ここから本文です

コインベース、自社専用の保険会社設立を検討──ハッキング被害増加で“キャプティブ保険”の導入は進むか

7/16(火) 11:40配信

CoinDesk Japan

重要なポイント
・業界関係者によると、コインベースは「自社専用」保険会社の設立を検討している。
・2019年初め、保険会社のエーオン(Aon)は複数の仮想通貨企業と連携し、ケイマン諸島に専属保険会社の設立を開始した。
・自社専用保険(キャプティブ)の仕組みは、企業がより手頃な価格でさらなる補償を手にする役に立つとエーオンは主張する。
・仮想通貨向けの保険はいまだに少なく、大手取引所のクラーケン(Kraken)とフォビ(Huobi)は、盗難やハッキングによる損失を補填するためにコインを取り分けておくことで自家保険をかけていると述べる。

仮想通貨取引所大手のコインベース(Coinbase)は、保険大手のエーオン(Aon)の助けを借りて、規制に準拠した自社専用の保険会社を設立するための交渉を進めている。複数の業界関係者がCoinDeskに対して語った。

被保険者となる企業が完全に所有するかたちで「自社専用(キャプティブ)」保険子会社を設立することは、コストを削減でき、再保険(リスクを緩和するために保険会社が購入する一種の保険)市場へのアクセスを向上するための従来の方法だ。業界紙CPAジャーナル(CPA Journal)に2018年12月に掲載された記事によれば、フォーチュン500(Fortune 500)に名を連ねる企業のほとんどすべて、そして何千もの中規模企業はこの専属保険会社を保有している。

コインベースとエーオンは、この専属保険の仕組みが、仮想通貨取引所が利用できる保険の不足対策の一環になり得ると考えている、と業界関係者は述べる。コインベースは大半の取引所よりも幅広い補償を受けているが、たいていの場合仮想通貨取引所は、ハッキングや顧客の資産の消失に備えて損失をカバーするためのコインを大量に取り分けることによって自家保険をかけている。このアプローチの抱える問題点は、しっかりとした仕組みが存在しないことであり、保険用資金を他の目的に利用したいと考えたり、実際にはどれくらいの備えができているのかが曖昧になる。

一方で、自社専用(キャプティブ)保険を利用すれば、保険用の資産は隔離されて、規制に従い監査された母体に保管されており、企業が再保険市場からさらなる保険を獲得するのにも役立つ。自社専用の保険会社はその親会社のみを補償するもので、競合は対象にならない。

コインベースの自社専用保険設立の検討に関して、エーオンもコインベースもコメント控えた。エーオンは、匿名の顧客のために業界初の仮想通貨専用の保険を2019年にすでに設立したことは認めた。エーオンによると、このケイマン諸島にある専用保険には、ホット(オンライン)ウォレットのハッキングを補償する「犯罪」向けの保険と、オフラインでコールドストレージに保管されている仮想通貨を補償する「正貨」関連の保険がある。

コインベースとエーオンは以前にも連携を行なったことがある。2019年4月、エーオンはコインベースのホットウォレット向けの約2億5500万ドル(約276億円)の補償を手配する手助けをした。コインベースは、顧客の資産の2%のみをホットウォレットに保管しているが、2017年の上げ相場の絶頂期には、250億ドル(約2兆7000億円)の仮想通貨を保有していた。

エーオンは、いくつかの仮想通貨関連顧客が自社専用保険を検討していると述べ、バミューダやいくつかの主要なアメリカの「オンショア・ドミサイル(on-shore domicile=キャプティブ設立地)」が間もなくケイマン諸島に続くだろうと加えた。

「補償能力が不足しており、市場に出回っているものでは満足せず、代わりとなるソリューションに期待を寄せている取引所もあります」と、エーオンのマネージングディレクター兼金融機関業務担当リーダーのジャクリーン・キンタル(Jaqueline Quintal)氏は語り、次のように続けた。「まずは従来型の保険をある程度購入して、そこからキャプティブ保険を含む代替的な仕組みを検討するというのが、多くの取引所の辿る道だと思います。そういった交渉がますます増えてきています」

1/4ページ

最終更新:7/16(火) 11:40
CoinDesk Japan

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事