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“すい星のごとく”現れたスマイル娘・渋野日向子 「なんか、エライことしちゃったんだなって思いました」【黄金世代・初優勝娘の前半戦総括】

7/17(水) 7:31配信

ゴルフ情報ALBA.Net

「資生堂 アネッサ レディス」から後半戦がスタートしている国内女子ツアー。振り返ってみれば、前半戦の17試合のうち黄金世代が5勝をマーク。なかでも前半戦で初優勝を挙げた3人は全員が黄金世代という活躍ぶりだった。そこで、後半戦でもさらなる活躍が期待される3人に前半戦を振り返ってもらった。今回はメジャー大会「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で初優勝を挙げた渋野日向子。

シンデレラガールの豪快ドライバースイング【連続写真】

「前半戦は、はっきりいって予想外の結果でした」

今やトレードマークとなった笑顔を見せながら、前半戦をこう振り返った渋野日向子。昨年プロテストに合格したこの黄金世代ルーキーは、開幕からわずか3カ月という短い期間で、女子ツアー界のトップ選手へと駆け上がった。それは本人すら予想していなかった、まさにシンデレラ・ストーリー。いまだ戸惑いや驚きを隠せないのは、このセリフを聞いても伝わってくる。

本格的なツアー挑戦は今年から。もともと昨年受けたQTでのランキングは40位と、前半戦の全試合に出場できる権利を持たぬまま開幕を迎えた選手の一人だった。シーズンが始まるにあたり、コーチの青木翔氏からは、『予選通過できるか、できないか。そういう瀬戸際の戦いが続くと思う』という話をされていたほど、不安も抱えながらのシーズンインだった。

「自分でもギリギリの試合が続くだろうなとは思っていました。開幕前に考えていたことは、『頑張ってシードを獲りたいな』くらい。優勝なんか全然考えていなかったし、『1年間で何回かトップ10に入れたらな』、それだけでした」

この“シード”というのも、自らを奮い立たせるために掲げた目標で、あくまでも『頑張って』手にする少し遠いものだった。開幕戦には出場することができず、初戦は2戦目の「ヨコハマタイヤ PRGRレディス」。だがここで、いきなり豊かな才能の片りんを見せることになる。

2日目を終え、首位と3打差の5位タイにつけた渋野。優勝を争う1人として、懸命のプレーを続けた。最終日は「73」とスコアを落とし、6位タイでのフィニッシュとなったが、それでも“何回か入れれば”と想定していたトップ10にいきなり入る活躍をみせた。

「最終日に(優勝した)鈴木愛さんと回って、『今のままではダメだな』と思いました。プレーを見て、違いを感じさせられた。ショットもアプローチもパットも、全て勝負どころでの強さが違うなと思いました。最初からこの経験ができたのは大きかったなと思います」

もともと同じPINGと用品使用契約を結ぶ鈴木は、渋野にとって普段からお手本にしている選手。特にこの大会で、いつも眺めていた練習中の姿ではなく、優勝争いをする鈴木の姿を目の当たりにしたことが、その後の試合を戦ううえで何物にも代えられない貴重な経験となった。

その後は2試合連続で予選落ちも経験。だがすぐに持ち直し、「ヤマハレディースオープン葛城」27位タイ、「スタジオアリス女子オープン」16位タイときて迎えたのが、渋野が「ここから変わった」と話す「KKT杯バンテリンレディス」だった。

「調子が悪いわけではないのに、いろいろかみ合わなくて…」と、初日「81」の大叩きを喫した渋野。出場108人中3人いた106位タイ、つまり最下位からのスタートを余儀なくされた。だが、これで「ここまで来たらガンガン狙おうって決めました」と開き直ると、2日目にはベストスコアとなる「66」をマーク。カットライン上の50位タイに滑り込み、予選通過を果たした。さらに最終日も「68」で回り、終わってみれば20位タイで大会を終えた。

この“ド派手”な試合は、渋野自身も「ターニングポイントですか?この『81』しか思い浮かばないですね」と語るほど。実際に、続く「フジサンケイレディス」で2位タイ、「パナソニックオープンレディース」13位タイと急激に安定し、上位争いが当たり前という選手となった。

そして、この流れのなか迎えたのがサロンパスカップだった。初日11位タイとまずまずの滑り出しを見せると、2日目には「68」で一気に2位タイに浮上した。そして3日目に「66」でトータル11アンダーまで伸ばすと、最後まで優勝争いを続けるペ・ソンウ(韓国)と並ぶトップタイへと躍り出た。3位の選手とは4打差。勝負は“一騎打ち”の様相を呈した。最後はその争いを制し優勝。20歳178日(当時)という同大会最年少優勝という記録も打ち立てた。

「この試合はパターが神がかっていたし、ピンチというピンチもなかった。(最終日)16番のセカンドが明暗を分けましたが、ここをしっかりと乗せることができたのも、よかったかな(ソンウがここでダブルボギー)。最終日の出だしでボギーを打ったんですけど、すぐにバーディを獲って。こういうのも今までにはないパターンでした。なんか『お~。お~!お~!!』みたいな感じで、気づいたら優勝していました(笑)」

試合後のインタビューで、「(優勝者が)私でいいんですかね?」と呆然ともいえる表情を見せていた渋野の姿は記憶に新しいが、こうして“当初の狙い”だった賞金シードどころか、メジャー大会の優勝者に名を連ねることになった。さらにその会見でも「3年もシードをもらえるんですか?賞金で50位までに入ればシードを獲ることができる、というのしか考えていなくて…」とメジャー大会で優勝者が得る権利も知らないほど、まさに望外のできごとだった。

「次の日、地元(岡山県)の新聞の1面にドーンって優勝のことが載っていたんです。他にも2ページ私のことが掲載されていて…、1ページでまとめればいいのにって(笑)。あと岡山で観光大使を務める話が来て、 なんか、エライことしちゃったんだなって思いました」

渋野に、この優勝がどんなものだったかを改めて振り返ってもらった。すると、少し考えた後、返ってきたのは「突然のできごとでした」という答え。そして、すぐに「(優勝するのが)早すぎたのかなというのも今は思います」と付け加えた。

初優勝を挙げた後は、予選落ちこそなかったが、渋野としてはなかなか満足のいく結果が残せなかったという。「自分が思うようなプレーができてなくて。(優勝が)気負いになってたのかな?そう思わないようにはしていたんですけど、やっぱりあったのかもしれない」。メジャー女王の肩書が、知らぬ間にプレッシャーにつながった。

それでも「ニチレイレディス」で、「ひさびさに思っていたゴルフができました。優勝してから、プレー時に冷静さを失っていました。『こんなにちゃんと考えていたかな』ってニチレイの時に思えました」とすぐに修正。見失いかけた自分を取り戻した。

このインタビューは、前半戦最後の試合「アース・モンダミンカップ」の会場で実施。この時に、後半戦の目標を聞くと、「2勝目はしたいですけど、そこにとらわれず…。賞金女王とかいっているけど絶対無理だし(笑)。賞金ランキング10位以内に入るのが目標ですね」と笑っていたが、直後の後半戦初戦「資生堂アネッサ レディス」ですぐに2つ目の勝利を手にした。賞金ランキングも現在2位。“絶対無理”な女王戴冠も、もちろん十分可能な位置につけている。

女子ツアーに現れたすい星は、「ニッポンハムレディスクラシック」も7位で終えるなど、もはや上位が定位置という実力を発揮し続けている。今季を終えた時、どれほどの結果を残しているのか?それは、我々はもちろん、本人にとっても未知数なのかもしれない。だが、その笑顔とともに、さらなる快進撃を見せる渋野の姿を期待しないわけにはいかない。

(撮影:佐々木啓)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:7/17(水) 12:44
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