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家に遊びに来ていた仲間が泥棒だった!?~元たま・石川浩司の「初めての体験」

7/17(水) 16:27配信

DANRO

今回のコラムでは、僕が初めて泥棒に入られたときの話をしたいと思う。

前々回のコラムで書いたが、僕が初めてひとり暮らしをした高円寺のアパートは仲間たちの”たまり場”となっていて、元たまの知久君など多くの貧乏アーティストたちがひっきりなしに訪れる場所となっていた。

【画像】石川浩司の空き缶コレクション

そんな中に、Nという人もいた。同じ高円寺にアパートがあるはずなのに、なぜか全然家に帰らない。昼間は出かけるが、夜は必ず泊まっていったので、「ははあん、家賃滞納していて帰れないんだな」と思っていたが、一応年上なので深い追求はしないでいた。(石川浩司)

Nに貸したレコード

Nは時々、音楽をカセットテープに録音するために、「ちょっとレコードを貸してくれるかな」とお願いしてきた。当時はまだアナログ盤レコードの時代で、友達同士でレコードを貸し借りしてカセットテープにダビングするのは、音楽好きならみんなやっていたことだった。当然僕もNにレコードを貸してあげていた。

そんなある日、僕の部屋にあった数百枚のレコードが一枚もなくなっていた。しかも、Nの姿も忽然と消えていたのだ。それからしばらくすると、僕の友達たちが大挙して僕の部屋に走り込んでこんできた。

「Nはいねえかっ!」

なんと、Nが昼間に出かけていたのは、高円寺中の友達の家を渡り歩いて、いろんな物を借りていたのだ。そして質屋に全部売っ払って、トンズラしてしまったということだった。

高級品の音響機器やギターをやられた奴もいて、「どーりで近くの質屋で見たことのあるギターが置いてあると思ったら、あれオレのじゃんかっ!」と叫んでいる奴もいた。

すっとぼけるN

そして何の音沙汰もなくなって約1カ月、友人が高円寺の駅前のおでん屋にいるNを偶然発見し、咄嗟に声をかけた。

「おい、N!」

すると彼は一瞬動揺したもののすぐにすっとぼけて、「はっ? どなたですか!? 僕は佐藤というものですけど・・・」と返してきた。

「何言ってんだ、N! みんなから借りた物返せよ!」

ところが彼はあろうことか「なんですか!? 僕を脅すんですか? 警察行きますか?」ときた。

「おぉよ、のぞむところよ!!」

しかし交番に着いた途端、Nは率先して中に入るや「すいません。なんか知らない人に脅されてるんですけど・・・」と警察に助けを求めた。

まず警官がジロッとNと友人を見た。ここで友人は自分の分が悪いことに気づいた。なぜならNはまともな服を着ていて、まっとうな社会人に見えた。対する友人は坊主頭に雪駄履き。

ここでもし「はーい、突撃街頭テレビでーす! さぁ、100人に聞いてみましょう。このふたりのうち、犯罪に手を染めていそうなのは、さてどっちでしょー?」と聞かれたら、全員が無言で友人の方を指差すであろう。

警官は「おでん屋でいきなりいいがかりをつけられたNさん」という認識で、本当の被害者である友人は完全に被疑者だった。

「おたく、職業は・・・?」

友人はバイト暮らしだったが、その時はたまたま何もしていなかったので、「いっ、いや仕事は別に・・・」と答えた。警官の目がギロリと光る。形勢が逆転したと判断したペテン師Nは余裕の表情。警官も「どこかの組織に入ってるのか!」と詰問してきた。

友人は突然の成り行きにおどおどしてしまい、「いやあの、僕と彼は元々友人でして、彼はNっていうんですけど、彼がいろんな友人から、あ、あの、物を借りたままいなくなりまして・・・」としどろもどろに答える。ところがNは、「僕はNじゃなく佐藤です! この人はいつもこういう手口を使ってるんじゃないですか!?」と逆にたたみかけた。

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最終更新:7/17(水) 16:27
DANRO

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