYzine

 日本企業にとってクロスボーダーM&Aは、成長機会の獲得手段としての重要性を増している。しかし、多くの日本企業がその実行に難しさを感じており、想定どおりの効果を実現できていないのが現状のようだ。

 PwCアドバイザリーは日本CFO協会の協力を得て、2018年9月から11月にかけて、国内の上場企業1,000社以上を対象に「M&A実行後のシナジーの実現に向けた現状調査」を実施。クロスボーダーM&Aを経験した174社から有効回答を得た。

 7月10日に発表された「M&A実態調査2019 クロスボーダーM&Aにおけるシナジーの発現に向けて」では、36%が買収当時の事業計画を実現できず、35%がのれんの減損を実行または検討していること。また「計画を上回って推移」との回答は12%にとどまっていることが明らかになった。

 また、過半の企業は想定したシナジーを実現できず、特に「クロスセルによる売り上げ拡大」と「共同開発による新製品売り上げ拡大」に苦戦している。

 しかし、M&Aにおける買収価格を見ると、約3割の企業が、積極的な試算に基づく最大限のシナジーを織り込んだ価格で買収している。

 PwCアドバイザリーはさらに2018年12月から2019年2月、クロスボーダーM&Aの経験を蓄積し、自社流のメソッドを有する日本企業に対し、M&Aによるシナジー実現に向けた個別インタビューを実施している。

 クロスボーダーM&Aにおいてシナジー効果を獲得しているとされる企業へのインタビューを通じて、想定していたシナジーを発現させるためには、以下の3つの共通事項があることが明らかになった。

1. 事業戦略を実現していく手段の一つとしてM&Aを組み込んでおり、当該事業責任者がM&Aの実行からPMI(Post Merger Integration、経営統合)の推進まで深くコミットしている

2. シナジーの定量化と価格への織り込みについて、買収検討時に客観的な検証プロセスを実行している

3. 買収後に一気に経営基盤を導入する仕組みが確立されており、PMI段階では、買収先企業の自主性を尊重しながらも放任しない最適なバランス感覚でガバナンスを効かせている。

 さらに進んだ企業では、M&Aを通じて事業価値を創造していくための取り組みや体制構築に着手し始めている。日本企業のクロスボーダーM&Aを実りのあるものとするには、案件検討時の段階から買収後の事業価値創造のアプローチを描き、それを実行していくことが重要であるとPwCアドバイザリーは分析している。

最終更新:7/16(火) 9:00
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