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【ライヴレポート】SUGIZO<聖誕半世紀祭 Day1>、「自分には仲間がいると感じる。幸せです」

7/17(水) 23:26配信

BARKS

LUNA SEA、X JAPANで活躍するSUGIZOの聖誕祭半世紀を祝う<SUGIZO 聖誕半世紀祭 HALF CENTURY ANNIVERSARY FES.>が、SUGIZOの誕生日である7月8日と、誕生日の前日である7月7日の2日間、中野サンプラザホールで開催された。その初日、7月7日のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆<SUGIZO 聖誕半世紀祭> 画像

定刻より30分ほど押しての開演。SUGIZOのユニットS.T.K.(Sensual Technology Kooks)メンバーである谷崎テトラが、DJとして会場時に実験的アンビエントを奏でる。シンセサイザーとPCで幻想的な音を鳴らし出す中、SUGIZOが登場し、S.T.K.としての演奏が始まった。

S.T.K.のことを簡単に記しておくと、谷崎テトラは環境や平和、社会貢献やフェアトレードなどのジャンルで活躍する作家であり、放送作家であり、メディア&音楽プロデューサー、トラックメーカーだ。その谷崎とSUGIZOのヴァイオリンが組み合わさった電子音響ユニットがS.T.K.。2005年より活動をはじめ、これまで<アースデイ>や<ピース・オン・アース>など、メッセージを発信する重要なイベントに数多く出演してきた。

ステージ上で二人の醸し出す音はまるで、海の中にいるかのように神秘的で深淵だ。しかも、ステージには海の映像が映し出され、続いて森へと映像が変わり、二人の演奏も森の中にいるような壮大なものになる。海から森へ……それはまるで生命の進化を辿っているかのようだった。そこへ、女性ヴォーカルのYaeが登場し、祈りのような美しい歌声を重ねていく。

この地球の歴史を考えたとき、人類の誕生は、大いなる変化をもたらしたと同時に、地球を破滅的な方向へとシフトさせてしまったことはご存知の通りだ。果たして、この美しい歌声は、地球を破壊から逃がすための祈りなのか。それとも、破壊とも知らず、文明を謳歌する人類の無邪気な声なのか……。

この日、S.T.K.が約20分の持ち時間で演奏した曲は「Breath」という呼吸音をベースにしたアンビエント・サウンドスケープと六ヶ所村の核燃料再処理工場の問題を謳った「ROKKASHO」という2曲のみ。この壮大な曲は、オーディエンスにいろいろなことを語りかけた。SUGIZOはギタリスト、ヴァイオリニスト、コンポーザーとしてだけではなく、環境問題、エネルギー問題、難民問題にも深くコミットしているアクティビストの一面があるが、自らの聖誕祭の開幕に、今、SUGIZOが最も関心を抱いていることをオーディエンスに問いかけるという、実にSUGIZOらしいものだった。

S.T.K.はオープニングアクト的な立ち位置だったので、<聖誕半世紀祭>の事実上のトップバッターを務めたのがlynch.だ。SEの「AVANT GARDE」が流れると、満員の中野サンプラザは総立ちになり、手拍子を鳴らす。そこにメンバーが登場し、1曲目「LAST NITE」を演奏。lynch.は1ヵ月前の6月6日に自身の中野サンプラザ公演を大成功に収めたばかり。この日も貫禄すら感じるパフォーマンスで、オープニングからオーディエンスを熱狂へと引き込む。2曲目の「GALLOWS」が始まる前に葉月(Vo)が「中野!ようこそ処刑台へ」と煽り、葉月自らもデスヴォイスで会場のヴォルテージをさらに上げた。

lynch.を体感すると、ふたつのことがくっきりとわかる。ひとつが音の太さだ。この日の演奏でいうと、3曲目に演奏した「CREATURE」でそれが顕著だったと思う。特に明徳のベースの鳴りはぜひともライヴで体感して欲しいし、ここ最近の地に足が着いたlynch.の骨太い演奏を聴いていると、一音で観客をぶっ倒すベテランパンクバンドあたりとの対バンが見たくなる。「実は、僕は最近のヴィジュアル系のバンドが嫌い。個性がないし、演奏のクオリティも低いから」と公言するSUGIZOが自らの<聖誕半世紀祭>にlynch.を呼んだのがよくわかった。ふたつめがエロさだ。6曲目の「pulse」のMCで葉月が「全員でSEXしようぜ!」と言っていたのが象徴的だが、骨太でありながら、このバンドには色気というかエロさがある。それがまたこのバンドの魅力だし、ライヴではそれが毎回遺憾なく発揮されている。

また、この日のステージでは、4曲目にSUGIZOが登場し、LUNA SEAの「IN FUTURE」をSUGIZO + lynch.で演奏。この曲はライヴの際、ギターソロが終わった直後のリフをSUGIZOが一回ずつ止めるのが慣例だが、その部分をSUGIZO→玲央→悠介の順で回す演出をして、会場を大いに沸かせた。40分のステージだったが、lynch.は<聖誕半世紀祭>のトップバッターの役割を見事に果たした。

lynch.の余韻が冷めないまま場内が暗転。静寂の中、sukekiyoが登場した。sukekiyoとはDIR EN GREYの京(Vo)のアザープロジェクトだ。SUGIZOが京のことを天才と称しているのを聞いたことがあるが、実際、DIR EN GREYのライヴを観る度に京ほどの唯一無二のヴォーカリストはいないと実感する。そして、そんな京が率いるバンドsukeiyoも唯一無二の世界観を持っていた。

1曲目は「偶像モラトリアム」。曲の世界観もさることながら、京はこの曲で観客に背中を向けたまま歌い切った。実は、sukekiyoのライヴはライヴの常識をことごとく打ち破る表現への挑戦がひとつのアイデンティティになっている。ワンマンではライヴの終盤までステージに網のような幕がかかったままだったり、オーディエンスは着席したままライヴを鑑賞することになっているし、京は歌う意外に言葉を一切発しない……など、エンタメ化、パターン化した昨今のライヴとは真逆の立ち位置にいる。エンタメ化したライヴをハリウッド映画とするならば、sukekiyoは単館系アート映画と言っていいだろう。実際、京はヤン・シュヴァンクマイエルの大ファンだと記せば、sukekiyoの媚びないシュールな世界観が映画好きにも伝わると思う。

この日のライヴはsukekiyoのワンマンではないので、初めてsukekiyoのライヴを観る人もいて、1曲目の「偶像モラトリアム」の演奏開始時はスタンディングのオーディエンスも居た。が、曲が進むにつれ、sukekiyoの世界観に引き込まれて、見渡せば全員着席、sukekiyoの演奏や京の表現を食い入るように観て聴いている。いわゆるフェスで、会場全員がこれだけ集中して演奏を観ている光景は珍しい。それくらい、sukekiyoのライヴは緊張感というか吸引力がある。それでも曲順が進むにつれ、オーディエンスは立ち上がり、音楽に身体を預けるようにライヴを楽しみ出した。ワンマンでは観られない光景だが、それもあってかバンドの演奏もどんどんエモーショナルになっていく。

そして、3曲目にLUNACYの「SHADE」が演奏された。「SAHDE」はLUNA SEA結成の年1989年に出来た曲。そうした意味のある、しかもマニアックなカヴァーをするあたりも流石は京だ。そして、この曲で着席モードだったオーディエンスはみな立ち上がり聖誕半世紀祭モードへ。聖誕半世紀祭という非日常×sukekiyoという掛け算でオーディエンスは、常識や慣習といったものから完全に解き放たれた。

極めつけは7曲の「ただ、まだ、私。」だ。耽美的なピアノから始まるこの曲は、決して激しい曲ではないが、その抒情的な世界に完全に引き込まれてしまった。そして、最後に「漂白フレーバー」を演奏。変拍子の不思議な曲で、GREATFUL DEADの丁度半世紀前にあたる1969年発表の名盤『Live/Dead』の世界に迷い込んだ感覚にとらわれた。曰く、JAZZYでACID、懐かしくて斬新な音の世界だ。こんな曲を作り、表現し仕切れる京というヴォーカリストはどこまで深化するのか、その才能に改めて脱帽すると同時に、SUGIZOの“京は天才”の言葉が腑に落ちた。

トリはSUGIZO COSMIC DANCE QUINTET。“COSMIC DANCE QUINTET”(C.D.Q.)はSUGIZOのソロプロジェクトの核となるバンドだが、知らない方のために記しておくと、ヴィジュアル系音楽とは全く違うアプローチによる、テクノ、サイケデリックトランス、ダブ等を基調としたエレクトロニクスサウンドだ。バンドもドラム、パーカッション、マニュピレーター&シンセサイザーの3人+SUGIZO(G / Vn)に加え、映像作家&VJ、という5人編成でのインストがメインとなる。

19:50、場内が暗転。ステージのスクリーンにはSUGIZO自身がタトゥーにも入れている“フラワー・オブ・ライフ”の模様が映し出され、SEの「THE LAST IRA」が流れる中、メンバーがステージに登場。これに続いてSUGIZOも登場し、「改めて、SUGIZOです。一緒に昇天しましょう」と短いMCを挟んで、1曲目の「IRA」がスタートした。ソリッドなリズム、レーザービーム、そしてSUGIZOのエモーショナルなギターで、早速サイケデリック&アヴァンギャルド・ワールドを満開にさせ、超満員の中野サンプラザを昇天させる。

2曲目もサイケデリックトランスな「MESSIAH」。曲の途中でSUGIZOがクルクルと回るのを見て、SUGIZOは重厚でありながら華麗、稀有なギタリストなんだなぁと実感した。また最初の2曲で中野サンプラザが海外のレイブパーティーのように揺れていたのが印象的だった。3曲目は「Lux Aeterna」。一転して耽美的で深淵な音の世界が繰り広げられた。しかも、VJによる映像は、戦争や難民の子供たちを映し出す。「MESSIAH」で躍らせ、「Lux Aeterna」でメッセージをぶち込んでくるのは音楽人生30年のキャリアを持つSUGIZOならではの構成だ。

というのも、大切なことは、机で勉強しているだけでは頭で理解しても心が付いていかず、生きた知識にはならない。ダンスで身体を揺らし、汗をかきながら、メッセージを体感するほうが、より人の奥の方へ届く。そんなことをSUGIZOは30年というキャリアの中で自然と得したような曲順だった。余談ではあるが、50年以上のキャリアを誇るアメリカのソウル・グループ、オージェイズが最後のアルバムをリリースした。同作品はダンスフロアからメッセージをというのがテーマにあるもので、最高のダンスチューンのみが収録曲だが、社会問題を扱っている名盤でもある。このアルバムの構成も素晴らしく、フィジカルに躍らせて、問題を身体に沁み込ませてくる。

4曲目は「Proxima Centauri」。SUGIZOがヴァイオリンを奏でる宇宙的な壮大な曲だ。こうした壮大な曲を聴くと、人間の小ささと同時に、人間の傲慢さみたいのものに気付かされてしまう。SUGIZOの曲はインストだが、ヴァイオリンもギターもどこまでも雄弁だ。

そして5曲目は京をゲストに迎え「絶彩feat.京」を演奏。2017年のアルバム『ONENESS M』に収録されているが、音源同様にライヴで京をフィーチャーしたのは今回が初。しかもSUGIZO自身が「ライヴで京くんを迎えてこの曲を演奏するのはこれが最初で最後だと思う」と公言するなどスーパーレアな光景だけに、オーディエンスはその演奏をかみしめるように聴いていた。続く6曲目の「ENOLA GAY RELOADEDでは、ヴィジュアル面でもしっかりとメッセージを伝えた。原爆爆発のシーンなど、核に関する映像が流れる中、SUGIZO自身も曲の間に「NO NUKES」と記された旗を振った。そして曲が終わった瞬間に「NO MORE NUKES PRAY THE GUITAR」のメッセージがスクリーンに映し出された。そしてトランシーなラウドロック「TELL ME WHY?」で本編が終了した。

オーディエンスは当然、アンコールの拍手を送っていたが、そこに奇蹟のような連鎖が生まれた。数人のオーディエンスが携帯のライトを照らしながら“ハッピーバースデー・トゥー・ユー”を歌い出し、最初は数える程度の人数だったが、歌が2巡目に入ると会場全体が携帯ライトをかざして歌っている。そんな奇蹟的な景色の中、SUGIZOがステージに登場。本当に嬉しそうだ。そして、意外な事実を語り出した。実は、SUGIZOが誕生日にライヴをやるのがこれが初。しかも、誕生日にライヴをやるのは本当に嫌だったという。でも、50歳なので、最初で最後、誕生日にライヴをやろうと意を決したんだそうだ。

「でも、長生きをしてみるもんだね」と、穏やかに語るSUGIZO。普段は自分が何のために生きているのか、自分は本当にこの世界に必要なのか苦悩しているそうだが、「ライヴでステージに立つと、メンバーやオーディエンス……自分には仲間がいると感じる。幸せです」と微笑んだ。が、その次の瞬間、「でも、世界に目を向けると戦禍に苦しんだり、難民になってさまよっている人達がいる。僕らは日本にいて幸せだけど、ぜひ世界にも目と心を向けて欲しい」とSUGIZOらしいメッセージを放った。

そして、ここで突然lynch.の葉月が“フラワー・オブ・ライフ”模様のバースデーケーキを持ってステージへ。葉月の呼び込みでsukekiyoとlynch.のメンバーも登場。会場全員で改めて“ハッピーバースデー・トゥー・ユー”を歌い、SUGIZOがケーキのローソクを吹き消すと会場からこの日一番の祝福の拍手が起きた。

さらには原田環境大臣がステージに登壇、SUGIZOに感謝状を寄与した。これはSUGIZOが水素エネルギー及び再生可能エネルギーの発展に貢献していることによるもので、この日のライヴもSUGIZO関連の演奏に関しては楽器用電源を水素エネルギーで賄っていた。とは言え、権力に対してアンチなSUGIZOが大臣賞を受けたのは正直意外な感じもある。ただ受賞直後、ステージ上で「感謝状を受け取るかどうか、正直迷いましたが、感謝状を受けたことが広まることによって、再生可能エネルギーの必要性や、水素社会の実現に向けて、世の中のブースターになれればと思い、受け取ることにしました」と素直な気持ちを語った。これには会場から大きな温かい拍手が起きた。

また、アンコールで着用したカラフルなロングジャケットについての説明もあった。ジャケット“エデン”にはイラクの小児癌の子供たちが描いた絵がプリントされているという。この子供たちが癌になったは湾岸戦争やイラク戦争時の劣化ウラン弾のため。しかも既に亡くなっている子供もいるそうだ。SUGIZOは改めて、争いをなくすこと、そしてエネルギーシフトを行うことを念頭に邁進すると誓い、アンコールでは最高のサイケデリックトランス×ファンクチューン「DO-FUNK DANCE」と、MAIKOのピアノをフィーチャーした静かで神秘的な「Synchronicity」を全身全霊で演奏し、<聖誕半世紀祭>の初日が幕を閉じた。

実はこの日、リハーサルからSUGIZOに密着していた。“スパルタリハ”と呼ばれるSUGIZOのリハーサルは自他共に認めるストイックなもので、納得できない箇所に関しては声を荒げてでも厳しく指導する。SUGIZOは自分にも他人にも厳しく、よりいいものを徹底的に要求するミュージシャンである。ただそれは、自分のためだけではなく、会場に足を運んでくれるオーディエンスのため。そして、この地球の未来を少しでもよくするためのものでもあるように、この日のライヴを観て感じた。全身全霊とはSUGIZOのためにある言葉のように感じた日だった。

取材・文◎ジョー横溝


■<SUGIZO 聖誕半世紀祭 HALF CENTURY ANNIVERSARY FES.>
2019年7月7日(日) 中野サンプラザホール
open16:30 / start17:00
▼出演者
OPENING ACT:S.T.K.
lynch.
sukekiyo
SUGIZO

2019年7月8日(月) 中野サンプラザホール
open18:00 / start18:30
▼出演者
OPENING ACT:SUGIZO × HATAKEN
TK from 凛として時雨
TAKURO (GLAY) Journey without a map BAND
SUGIZO
GUEST:TERU(GLAY) / 清春


■アニバーサリーイベント<GUNDAM 40th FES.“LIVE-BEYOND”>
9月7日(土) 幕張メッセイベントホール
open17:00 / start18:00
9月8日(日) 幕張メッセイベントホール
open16:00 / start17:00
▼出演者 ※50音順
9月7日(土):西川貴教、森口博子、LUNA SEA ・・・and more
9月8日(日):澤野弘之 / SawanoHiroyuki[nZk]、森口博子、LUNA SEA ・・・and more
※出演者は予定なしに変更となる場合がございます。
※出演者変更に伴うチケットの払戻しは致しかねます。
▼チケット
全席指定 9,800円(税込)
※3歳以上有料

最終更新:7/17(水) 23:26
BARKS

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