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犯罪の陰で苦悩する「加害者家族」 実態と支援の現場から(1)

7/16(火) 17:02配信

47NEWS

 犯罪の陰で苦しむのは被害者や被害者家族だけではない。加害者家族について考えたことはあるだろうか。社会的制裁、経済的困窮、一家離反…。加害者家族は人知れず困難の極みの中を歩いている。

 6月16日早朝、大阪府吹田市の交番で警察官が刺傷され、拳銃を強奪された事件。逮捕された男(33)=犯行時の精神状態を調べるため鑑定留置中=の父親は在阪メディアの重役だった。事件の凄惨さや動機の不可解さも相まって報道は過熱。取材は家族や親類縁者はもとより、元同級生、雇用先、SNS上のつながりとあらゆる関係者に及んだ。

 こうした重大事件が起きた時、社会には加害者サイドを徹底的に暴き丸裸にしてよいバッシングの空気が醸成される。説明責任を問われた父親は代理人弁護士を通じて、警察官や家族のほか、地域や一般の人々に対しても「多くの皆様に不安を感じさせ、大変申し訳ありませんでした」と署名入りの謝罪コメントを出した。その後、間を置かずに「一身上の都合」で役職を退任。表舞台から去った。

 海外では「Hidden Victims(隠された被害者)」と呼ばれ、支援の必要性が認知されている加害者家族。だが日本では支援組織は仙台と大阪にある二つの民間団体だけ。あとは一部の弁護士会(山形)で取り組みが始まっている。まだ存在が十分に知られていない加害者家族だが、大阪市のNPO法人「スキマサポートセンター」の佐藤仁孝理事長(36)に彼らが置かれる実態と支援の実際について詳しく聞いた。2回に分けて報告する。

(構成/共同通信=大阪社会部・真下周)

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 ▽父親への罰大きい

 この事件では、被疑者の父親が大きな罰を受けていると感じる。犯罪が起きると、まず被害者や被害者家族が守られるべきであることは言うまでもない。加害者には償う責任がある。だが、父親は加害者そのものではないはずだ。それでも世間は許してくれない。

 報道が大々的になされると、家族への影響も比例して大きくなる。家族の情報はさらされ続ける。他人の不幸は蜜の味というが、近所や職場でも噂が一気に広がるなどし、彼らにとって絶望的な状況となる。メディアが助長している面は否定できない。

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最終更新:7/16(火) 17:02
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