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理想を下げることが、むしろ理想への近道になる。僕がたどり着いた「ふつうの人」のリーダー論

7/18(木) 12:10配信

新R25

リーダーはその名の通り、チームを導いていく人。

ただ、人を引っ張ることが苦手な人がリーダーになったらどうすればいいのでしょうか?

そんな悩みに直面したのは、大企業向けのグループウェアを提供するサイボウズのオウンドメディア「サイボウズ式」編集長・藤村能光さん。

新著『未来のチームの作り方』のなかでは、藤村さんが経験から学んだチームづくりや、新しいリーダーのあり方について語られています。

今回は、同書の内容から一部を抜粋してご紹介。自身を「エースで四番」タイプではなく、「六番で得点圏打率高め」タイプと分析する藤村さんのリーダー論とは?

「ビジョン」を作れないリーダーの開き直り

サイボウズ式の編集長になって最初に苦労したのは、チームとしての新しい理想を掲げることでした。

メディアの立ち上げ時に掲げた「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト」というタグラインは初代編集長が作ったものだったので、自分なりのサイボウズ式を作っていくためにはチームの新しい理想が必要だと考えたのです。

しかし、いくら頭をひねっても、自分の言葉として新しい理想が思い浮かびません。「編集長が代わったからには、新しい理想やビジョンを示す必要がある」。そんなことを思いながらひたすら悶々とする日々。そういうなかで、ある考えが頭をよぎりました。

「僕は、理想やビジョンを考えるのに向いてないんじゃないか?」

初代編集長は、とにかく大きな理想を掲げるのを得意とするビジョナリーな人でした。ゼロから1を作り出せるタイプです。

一方、僕が得意なのは、1を10にするような仕事。枠組み自体をつくることよりも、枠組みのなかでいかに成果を上げ、その枠を広げていくことを考えるのが得意なタイプです。

そのことを自分自身がはっきり認められたとき、「無理に自分の理想を掲げる必要はない」という考えに至りました。

いい意味で諦めがついたのです。

編集長になるにあたってリーダー論のような本をたくさん読みましたが、そこに書かれているリーダー像は、ことごとく僕には当てはまりませんでした。読めば読むほど「こんなの自分には絶対に無理」という思いが募るばかり…。

しかし、同時に「エースで四番」みたいな人間だけがリーダーに相応しいわけではないとも思うようになりました。

たしかに、そういうタイプの人は実力があって目立つのでリーダーに任命されやすいのですが、普通の人とはかけ離れているだけに共感されにくいという側面があります。

僕は、野球チームでいえば「エースで四番」を担えるようなタイプではありません。どちらかといえば、六番で得点圏打率はそこそこ高いようなプレーヤーです。

しかし、チームで戦うことを考えるならば、ホームランを狙うばかりではなく、味方を進塁させるようなプレーも必要になります。

だから、僕は自分の役割をしっかりこなして、かつチームに貢献できるようなリーダーを目指そうと思いました。

その結果、僕は自分の理想を掲げるのではなく、チーム内で出てくるアウトプットを見ながら自分たちなりの方向性を定めていくメディアをつくろうと開き直ったのです。

最初に理想やビジョンを掲げて邁進していく「トップダウン」的な発想ではなく、メンバーから出てきたものを積み重ねて目標達成を目指すという「ボトムアップ」型の方針です。

雑誌などでは、編集長の交代によって誌面のテイストが大きく変わり、売り上げを左右するということもありますが、サイボウズ式は自分たちの主張よりも、読者が何を求めているかを第一に考えて作り続けていくというスタンスのメディアです。

だから僕は、編集長として自分の理想を掲げるよりも、サイボウズの理想をもとに、読者に喜んでもらえる記事を作ることをサイボウズ式の主軸に据えました。

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最終更新:7/18(木) 12:10
新R25

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