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晋平太、母校でラップ授業「ゼロから1に」 生徒、笑顔で体験

7/17(水) 16:12配信

MusicVoice

 ラッパーの晋平太が16日、母校・明星学苑(東京都府中市)でラップの授業をおこなった。TOKYO MXが立ち上げた『ぶっちゃけ TEENS 君のことば プロジェクト』の一環。同プロジェクトのアンバサダーを務める晋平太は「ゼロから1に」をテーマに教鞭をとった。

 MCバトルにも多く参戦し、日本最大のMCバトルで優勝もしている晋平太は音楽活動のかたわら、全国でラップ講座を開くなど日本語ラップの普及促進に尽力。また地方創生活動にも積極的で「レペゼンLOCAL」などとともに取り組んでいる。今回は、その活動に賛同したTOKYO MXが同プロジェクトを立ち上げ、その一環に、ラップ体験を組み込んだ授業が開かれた。

 同プロジェクトの最初の“教室”となったのは東京・国分寺駅を最寄りとする明星学苑。晋平太の母校だ。授業に入る前に、晋平太の当時の恩師が生徒に今回の経緯を説明。それを経て教室に入った晋平太はまずラップを使って自己紹介。そのうえで「自分の事は好きですか?」と生徒に問いかけ、自己実現の欲求などを示したマズローのピラミッドを紹介して「今回の授業を通じて自分の事が好きにならなくても、自分自身を信じてもらうきっかけになったら」とその思いを明かした。

 授業で晋平太は、自分自身に「自信」をつける要素として、自己肯定があるとし、「自己肯定感が上がる時はゼロから1になった時。できないことができるようになった時です」と説明。その例に、初めて自転車に乗れた時などを挙げ「これまでの人生はゼロを1にする経験を積み重ねてきて今があると思う。何度も何度も失敗しても諦めなかった。だから自信を持ったほうがいい」との趣旨を力説し、「ゼロから1の体験をしてもらいたいと思います」として、“ラップ初挑戦”をこの日の授業の課題に挙げた。

 ラップに取り組むにあたっては、まずラップが生まれた背景や歴史などを紐解き、「自分の言い分を伝えるのがラップでもある」とラップの“役割”を説明。更に、4つの自分を知る指標「ジョハリの窓」を紹介して、ラップは自己を知るうえでも重要な役割があるとの趣旨を述べた。

 ラップ体験の第一歩は、自己紹介のリリックをノートにしたためることから。自己紹介の4原則として<1>名前<2>出身<3>特技・好きなこと<4>目標――の4項目に沿って作っていく。その4項目ができたところで次は、その合間に「REAL、RESPECT、REPRESENT、RESILIENCE」にあてはまる事柄を書き足す。そうして出来上がった“自己紹介リリック”を、数人の生徒が発表した。

 流れる曲のビートに乗り、ラップを披露した生徒。三者三様、個性溢れる内容で教室内は盛り上がりを見せた。実際に歌った生徒の一人は「めちゃくちゃ緊張しました。でも楽しかった」と笑顔。積極的に参加する生徒の表情はとても明るかった。

 晋平太は「ラップは自尊感情に良い影響を与えることが研究でも証明されています」と補足。「きょうの授業を通してみんなはゼロから1の体験ができたと思います。俺もゼロから1にすることができた」と満足の表情を浮かべた。

 取材後、記者の取材に応じた晋平太。10代の頃にラップに出会い救われた経験があることから、10代にラップの魅力を教えたいとかねてから強く思っていたという。

 「10代は悩んでいることが多くて、内に抱えていたり。でもそれを吐き出す方法や術、経験がない。ラップはそれに向いている。僕自身も救われたので、もちろん10代だけじゃなくてもできる。でも10代の時にしか言えないものもあると思うので、それを教えたい。少しでも心に刺さってくれていればいいですね」

 これまでに多くの場でラップの魅力を伝えてきた。個人差はあるものの、ラップを学んだ人が「明るくなったり、楽しくなったり」と変わった姿を目の当たりにした。かつての“教え子”を思い浮かべてその事例を紹介した。

 「自分に自信がなくて積極的に発言するタイプではない子がいて。その子は電車マニアで電車の事だったらいくらでもラップが書けることが分かって。それ以来ラップにのめり込んで、電車の細かいことをラップしている。そのことで、彼は電車好きなんだとということをみんなに認知されて。どういうキャラかを分かってもらえるのは大事なことだと思います。そういうことが自己を確立しやすいと思うので」

 ちなみに、“教え子”のなかにはラッパーとして活躍している人もいるという。

 次回の授業は、自身の経験をもとに少年のいじめ反対を訴えたグループ「バース・アンド・メロディ」を題材にする。

 「はじめの一歩を踏み出した段階。みんなに自己紹介ラップを書かさせて、みんなの前で歌ってほしいなというのがあって。もっと踏み込める子は次の段階にきてもらいたい。きょうの授業で『バレエ10年習っているけど、でも嫌なんだよね』と書いた子がいて。それってすごく最高なことで、そこに生まれる『なんで』をストーリーにできたら自分の中でも納得がいくと思うし、それを自分も人にも共有できたらいいなと思います」

 生徒がこの日体験したのは、ラップは身近のもので、自分を見つめることにも、相手に自分を知ってもらうことにも適しているということ。気軽に楽しめ、その「なんで」から曲が生まれていくことだった。

 「その『なんで』がストーリーになって、リズムに合わせて歌えばラップの曲になります。ラップは、自分のストーリーを語る道具だから『誰にでもできるよ』と言ってきています。それに気づいていない人や、知らない人も多いから、それに気づいてもらえたら合点がいくと思う。もちろんそれだけじゃないけどね」

 もしかしたらこの授業を経験した生徒が将来ラッパーになることも? 「ゼロじゃないと思います」。そう語る晋平太の表情は清々しかった。

最終更新:7/17(水) 16:23
MusicVoice

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