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祖父から3代続く郷土作家 日展会員「磯尾柏里」の世界 彫塑や木彫を展示/兵庫・丹波市

7/17(水) 11:01配信

丹波新聞

 兵庫県文化賞を受け、木彫の作品を数多く残した同県丹波市柏原町の彫刻家・初代磯尾柏里(はくり)。その孫で、3代目の隆司さん(60)が20日から、同市氷上町の植野記念美術館で「三代目 磯尾柏里展」を開く。日展で入選を19回、うち特選を2回重ね、現在は、出品作品を審査する資格を持つ日展会員として活躍している3代目の彫塑や木彫などを展示する。初代の祖父、2代目の父親の作品も一部並べる。8月25日まで。

美術部の教え子が彫刻個展企画、初代磯尾柏里の四男

 3代目は、同県立柏原高校では美術部に在籍し、金沢市立金沢美術工芸大学(当時)の彫刻科で学んだ。卒業し帰郷した1983年に日展で初入選。2000年に女性の裸像の「大地2000」で特選に輝き、07年には当時、15歳だった長男をモデルにした「明日へ」で2回目の特選に入った。15年には日展の審査員を務めた。

祖父が初代、父が2代目、そして3代目に

 初代(本名・健治さん)は、貧苦と闘いながら独学で彫刻を究め、1968年、県文化賞を受賞。その年、受賞記念展が柏原町で開かれ、「一堂に展示された作品を見て、子どもながらにすごいと思った」と3代目。翌年、3代目が10歳の時に亡くなった。「名利に無頓着で、彫刻に全身全霊を注いだ初代の生き方は、僕にとって理想とするもの」と話す。

 日展作家でもあった2代目柏里(本名・健一さん)の仕事ぶりを子ども時代から見てきた。一つの角材がまたたく間に形になるのを見て、「手品のよう」と感心。初代の記念展で受けた感慨も加わり、小学校を卒業する頃には「将来、彫刻をやりたい」と思っていたという。柏原高校美術部では、同部の顧問だった、2代目の弟で叔父にあたる日展作家の関口寛治さんから指導を受けた。

 初代は職人肌の作家、2代目は日展出品などを通して技術を磨いた。「大学で勉強をさせてもらった僕は、二人と違って基礎から彫刻を学んだ。その点に関しては、二人に負けないという自負があります」と3代目。「ただ、木彫に関しては二人に及んでいないと思うけれど」と苦笑いする。

 柏原高校美術部のOBで90年に結成したグループ「MAY美(BE)」も、成長に大きな刺激となった。高みをめざして制作に打ち込む10人ほどのメンバーと切磋琢磨。「それまでは日展で特選を取れるなんて思わなかった。でも、メンバーから刺激を受け、特選をめざそうと思うようになった」。結成から10年後、日展で初の特選に輝き、「忘れられない思い出の一つ」と話す。特選を喜んでくれた2代目は、翌年に亡くなった。

「彫刻の裾野広げることが役目」

 今年、還暦を迎えた。「今は、彫刻に親しむ人が少ない。彫刻のすそ野を広げるのが、これからの役目と思う」という。

 展覧会では日展、日彫展の出品作30点のほか、木彫など約30点を出品する。「展覧会を開催してもらえるのは光栄なこと。でも、それだけの実力があるのかと思うと、不安と恐怖を感じます」と話した。

最終更新:7/17(水) 11:01
丹波新聞

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