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老舗企業の市場退出、2018年度は過去最多 「町の服屋」など地域の小売店が多く占める

7/17(水) 9:20配信

帝国データバンク

老舗企業の市場退出、2018年度は過去最多に 増加期間は過去最長に並ぶ

 日本は世界有数の“長寿企業大国”として知られている。100年に1度と言われるリーマン・ショック後の大不況、東日本大震災を経てなお事業を継続させ、業歴100年以上に達した老舗企業は全国で3万社を超えている。事業環境の変化や数多の経営危機を乗り越え、長年の経験に裏打ちされた有形・無形の教訓や経営資源を蓄積している老舗企業の存在は、経済活動の礎となるのみならず、雇用確保の面から極めて重要であると言われている。

 一方、近年はIT化の進展などで加速する事業環境変化への対応や、後継者不在による事業承継が困難となり、退場を余儀なくされた老舗企業もみられている。

 こうしたなか、2000年度(2000年4月~01年3月)から2018年度までの、創業100年以上の老舗企業の倒産・休廃業・解散件数をみると、2018年度は465件(前年度比0.9%増)となった。前年度からの増加幅は縮小したものの、4年連続の増加は2005~08年度と並び最長。2018年度の件数は、過去最多となった2017年度(461件)を上回り、3年連続で2000年度以降で最多を更新した。また、2018年度の老舗企業の倒産・休廃業・解散件数は倒産・休廃業・解散全体における1.48%を占め、同割合は過去最高となった。

 倒産した老舗企業をみると、2018年度は101件。前年度比27.8%の大幅増加となり、この増加幅は東日本大震災翌年度の2012年度(24.7%増)を超えた。休廃業・解散となった老舗企業は364件(前年度比4.7%減)となり、5年ぶりに前年度を下回った。

「呉服・服地小売」が3年ぶり最多に、固定客の高齢化や消費者の呉服離れなどが要因

 2018年度の業種大分類別における倒産・休廃業・解散件数をみると、最も多かったのは「小売業」(167件)となり、構成比で35.9%を占めた。以下、「製造業」(103件、構成比22.2%)、「卸売業」(95件、同20.4%)の順。このうち、製造業は件数ベースで過去最多となったほか、「建設業」(46件、同9.9%)も同様に過去最多となった。

 2018年度の業種細分類別の倒産・休廃業・解散件数をみると、最も多かったのは「呉服・服地小売」の22件となった。呉服・服地小売が全業種中最多となるのは、2015年度(14件)以来3年ぶりとなったほか、件数では2012年度(21件)を上回り過去最多を更新した。「呉服・服地小売」では、固定客の高齢化や消費者の呉服離れなどの要因で市場の縮小が続き、事業継続の見込みが立たないことから廃業する企業が多い。

 2位は、「ホテル・旅館」と「婦人・子供服小売」の18件。「ホテル・旅館」では、バブル経済期に増築した設備投資負担が重荷となっていたものの、近年は訪日外国人観光客による宿泊客の増加など経営環境が好転したことで、事業再生型の法的整理を目指すケースが多くみられた。

「婦人・子供服小売」では、2018年度は過去最多件数となった。地場商店街などに出店していた老舗ブティックなどが、郊外型の大型量販店やアウトレットパークなどが隣接地域に進出したことや、利便性が向上したインターネット通販などで顧客を奪われ、事業が成り立たなくなったケースが多い。

 このほか、「木造建築工事」(13件)や「時計・眼鏡・光学機械小売」(9件)、「金物卸売」(8件)などが、2000年度以降で最多件数となった。

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最終更新:7/17(水) 9:21
帝国データバンク

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