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猫の殺処分減へ、不妊手術に懸命 年間5千件執刀の獣医師

7/17(水) 7:12配信

47NEWS

 野良猫のむやみな繁殖を防ぎ、殺処分や地域のトラブルを減らしたい。そんな思いで飼い主のいない猫の不妊去勢手術を年間約5千件手掛ける動物病院がある。埼玉県越谷市の「いながき動物病院」だ。今年は猫の引き取り先を探す保護猫カフェの運営も始めた。院長の稲垣将治さん(35)は「不妊手術をするだけで、たくさんの問題を解決できる」と訴え、多くの獣医師や住民に活動への参加を呼び掛けている。(共同通信=沢田和樹)

 ▽猫1匹が2千匹に

 5月下旬、いながき動物病院には猫の入ったケージ約30個が所狭しと並んだ。稲垣さんと妻の桃子さん(33)ら獣医師4人が、ボランティアの手を借りながら手術をこなしていく。「野良猫は術後に調子が悪くなっても気付いてもらいにくい。手術の傷は極力小さく。飼い猫より気を使います」と稲垣さん。2014年の開業以来、手術は増え続け、今年は6千件に達する勢いだ。

 稲垣さんは「手術される猫がかわいそうという人もいるけど、生まれてどんどん死んでいく猫がいることを知ってほしい」と言う。繁殖期に持ち込まれる野良猫は妊娠していることも多い。「手術後の子宮で冷凍庫がいっぱいになる。猫ブームの負の側面ですよ」

 野良猫は繁殖力が高い。環境省によると、計算上は猫1匹が出産すると3年後に2千匹まで増えるという。住民から餌をもらって元気になった野良猫はなおさらで、増えた猫の鳴き声やふん尿はトラブルの元になる。餌をあげる猫好きの人と猫嫌いの住民でけんかになることも少なくない。

 同省によると、17年度に殺処分された猫は約3万5千匹で、そのうち約6割が子猫。生まれてすぐに殺処分されたり、体力がなく死んでしまったりする猫は多い。

 そんな中、野良猫を捕獲(Trap)し、不妊去勢手術(Neuter)をした上で元の場所に戻す(Return)という「TNR」活動が盛んになっている。元の場所に戻した後は、餌をやる場所などのルールを決め、住民や行政が地域ぐるみで「地域猫」として面倒を見ることを目指す。手術後の猫は目印として耳先をV字に切られ、その形が桜の花びらに見えることから「さくら猫」とも呼ばれている。

 いながき動物病院の猫も、この活動の一環でボランティアらが持ち込む。手術費は持ち込んだ人が負担するが、同病院では手術を受けやすくするため、相場の半分以下の約4千~5千円で請け負っている。自治体や団体の助成金を使えば格安になる形だ。福島と茨城、千葉に分院があり、出張手術にもあたるほか、野良犬の多い地域では犬の手術にも携わる。

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最終更新:7/17(水) 7:12
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