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クラシック・ホラー『チャイルド・プレイ』斬新なアイデアとチャッキー誕生の秘密

7/16(火) 12:07配信

CINEMORE

当時のアメリカに見る、大ヒットの裏側

 不気味にかがやく青い瞳とソバカス顔の殺人人形――。この簡潔な説明だけで、ヤツの顔が脳裏をかすめる。邪悪な魂を宿したグッドガイ人形こと殺人ドール“チャッキー”の存在に関しては、もはや多くを語る必要はないだろう。ある母子家庭の少年の身に起きる恐怖の体験を描いたクラシック・ホラー『チャイルド・プレイ』(88)は、これまでに続編6本、リブート1本が製作される大人気シリーズとなった。

 しかし、人形の怖さを題材に描く作品は『チャイルド・プレイ』以前にも存在した。三部収録のオムニバス映画『恐怖と戦慄の美女』(75)の木彫り人形、アンソニー・ホプキンス主演『マジック』(78)の腹話術人形ファッツ、ほかには『ポルターガイスト』(82)『ドールズ』(87)など人形ホラーは枚挙にいとまがない。

 では、『チャイルド・プレイ』のなにが凄かったのか。どうしてここまでの人気を確立できたか。答えは、複数の要素が絡み合っている。

 まず『チャイルド・プレイ』にはユーモアのセンスがあった。単なる人形ホラーの枠を飛び越し、定型化した惨殺ホラーにブラックコメディの要素を付与したエンタメ性の高さを打ち出したからだ。加えて、本作はホラー映画である以前にスラッシャー映画でもある。『悪魔のいけにえ』(74)『ハロウィン』(78)『13日の金曜日』(80)『エルム街の悪夢』(84)など、70年代から80年代にかけては、殺人鬼が次々と人を殺していくスラッシャー映画が隆盛を極めた。この流行にあやかるかたちで、『チャイルド・プレイ』の人気度は一気に沸点まで達したのだろう。

 また、1982年ごろのアメリカではキャベッジパッチキッズ(キャベツ畑人形)のブームが到来していた。キャベツ畑人形とは肌や目の色、服装、髪型などの違いで数千のヴァリエーションがあり、「同じ個体はひとつとしてない」を売り文句にアメリカ全土で大流行。一体ごとに誕生日と名前入りの出生証明書が付属する、徹底のこだわりようだった。

 1億個以上を販売したという空前の大ヒット商品だが、次第に購入者のあいだでは「人形に悪魔が憑いている」と良からぬウワサが流れ出す。この悪魔憑き騒動の真相は不明だが、古くから人形には悪魔や霊が宿るとされているだけに、真っ向から否定することはできない。人形に対するそうした風評が広がる中、封切りを迎えた『チャイルド・プレイ』は、期せずして妙なリアリティを獲得し、記録的ヒットへと結びついたのだろう(実際に、チャッキー人形はこのキャベツ畑人形がモデルになったと言われている)。

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最終更新:7/16(火) 12:07
CINEMORE

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