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“狭間世代”で輝くダイヤモンド 大人の階段のぼる稲見萌寧のゴルフが楽しい【記者の目】

7/17(水) 9:24配信

ゴルフ情報ALBA.Net

タイから来たルーキーの19歳、S.ランクンが日本で初優勝を挙げた。参戦1年目。日本で活躍する1988年度生まれの“黄金世代”の1学年下。安田祐香や吉田優利、古江彩佳ら今年高校を卒業した“プラチナ世代”の1学年上。ステップ・アップ・ツアーでは同じくタイ出身で21歳のヌック・スカパンが同ツアー3連勝を飾るなど、アジア各国から、若手が次々と日本に乗り込んできている。

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そんな外国勢を待ち受ける日本勢も、今季は元気だ。レギュラーツアーでは毎週のように黄金世代が優勝争いを繰り広げ、ツアー活性化が進んでいる。そんなひとつ上の先輩達に“待った”をかけるのが、ランクンと同じ19歳のルーキーたち。中でも、先週の「ニッポンハムレディスクラシック」で自己最高の2位タイに入った稲見萌寧の活躍はめざましい。

昨年のプロテストに高卒で一発合格。プロデビュー戦となった「NEC軽井沢72」でいきなり11位タイに入り話題を呼んだ。その後はQTに進んだが、ファイナル進出を懸けたサードで失敗。今季は限定的な出場にとどまり、暗雲が立ちこめたかに見えた。

前半戦の出場は推薦出場がメインとなる予定だったが、数少ないチャンスをものにした。初戦となった「ヨコハマタイヤPRGRレディス」では予選落ちを喫したが、翌週の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」で9位タイに入ると、5月にはトップ5が2回。ところが、その後は元々出場資格がなかったため、指をくわえて眺めるしなかなかった。それでも5月の快進撃のおかげで第1回リランキングを難なく突破。そして先週、ついには自己最高位の2位にまで上り詰めた。

これで獲得賞金は2000万円を突破し、一気にランキングも上げたが、稲見の目標は「毎試合優勝争いをすること」と、賞金シード獲得などという『最低限』は視界にはない。最近の若手と話していて思うのが、目標を高く持つことが当たり前になっている。ツアーに出場して優勝を狙うのは当然のこと。誰しもが頂点を見るために戦っているが、それを堂々と口にする選手が増えている。

同じく今季はルーキーとして戦い、すでに1勝をマークしている河本結も「常に優勝を目指す」と鼻息は荒い。負ければ大粒の涙を流し悔しがる姿を何度となく見せてきたが、そんな姿を見ると応援したくなるのもファン心理。ところが稲見は、敗れてもサバサバした表情で、「優勝争いができていることはいいこと」といってのけ、次戦へ気持ちを切り替えていた。

後半戦の出場資格を得て思ったことは、「いろんなところにいけるのが楽しみ。なんか旅行みたいで(笑)」と、大会前から明るい表情だった。当然ラウンド中のミスにはしかめっ面も出るが、終われば次のことをすぐに考える。練習場にいる時間は課題にまっすぐに取り組み、長時間打ち続けることも少なくない。

初めてのツアー参戦でこれからは毎週試合が続くが、「息抜きは特にないです。普通に練習が楽しいし、空き時間なんてありません」とあっけらかんと笑う。唯一、食べることが楽しいですね。各地のいろんなおいしいモノを食べることができるので最高です(笑)」と、先週は4日連続で北海道人気のスープカレーを堪能。楽しそうに報道陣にも打ち明けてくれた。

まだまだ少女の面影を残す19歳だが、ひとたびラウンドに入ると、引き締まった顔になるのも魅力のひとつだろう。「元々はネガティブになりやすいんですけど、試合になったらやるしかないし、イケる!と思う(笑)。毎週優勝を目指していきます」と、ややイケイケな面もまたおもしろい。

先週の大会2日目。1番ホールでティショットを曲げて林の中へ。わずか数10センチの隙間を通そうとしたところ、キャディから止められ泣く泣くピン方向に打ち出すのを諦めた。ところがそこで6メートルのパーパットを沈めてパーセーブ。その後もノーボギーで、最終2位フィニッシュに向け、大きなラウンドとした。

怖さを知らない若者らしく、攻撃一辺倒だったゴルフが少しずつ大人のゴルフになっていく。「マネジメントは大事ですね。成長できていると思います」と、結果が思い描いた通りになってきている。「最低限のラインにいると思う」と現状を分析する稲見だが、黄金世代とプラチナ世代のあいだ、狭間世代で「ダイヤモンドになりたい」とキラキラとした目で話す。またひとつ出現した原石が光り輝くのはいつだろう。そのときを楽しみに待ちたいと思う。(文・高桑均)

(撮影:佐々木啓)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:7/17(水) 9:24
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