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芸術品のように魅せる。こだわりの美術セット『ごん-GON, THE LITTLE FOX-』メイキングvol.3

7/17(水) 11:50配信

CINEMORE

日本人が作る日本の家。だから妥協はできない

国産ストップモーションアニメ『ごん-GON, THE LITTLE FOX-』メイキング連載第三弾。今回は美術セットや小道具を紹介する。


 今回の美術セットで最もこだわったのは兵十と母親が住む古民家のセットだ。設計から一年余かけて制作された。

 このセットを作るため、まず参考にしたのが原作者の新美南吉が生まれ育った環境である。南吉の出身地、愛知県半田市には新美南吉記念館があり、作品にまつわる資料が保存されている。『ごん』のチームはまずこの記念館に足を運んだ。さらに、古民家が移築・展示されている川崎市の日本民家園に赴き、家の構造について知識を深めた。本物の古民家を直接見て得られるものは大きかったという。

 「日本人が日本家屋を作るのだから、中途半端なものにはしたくない」その想いのもと、細部まで丁寧に作り込んだ。

 家の主な建材には桐を使った。桐は木目が細かくまっすぐなため、ミニチュアサイズにしてもよく馴染む。板の間の床は、本物と同じように柿渋を塗って磨き上げた。

 天井を支える梁(はり)には流木を使った。自然な曲線を生かすため、曲がり具合に合わせて他の構造を調整する。

 よく見ると、柱や梁には「はつり跡」が刻まれている。昔、ノコギリがなかった時代は木材を釿(ちょうな)という斧で細かくはつって(削って)木を製材していた。

 こうした時代考証に基づいた作り込みが、登場人物たちがそこで暮らしている説得力をよりいっそう強めている。

ミニチュア作りは素材探しから

 兵十や村人たちが履くわらじは、本物のわらじと同じように編んでいる。小さな編み器も手作りした。本物の藁は繊維が太く硬すぎて、人形サイズに編むことはできない。そのため、より柔らかくしなやかなラフィアという手芸用の素材を使った。全てが一点もののミニチュア作りは、素材を探し、作る方法を模索するところから始めなくてはならない。

 兵十が魚を取るときに使う「びく」も手作業で編んでいる。手間を惜しむのであれば、粘土でそれらしく作ることもできたのかもしれない。しかし川の水に濡れたときのしっとりとした艶感は、やはり本物に近い素材で作られていなければ出ないのだ。

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最終更新:7/26(金) 20:00
CINEMORE

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