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金正男暗殺事件 検察が突然、罪名変更 「死刑」免れた真相 閉廷後「やりたいことは?」質問の答えは……

7/21(日) 7:00配信

withnews

 金正男(キム・ジョンナム)氏に毒を塗ったとして、殺人罪(死刑)に問われていたベトナム人のドアン・ティ・フォンさん(31)に、判決が下ったのは、エイプリルフールの朝だった。予定されていた審理が端折られ、急に言い渡された判決には「これで裁判に関わる人の時間が節約できる」という驚きの内容も盛り込まれていた。国際社会を揺るがせた暗殺事件、運命の「判決理由」を追った。(朝日新聞国際報道部記者・乗京真知)

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大一番の「異変」

 4月1日、裁判所では被告人質問が予定されていた。フォンが初めて自らの言葉で、裁判官に訴えを届ける機会だ。フォンにとっては死刑を回避できるかどうかの大きな分かれ道だった。

 ところが、朝8時過ぎ、裁判所に護送されてきたフォンに、緊張した様子はなかった。普段は力なく顔を伏せて裁判所に入るところだが、この日は眉をきれいに整えて化粧をしていた。裁判所にはベトナムから父タインさんも駆けつけていて、何らかの「異変」を予感させた。

母国の働きかけ

 開廷後、検察が文書を読み上げると、傍聴席がざわめいた。検察が突然、フォンの罪名を殺人罪(死刑)から罰則がより軽い罪に変更したいと提案したのだ。その刑は、マレーシア刑法の324条。「危険な凶器で傷害を負わせた罪」(最大禁錮10年)だった。

 検察の提案の裏には、ベトナム政府からの強い働きかけがあった。すでに3月11日には、もう1人の実行役のインドネシア人被告がインドネシア政府からの働きかけなどで釈放されており、ベトナム政府も「同じように便宜を」と要請していた。

 ここで注目されるのは、検察が2被告の処遇に差を付けたことだ。インドネシア人被告については「無実ではないが起訴を取り下げる」として釈放したのに対し、フォンについては「空港という公共の場で行われた重大な犯罪」だとして刑罰を求めた。検察はその理由を明かしていないが、フォンはインドネシア人よりも強い証拠が見つかっていて、放免しにくい状況にあったのは確かだ。

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最終更新:7/21(日) 7:00
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