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そのとき、父はーー。「就職氷河期世代」が家族に求めること、強いていること

7/17(水) 11:58配信

BuzzFeed Japan

「しつけのつもりだった」ーー子どもに暴力をふるって逮捕され、こう述べる父親たち。「教育虐待」という言葉にも注目が集まる中、父親たちに何が起きているのだろうか。家族問題や児童虐待を長く取材し続けているルポライターの杉山春さんに聞いた。【BuzzFeed Japan/小林明子】

【保存版】虐待から子どもを救うため、大人が知っておきたいこと


なぜ、我が子が息絶えるまで暴力をふるったのか。なぜ、子どもの悲鳴を無視することができたのか。子どもという圧倒的な弱者の死を前に、その親が抱えていた問題は、あまり表に出てこない。

「子どもを死なせてしまうほどの親は、深刻な病理性を抱えています。ひどい親だということは確かですが、ひどいというだけは済まない問題が背景にはあります」

こう語るのは、児童虐待や家族問題の取材を続けているルポライターの杉山春さんだ。

杉山さんは、自らが取材した大阪2児置き去り死事件をモデルにした山田詠美さんの小説『つみびと』を読み、我が子に虐待をした親を取り巻いていた環境や周りの人たちに思いを馳せたという。

家族に期待する父親たち

杉山さんは複数の虐待事件の関係者に取材をし、「父親」の存在に注目していた。

子どもを置き去りにしたシングルマザーの隣にいたはずの見えない父親。子どもに暴力をふるった親を育てた抑圧的な父親。

虐待で子どもを死なせる父親も後を絶たない。逮捕されるたびに「しつけのつもりだった」という言い分が繰り返される。

「虐待の事件を取材して見えてきた父親像のひとつは、家族に過度に期待をかける父親です」

「ひと昔前の、家庭を顧みない父親ではありません。家庭にアイデンティティを置き、よい家庭を持っていることを表明したい父親たちです。だからこそ、家族を思い通りにしようとし、無理を強いてしまうのではないでしょうか」

完璧な親であれという呪縛

ていた時期があったことを、ルポルタージュで書いてきた。

2000年、愛知県武豊市で3歳の長女を段ボール箱に閉じ込めて餓死させた21歳の母親は、その2年前に長女が入院したときは、病室に泊まり込んで付き添った。2人目を妊娠中だったにも関わらず、簡易ベッドを夫に譲り、床に敷いたバスタオルの上で寝ていた(『ネグレクト 育児放棄ーー真奈ちゃんはなぜ死んだか』※以下、文中の年齢はいずれも当時)。

2010年、大阪市西区のマンション自室に3歳と1歳の姉弟を放置して死亡させた23歳の母親も、離婚するまではママサークルの中心メンバーの一人で、布おむつ、母乳で育てていた(『ルポ 虐待:大阪二児置き去り死事件』)。

子育てを「頑張る」ことに執着し、「完璧な親」になろうとする。今や、母親だけでなく、父親もそうなっているのではないかと指摘する。

「良い夫でいたい、良い父親に見られたい、と男性たちも切に望むようになっているのではないでしょうか。それが叶わないと、子育てを困難だと感じてしまうのです」

頑張り過ぎた結果、子育ての至らない部分は隠そうとする。SOSを出せず、支援の手を借りることも思いつかず、孤立していく。虐待死は、そんな環境のもとで起きる最悪の結末だ。

杉山さんは取材を通して、こう考えるようになった。

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最終更新:7/17(水) 12:16
BuzzFeed Japan

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