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新規就農、厚い「壁」 従事者は10年で60万人減 中山間地維持へ支援必要

7/16(火) 12:08配信

西日本新聞

【参院選あなたの声から】

 「農家の高齢化対策は大丈夫か」「就農希望者の育成は」…。特命取材班に農業の今後を心配する声が寄せられた。減少傾向だった農業総産出額は2015年以降、回復基調にあるが、農業従事者はこの10年で60万人以上も減少しており、中山間地域の崩壊にもつながりかねない。政府は経営支援の給付金や法人化などで担い手確保を目指すが、就農の「壁」は厚く‐。

【画像】家族経営体数と組織経営体数の推移

 1年目は利益ゼロ。4年目でも約50万円。九州の過疎地に移住し、新規就農して5年目の40代独身男性は農業で稼ぐ難しさに直面している。「甘かった。生産はまずまずだが販売が…」

 農業は頑張った分だけ稼げると思い、会社員から転身。故郷のそばに家と農地を借りて野菜を栽培する。初期投資で借金を負った。

 生活費は、農林水産省の農業次世代人材投資事業の給付金150万円(年間)で賄う。ただ給付期間は最長5年。男性の受給は今年いっぱいだ。

 新たにトマト栽培に乗り出して、利益を増やす考え。トマトは安定収入が得られる販路のめどが付いているからだ。「不安はあるが期待もある。今年は利益100万円、来年は一気に400万円にしたい」

課題は深刻化する担い手不足と高齢化

 農業の課題は、深刻化する担い手不足と高齢化だ。

 農水省は農業経営体について、いわゆる農家を指す家族経営体(1戸1法人を含む)と、企業などを指す組織経営体(組織型)に分類。組織経営体は増えている一方、家族経営体は減少し、その中心の「基幹的農業従事者」も10年の約205万人(65歳以上は61・1%)から19年は約140万人(同69・7%)と減っている。

 担い手確保に向け、独立・自営で新規就農する45歳未満の人を対象に12年度から始まったのが人材投資事業だ。17年度までに1万8235人が利用し、給付金の総額は約761億円に上る。ただ、17年9月までに受給を終えた4644人のうち、165人が経営不振などで離農。抜本的な改善策にはなっていない。

 農業参入専門コンサル会社の農テラス(熊本県益城町)の山下弘幸社長は「給付金事業がしっかりと効果を上げるには、経営の支援策をもっと用意する必要があるのではないか」と語る。

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最終更新:7/16(火) 12:08
西日本新聞

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