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[大弦小弦]どの仕事にも当てはまる金言

7/17(水) 11:35配信

沖縄タイムス

 「ラクダの尻の穴まで探したが、そんな証拠はない」。公開中の米映画「記者たち」の一場面。2003年に米国が始めたイラク戦争前、「イラクに大量破壊兵器が本当にあるのか」と尋ねる記者に、米政府の情報機関職員が真っ向から否定する

▼大統領、副大統領、国防長官は戦争へひた走る。現場が「証拠はない」という情報を上げても、政策決定権者が握りつぶす。逆に、確証の乏しい疑惑を有力紙にリークし、市民を誘導する

▼開戦をいさめる通信社は「裏切り者」と世論の批判を浴びる。孤立する記者に、編集局長が「われわれは、わが子を戦争に取られる者の味方だ。他人の子を戦争に送る側にはつかない」と宣言する。米軍基地を抱える沖縄の記者として、立ち位置を再確認させてもらった

▼公開中の日本映画「新聞記者」も、記者と国家権力が題材。政府が隠ぺいする機密に挑む主人公は、同じく記者だった父の言葉を思い返す。「誰よりも自分を信じ、疑え」

▼都合の悪い事実を調べると、権力側は「誤報になるよ」と揺さぶってくる。信じるに足る取材を重ねたか、問われる

▼つかんだ情報を真実と思い込むと、過ちを犯す。米紙ニューヨーク・タイムズはイラク戦争後、記事が「正確でなかった」と読者に謝罪した。自分への信頼と疑問。どの仕事にも当てはまる金言と思った。(吉田央)

最終更新:7/17(水) 11:35
沖縄タイムス

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