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多くの球児育てた小枝守氏の鳴らす警鐘

7/17(水) 16:40配信

東スポWeb

【ネット裏・越智正典】甲子園めざす高校野球地方大会が去る6月22日、函館地区で始まり「夏」である。小枝守(2019年1月21日逝去)に会いたくなった。51年東京両国生まれ。日大。25歳で母校日大三高監督。81年木更津の拓大紅陵監督。倫理の先生。92年夏準優勝。春夏甲子園10度。16年U18全日本監督。アジア選手権で勝った。彼の、小枝守著「球児に響く言葉力」(竹書房、18年12月刊)をもう一度読み始めた。表紙に彼の笑顔、会えた。

 話は日大三高に入学したときの部の最初のミーティングから始まる。鈴木吉三郎監督、「高校を卒業して社会人になろうとするときに10歳年上の人ともしっかり話が出来る器を備える人間になりなさい」。

 野球部長桑野卓先生。

「人間二心を持ってはいけない」

 太田誠駒沢大学監督の言葉。日大三高の監督になったときだろう。「小枝! 一生懸命のときは不平不満が生まれる。必死になったときに工夫が生まれるぞ」

 拓大紅陵時代のことでは女性マネジャーを書いている。思っている。「早朝練習の前日には我が家に泊まるのが慣例でした。家内とお米の研ぎ方、野菜の切り方、食器洗い、献立や味付けの相談。一度こんなことがありました。味噌汁を頂くと味が余りにも薄いので、味見をしたか聞くと、していません、私は言いました。母親になったとき、幼い子供に辛いものや傷んだものを食べさせたりすると大変なことになるだろう…。彼女たちは卒業を迎える頃には目配り、気配り、心配りが出来る立派な女性に成長します」

 小枝は選手間上下関係に注意していた。「トラブルが起こるのは最初が5月、6月。(一年生は)右も左もわからないわけですから上級生からすると何やってんだよ、という事態が起こりやすいのです。次が8月です。まだ体力がないので暑さでくたびれてしまって声もなかなか出なくなります。そこで上級生から声出せ! と言われる展開になって問題に発展します」

 終章の「小学生の指導者の方々へ」は鐘が鳴っているようである。

「…大の大人が始球式でたかだか18・44メートルの距離をとんでもないところに投げたりします。打つことでもプロ野球の一流打者ですら7割近くで失敗するわけです。小さな子供が失敗したことに対して監督やコーチが熱くなって大きな声で怒鳴ったりしますが、あなたが、小さい頃になんぼのものでしたか、という話です…小学生で失敗しない選手なんているわけがありません。あまりにも大人が完璧なプレーや勝ちを追い求めすぎると、叱られた子供は打ちひしがれてしまいますし、そのまま自宅に帰ったら家の雰囲気は良くないに決まっています」

 8月26日、神宮球場で、ナイターのU18全日本の壮行試合の前に、小枝守の追悼式がある。日本高野連の主催である。

=敬称略=(スポーツジャーナリスト)

最終更新:7/17(水) 17:14
東スポWeb

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