ここから本文です

「声優志望者は専門学校にも養成所にも行くな!」音響監督・長崎行男と福原慶匡Pが明かす、声優業界のいま【インタビュー】

7/16(火) 20:30配信

アニメ!アニメ!

アニメ産業の広がりとともに、歌、ダンス、タレント活動など多くの場面で活躍するようになった 「声優」 。

大きな写真で詳しく見る

多くの若者がその仕事に憧れる中、音響監督・長崎行男氏は「声優志望者は専門学校にも養成所にも行くな!」という。

長崎所長は『ラブライブ!サンシャイン!!』や『キラッとプリ☆チャン』、『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』など、歌やダンスを主軸に扱う作品を手がける音響監督の第一人者だ。
加えて声優・俳優養成機関「ヤオヨロズボイスラボ」の所長として人材育成にも尽力している。

そのヤオヨロズボイスラボの経営母体であるS-TAR7(エスターセブン)の代表取締役社長を務めるのが、『ケムリクサ』『けものフレンズ』などのヒット作を生み出し続けるアニメプロデューサー・福原慶匡氏だ。

今回はこのおふたりに、教える立場でありながらなぜ「声優志望は学校に行くな!」と言うのか、その過激な発言の真意を聞いた。若手声優志望者と声優学校業界にまつわる赤裸々で実直なお話をお楽しみいただきたい。
[取材・構成=いしじまえいわ]

■最も大切なのは「セルフプロデュース能力」
――今回は「声優志望は学校に行くな!」発言の真意についてお伺いしたいと思います。初めに、若手声優の現状について教えてください。今、現場では一体どんな事が起きているのでしょう?

長崎所長:主役クラスのキャラクターを演じる声優はオーディションで選ばれることが多いのですが、役をお願いしたいと思える実力のある声優は一握りです。その結果、オーディションをしても結局同じ声優さんが勝ち残り、似たような配役でいくつも作品を作る、という状況になっています。

――お願いするなら実力のある方にお願いしたいのは分かります。若手声優がオーディションに参加するチャンスはないのですか?

長崎所長:監督や音響監督が希望する指名候補の他に、各プロダクション側が推薦する声優も1、2名テープ・オーディションに参加できます。新人の方はそこで選ばれれば、スタジオ・オーディションに進める可能性があります。
こうして、数多くのプロダクションから複数の候補者を出していただきますので、1つの役に対して100人から150人分のオーディション・テープが集まり、その中から実際にスタジオに呼ぶ人を絞り込みます。

ですが、スタジオにこちらが指名した候補者以外の新人声優が呼ばれることはごく僅かです。全くいないことはないのですが、数は非常に少ない。
最終的には結局こちらが指名した人ばかりが残り、同じような顔ぶれで作品を作ることになってしまう……これが現状です。


――多くの場合、新人声優さんはオーディション会場にさえ行けないのですね。そんなに実力差があるのですか?

長崎所長:オーディション・テープや写真は送る前に何度もとり直しができますよね。事務所の方々も当然、新人を選んでほしくて渾身の一本、奇跡の一枚を送ってきます。
ですが、その方がスタジオでテープと同じ演技ができるかというとそうでないことの方が多いわけです。

また、作品への理解度もかなり違うように感じます。「これはどういった作品で何がテーマなのか」「このキャラクターはどんな思いでこの台詞を発しているのか」といったことに対する考察が足りていないんです。

――そういった理解の程度の差が、オーディションでは如実に現れるものなのですか。

長崎所長:現れますね。オリジナル作品だと確かにヒントが少ないですが、原作ものであれば原作を読んでくればある程度は分かるはずですよね。それを読んでいないのか理解できていないのか……

――「本当に作品を読んできたの?」というレベルの演技に出くわすこともあるんですか?

長崎所長:ありますよ。

福原:作品理解や、自分をオーディションの場でどう理解してもらうかも含めて、コミュニケーション能力の差なんじゃないでしょうか?


長崎所長:そうですね……自分をどう演出するかという意味では、セルフプロデュース能力と言ったほうがいいかもしれません。これが声優に一番大切なことだと僕は思います。

――いきなり核心に触れましたね。

長崎所長:みんな福原さんになればいいんですよ。少なくとも、福原さんの本は読むべきだと思います。


――プロデューサーである福原さんは「声優にはセルフプロデュース能力が必要」というこの意見、どう思われますか?

福原:思い当たるところがありますね。
声優さんの収録風景をガラス越しに見ていて、(ガラスの)こっち側の人はみんなその人の演技の何がマズいのか分かっているのに、本人はそれに気づけていなくて同じ間違いを何度もしてしまう、ということがあります。
客観視できていないということなんですが、それはセルフプロデュースできていないのと同義だと思います。

■声優は「適正のある人にしかなれない専門職」
福原:演技を失敗するにしても、大きく2パターンに分けられます。野球に例えるなら、サインを見ていないというパターンと、サインは分かってるしキャッチャーミットも見えているけど、技術的にサイン通りに投げられない、届かないというパターンです。
後者の場合も稀にありますが、新人声優の多くは前者ですね。


――後者であれば然るべき練習によって改善できるかもしれませんが……ということですね。

長崎所長:サッカー選手の方が向いているのに野球選手を目指しちゃってる、というケースもありますね。

――その場合ですと、いくらサインを理解していても適性や能力の問題で、サイン通りの球をいつまで経っても投げられない、ということですね。では適性がない人はどうすれば……

長崎所長:声優を目指さず他の道を探すことです。もっと有り体に言うと、自分の声に自信がある人しか声優を目指しちゃダメなんです。

自分の顔やスタイルに自信があるからモデルになりたい、ということと同じですよね。声に特徴があるとか、自信があるとか、どれだけ喋っても喉が枯れないとか、滑舌や発声がいいとか、単に声が大きいでもいいんですが、とにかく自分の声という分野で自信がある人が目指すべき職業です。
「自分はルックスに自信がないので、役者はダメだけど声優なら、と思って」という人もたまにいますが、その分声に自信があるならいいんです。ないならダメです。

福原: さらに今は歌って踊れてバンドもできて……と求められるものはどんどん増えていますから、大変ですね。

長崎所長:声優とは然るべき適性のある人にしかできない専門的な仕事なんだ、という認識がない方が多いように感じます。声の演技なんて誰にでもできると考えているんでしょう。

――若手の演技から実際そういうことを感じられるんですか?

長崎所長:感じますよ! 現場では声が小さいだけでNGなのに、それでも声優になりたいって言うんですから。「もっと大きな声を出せ!」と言っても出ない。本来その時点でアウトです。

福原: 声優以外の仕事に置き換えれば、僕が今からメンズノンノのモデルを目指すって言っているようなもんですよね。
それなら「それは流石に……」「ガッツだけじゃ無理だぜ……」ってなりそうなもんですが、それが声優だとそのまま目指してしまう。どういうことなんですかね? 仕事として低く見られているんでしょうか?

長崎所長:甘く見られてるんですよ。
→次のページ:変わりゆく声優学校業界のスキーム

■変わりゆく声優学校業界のスキーム
――そういった認識の甘い声優志望者が増えている土壌には、声優専門学校や養成所の影響もあるのでしょうか? またそういった学校はどういう教育をしているのでしょう。

長崎所長:10年くらい前に声優志望者増加のムーブメントがあって、その時に声優コースを持つ専門学校が急増しました。ゲームが流行ったときにはゲームやCGの学校が増えましたから、そういうものなんですね。専門学校もビジネスですから。

でも声優専門学校を卒業してもほとんどの人が声優にはなれません。大量の声優志望者が行き場をなくします。
そこで、声優事務所が養成所を開いて声優になれなかった専門学校卒業生を入れ、1、2年のトレーニングを受けさせていい人は準所属にするスタイルができました。これがすごく儲かったんですね。それが5年くらい前の話です。

そうすると、老舗プロダクションや大手ではそんなことはないんですが、新しくできた事務所なんかでは新人教育より養成所ビジネスの方を一生懸命やるようになっていくんです。そうなるといい声優が育つわけがありません。

そして、そんな状況もここ1、2年でまた大きく変わりました。

――どう変わったんですか?

長崎所長:事務所がアニメ系イベントで儲けられるようになったんです。新人声優のアニメ収録のギャランティは1回1万5千円、事務所に入るのはその2、3割です。でも主役声優であればイベント出演で1回2、30万円もらえます。

そうするとどういう事が起きるかというと、声優としての出演費はランクを上げると仕事が取りにくくなるので1万5千円から一切上げないんです。アニメの出演は宣伝と割り切って、いくらでも安い値段で請け負う。
その代りイベントやゲームの収録の方で稼ぐんです。今はそういう流れになっています。

ライブイベント自体は、会場費や設営費などと差し引きするとそんなに儲からないんです。トントンくらい。
その代わり当日物販がものすごく儲かるんです。物販が儲かれば、主催者も出演者も事務所もWin-Win-Winです。イベント主体の声優はアニメの出演本数は少ないですが、収入は相当多いはずですよ。

――かなり具体的なお話ありがとうございます。それにしても、どうしてそういうトレンドになったんでしょう? イベントが増えたからでしょうか?

長崎所長:イベントも増えましたし、やっぱりライブを開催できるアイドル物アニメ増加の影響が大きいですね。
でもこういう移ろいの速い時代ですから、この養成所ビジネスのトレンドも近いうちにシュリンクすると思っています。


――それはどうしてですか?

長崎所長:養成所に集まってくる玉石混合の人たちの中からいい子を探すよりも、駅前でイベント映えするいい子を探してその子だけに集中的に指導した方が効率的だからです。芸能プロダクションと全く同じ考え方です。

もうひとつの方法は声優志望者のオーディションですね。全国からオーディションでいい子だけを集める。
実際、声優事務所とアニメ制作会社や雑誌社がタッグを組んで行う、主役声優の一般公募も増えています。
また、事務所独自で行うオーディションもあります。81プロデュースの近年の人気声優は軒並み毎年8月1日に開催されている81オーディションでデビューしていますが、あれは一般公募なんです。

一般公募であれば全国から人を集められますし、オーディションに応募するくらいモチベーションが高い人達が集まるわけですから、そこから優秀な人が出てくる確率はかなり高いんですよ。
今後はそっちから優秀な人をピンポイントで集めて集中的に指導する方向にシフトしていくんじゃないかと思っています。

福原: イベントでマネタイズできていれば養成所に無闇にたくさん人を集める必要がないですしね。

長崎所長:そうです。そうなれば業界全体も徐々に健全化していくんじゃないかと思います。

■声優志望=就職活動の始まり
――長崎さんの本意がだんだん分かってきました。「声優志望者は専門学校にも養成所にも行くな!」というのは、本気で声優になりたい人は自分で一般公募のオーディションにエントリーするくらいしている、ということでしょうか。

長崎所長:そうです。専門学校や養成所に行こうが行くまいが、本気でなりたい人間は自分で考えて動いているんです。

たとえばブシロードの佐々木未来(ささき・みこい)さんは岩手出身ですが、近くに専門学校や養成所がなかったので高校の演劇部や放送部で自主トレーニングをし、自分でオーディションを探してエントリーしていたんだそうです。
その結果『探偵オペラ ミルキィホームズ』の作品オーディションで役を掴んでデビューを果たしました。

最近若手の声優さんたちと話していて感じるのですが、絶対に声優になる、なれると確信している人だけが残っていますね。

福原:最近は4年制大学にも声優科があったりしますし「なれたらいいな」という人は多いと思いますが、そういったスタンスでは厳しいでしょうね。


長崎所長:学校や養成所に授業料を払っているんだから何かを教えてもらえる、という姿勢ではダメです。それはお客さん側のスタンスであってプロのそれではありません。

福原:プロといえば、社会人の中にも単に受動的に働いて労働時間分の給料をもらっているだけの人もいれば、給料分の価値とは何かを自分で考えて能動的に生み出している人もいます。
職業人であれば誰でもプロかというと、それも少し違うのかなと思います。

そう考えると、受動的な人が大半で能動的な人はごく一部、というのは声優志望に限らず人間社会どこでも同じなのかもしれません。

――なるほど。声優を目指すということも実は普通の就職活動と同じなのかもしれませんね。

長崎所長:本当にそうだと思います。就活では誰でも自分の志望業界がどんなところで今何がトレンドなのかとか、志望企業がどんな会社でそこではどんなキャリアが形成できて自分は数年後そこで何をしていたいのか、など、ふつう自分で調べて自分で考えますよね。
一生モノの仕事をしたいと思うなら調べるはずです。声優を目指すこともそれと同じです。

――就職活動と同じで、どの学校にいようがいまいが自分のやりたい仕事があるなら主体的に調べて積極的に行動するはずだ、という長崎さんの発言は至極真っ当に思えてきました。声優という仕事は目指した瞬間から就活が始まっているんですね。

■リアリストが教える現場直結の“研究所”
――そんな中でヤオヨロズボイスラボを活用するとすれば、どんなメリットがありますか?

福原:現場直結であることです。他の養成所のように卒業するまで現場に出てはいけないという事はなく、在籍中にどんどんデビューさせています。
また、スクールではなくラボ(研究所)ですので、教えてもらうのではなく主体的に演技を研究したい人にとっては快適な環境になっています。

長崎所長:養成所と掛け持ちで来ている人もいますし、僕もいい人がいれば本当に仕事をお願いします。
今年の春からスタートした『キラッとプリ☆チャン』で「だいあ」という役をやってもらっている佐々木李子さん(ささき・りこ)はそのパターンで、昨年夏にラボで出会ったのがきっかけでオーディションに来てもらいました。

また、今日お話したような業界トレンドの変遷やギャラの話なんかも入所式の時にしています。本気で業界に行きたい人には必要な情報ですから。

福原:僕も自分の授業では声優業界の産業構造やお金の流れなどについて話をしています。職業人として自分が誰からお金をもらっているのかは知っておく必要がありますので。
このように、リアリストが運営していることがヤオヨロズボイスラボの一番の特徴かもしれないですね。

――それでは最後に、本気で声優を一生の仕事にしようと考えている人へのメッセージをお願いいたします。

長崎所長:専門学校や養成所に入る前に、まず自分でオーディションを探してみてください。
今回紹介した81オーディションの他に、中高生であれば声優魂というコンテストなどもあります。また特定の作品のオーディションもありますね。

そうやって調べていく中で、確かに専門学校や養成所の卒業試験でしか行われないオーディションもありますから、どうしてもそれを狙いたいのであれば、それを目標に学校に入学するのはありだと思います。
ただ、まずはその時点で受けられるところをいろいろ自分で調べるべきですね。

福原:声優という仕事はアニメ産業の世界的な拡大と成熟によって競争がどんどん激しくなっています。ラボにはその競争に勝つために教えられるものは全て揃えてありますので、絶対に必要な僕らが教えられないもの「情熱」だけは必ず持ってきてください。今もオーディションを開催していますので本当に声優になりたいなら是非ご応募下さい。

――ありがとうございました。

「ヤオヨロズ ボイスラボ 声優☆特待生オーディション!令和の夏」

音響監督・長崎行男氏が所長を務める声優・俳優養成機関ヤオヨロズ ボイスラボ が、全国から新しい才能を求めて、本気で声優になりたい方を対象とした特待生オーディション『ヤオヨロズ ボイスラボ声優☆特待生オーディション!令和の夏』を開催!
審査委員長は、当養成機関の所長であり大ヒットアニメ「ラブライブ!」「KING OF PRISM」等の作品で活躍する音響監督・長崎行男氏が担当。その他、アニメーションプロデューサー・福原慶匡が審査を担当し、声優としての可能性を直接審査!
上位入賞者はその評価に応じて特待生となり、最高賞は学費全額免除で、長崎氏ら現役プロフェッショナルの育成レッスンを無料で受けることができます。
また、副賞としてエスターセブン音響制作作品へのアフレコ参加特典も用意。
■応募資格
・2019年9月から都内でのレッスンへ参加可能な心身ともに健康である男女
・声優俳優事務所や付属の養成機関に属していない
・他プロダクション・レコード会社等と契約をしていない
 以上すべての条件を満たす方

■審査概要
応募(WEB)受付期間:6月17日(月)~7月23日(火)
 ↓
一次審査(書類選考)7月25日(木)までに、通過者のみに順次結果と二次審査の詳細を通知
 ↓
二次審査(実技・面談)7月1日(月)~28日(日)の期間に、東京にて開催予定
※最終審査の詳細は、審査を通過した方のみにご連絡いたします。
 ↓
最終審査(実技) 7月31日(水)東京にて開催予定
※応募者多数につき審査期間を延長しました(合格者に上限はございません)。
※日程は変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

■受賞特典
ヤオヨロズ ボイスラボ 「ベーシック クラス」受講料無料+エスターセブン音響制作作品への出演 等、成績に応じて特待生としての各種特典を用意。

■応募方法
『ヤオヨロズ ボイスラボ 声優☆特待生オーディション!令和の夏』特設エントリーフォームからのWEB応募

なお、受験料は無料ですが、会場までの交通費は自己負担となりますので、ご了承ください。

■主催/協力
主催:株式会社エスターセブン
協力:株式会社ジャスト プロ、株式会社クロコダイル、株式会社BloomZ、ヤオヨロズ株式会社

アニメ!アニメ! いしじまえいわ

最終更新:7/16(火) 20:30
アニメ!アニメ!

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事