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韓日対立の状況で、「慰安婦」めぐる論争扱う映画『主戦場』が韓国で公開

7/16(火) 12:02配信

ハンギョレ新聞

日本の右翼の主張と再反論の激しい論理争い 日系米国人のミキ・デザキ監督、ドキュメンタリーに込め  米国にまで戦場を拡大する日本の右翼にも照明を当て 監督「強制徴用判決に対する日本の経済報復は残念」

 「日本軍『慰安婦』問題をめぐって繰り広げられる、銃声のない戦争の主戦場はどこか」

 ドキュメンタリー映画『主戦場』(25日公開)は、慰安婦問題を扱ったこれまでの映画とは異なる。映画を作った人は日系米国人のミキ・デザ監督キ(36)で、彼は「慰安婦」被害者を支援する団体や教授たちだけでなく、慰安婦の存在自体を否定する日本の極右派(歴史修正主義者)など30人余りにインタビューした。映画は、彼らが互いの主張を反論・再反論させる方式で慰安婦問題を眺める新しい観点を提示する。タイトルの通り、「戦場」を彷彿とさせる激しい論理争いが噛み付き合いながら進められる。

 光復節を控えて、また最近安倍政府が韓国最高裁(大法院)の強制徴用賠償判決に対する経済報復措置を断行した後、反日感情が高まっている中で公開されるこの作品が、韓国の観客にどのような反響を起こすかに関心が集まっている。

 15日に来韓したミキ・デザキ監督は、「安倍首相が話題を作ってくれて映画に対する関心が高まったことに感謝を伝えたい。安倍首相が映画を観るなと発言したことも広報に大きく役立った」と冗談を飛ばして笑った。さらに、「韓日間で慰安婦問題に関する情報の格差が大きく、これがしばしば争いにつながるという事実を知った。争点を明確に比較できるドキュメンタリーが必要だと感じた」と、映画を作ったきっかけを明らかにした。

 監督の言葉のように、映画は被害当事者女性たちを前面に出して彼女らの歴史を歪曲することを批判する代わりに、慰安婦問題を否定する日本の右翼らが根拠に掲げた文書やマスコミ報道などを緻密に追跡し、一つひとつ反論する。慰安婦強制連行の真実、彼女らに対する人身拘束と性奴隷化だったかどうかをはじめ、20万人と推算される慰安婦の数字の不正確さなど、やや敏感な部分まで引き出している。

 「当時米軍部隊が慰安婦を取材した重要文書を見ると、彼らはただの売春婦に過ぎず、報酬も相当もらったということがわかります」「なぜこんなに多くの人がばかばかしい問題に過度な関心を持つのでしょう。やはりポルノ的な関心を感じるんでしょうか」。 日本の右翼の代表的な論客である櫻井よしこ、自民党議員の杉田水脈、親日米国人弁護士のケント・ギルバート、日本最大の右翼団体「日本会議」の加瀬英明まで…。監督は日本の右翼が吐き出す「妄言」をこの上なく明快に論理的に反証していく。

 日系米国人2世で2007年から5年間日本で英語教師として働いた監督は、「日本の人種差別」に関するユーチューブ動画を上げて右翼の攻撃を受けた。その過程で日本軍「慰安婦」問題を初めて報道した植村隆元朝日新聞記者も同様な攻撃を受けたことを知った。「日本の右翼は『慰安婦問題』になぜこのように敏感になるのか?」映画の始まりであるこの疑問は、作品全体を貫く問題意識となった。

 「国家は決して間違えず、謝罪してはいけない」という日本の右翼の思想について、中野晃一教授や小林節教授など映画に登場する日本の知識人たちは「いまだにA級戦犯の慰霊を神として安置している靖国神社を参拝する天皇中心の宗教『神道』崇拝と戦前の『明治憲法』に戻ろうという根深い熱望に基づく」と指摘する。その中心には日本の極右勢力の本山である日本会議があり、安倍政府の閣僚の85%が日本会議の議員連盟に所属している。安倍首相の祖父が真珠湾攻撃を行った東条英機内閣の閣僚でA級戦犯だった岸信介であることを思い起こせば、根深い日本の右翼の歴史地図が描かれる。

 彼らの影響力は「教科書問題」にもつながる。1993年に日本軍「慰安婦」に対する日本政府の責任を認めた「河野談話」以降、97年に日本のすべての中学校の教科書が慰安婦問題を扱ったが、2012年の教科書から完全に消えたのは、日本会議が支援する「新しい歴史教科書をつくる会」の活動のためだ。

 日本の右翼は『主戦場』を米国に拡大している。映画は2013年7月30日に国外で初めて平和の少女像が建てられた米カリフォルニア州グレンデール市で、当時約100人の日本人が少女像の建立に反対する聴聞会を開き、激しく反対した様子を映している。日本の右翼は、米国人ユーチューバーを支援したり米国人記者を買収する方法で米国内の世論を変えようとする。

 監督は米国政府の責任も取り上げる。「米国が中国のけん制のための方便として北東アジアの最優先友好国である韓国と日本の拙速な和解を圧迫し続けた」ということだ。1965年の韓日国交正常化と朴槿恵(パク・クネ)政府の2015年の韓日日本軍慰安婦合意が驚くほど似ていたのは、「慰安婦問題に対する正義よりも、自国の利益を優先した米国の圧力のため」だ。

 4月に日本で先に公開されたこの映画は、右翼の反発記者会見などで話題を集め、独立映画としては珍しく3万人以上を動員した。「慰安婦問題を人種差別、性差別、ファシズムと立ち向かって戦うこと」と見るべきだとと強調したデザキ監督は「日本政府が最近、強制徴用の判決について経済報復で対応した点は非常に残念だ。慰安婦問題についても常にそうしてきた。これらの問題はいずれも『人権』の問題として見なければならない」と明らかにした。さらに「ただ、日本政府と日本人の考えは同じだとは思わない。この映画を通じて韓日が互いによく知らなかった情報を知れば、憎しみが減り生産的な討論と論争ができるようになるのではないか」という希望を伝えた。

ユ・ソンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7/16(火) 12:02
ハンギョレ新聞

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