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子どもの虐待「どんな親がこんなひどいことできるの?」そう思っていた。彼女たちを知るまでは

7/17(水) 10:09配信

ハフポスト日本版

両親を訴える。僕を産んだ罪でーー。
わずか12歳の少年は法廷で、まっすぐ前を向いて口を開く。

そんな衝撃的なシーンから始まる映画がある。2018年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した『存在のない子供たち』(7月20日日本公開)だ。

舞台は、日本から遥か遠く離れた中東レバノン。しかし映画が扱うテーマは、子どもの貧困や虐待。途上国のみならず、先進国の日本にも存在する現実だ。

映画は、監督のナディーン・ラバキーさんが3年間にわたって貧困地域に足を運び、リサーチした内容を元に制作された。監督はそこでどんな現実を目の当たりにし、それをどのように作品に落とし込んだのか。

映画の公開に先立って、7月上旬に来日したラバキー監督をインタビューした。

「あなたは今、生きていて幸せ?」「ノー」

主人公のゼインは、貧困家庭に生まれ、十分な衣食住や教育の機会も与えられず、親の愛にも餓えた12歳の少年。

《大人たちに聞いてほしい 世話できないなら産むな 僕の思い出は けなされたことやホースやベルトで叩かれたことだけ 一番優しい言葉は”出ていけ クソガキ” ひどい暮らしだよ何の価値もない》

ゼインはそんな怒りと失望から、自分を産んだ罪で両親を訴える。

「自分を産んだ罪で両親を訴える」というエキセントリックなアイデアはなぜ生まれたのか。

ラバキー監督は3年間に及ぶリサーチ期間で、貧困地域、拘置所、少年院、シェルターなどを訪れ、親にネグレクトされたり虐待を受けたりした子どもたちと対話をしてきた。

“ 私は子どもたちに出会うと、いつもある質問をしていました。

「あなたは今、生きていて幸せ?」と。

そうすると、99パーセントの子どもはこう答えるの。

「ノー」

「生まれてこなければよかった」「私を愛してくれないのに、どうして両親が私を産んだのかわからない」と“

自分の年齢や誕生日すら知らない子どもたちもいた。彼らは、これまで誰からも『お誕生日おめでとう』と祝福されたことがなかった。「今まで愛を感じたことがなく、自分の人生に何の価値も見出せない」そんな子どもが存在する現実に心を打たれた。

「自分を産んだ罪で両親を訴える」というアイデアは、そんな子どもたちとの出会いから「パズルのピースがピタリとはまるように」心に突然浮かんできたもの、と監督は言う。

「確かにアイデア自体は非現実的かもしれない。でも私には、このアイデアが子どもたちの心の底の『怒り』を象徴するもののように思えるんです」監督はそう話す。

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最終更新:7/17(水) 10:09
ハフポスト日本版

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