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別府市長に「観光で目指す姿」を聞いてきた、「湯~園地」プロジェクトが成功した背景からオーバーツーリズムへの視点まで

7/18(木) 14:20配信

トラベルボイス

温泉を張ったジェットコースターが滑走する衝撃的な動画「100万再生で本当にやります!別府市・湯~園地計画!」で、世間の話題をさらった大分県別府市。公開後72時間で目標を達成し、2017年7月に公費なしでリアルの世界に「湯~園地」を実現した。

一世を風靡した一連のプロジェクトから2年。市民の9割近くが宿泊業や飲食業を含むサービス産業に従事し、名実ともに観光の街である別府市は何を得て、どう変わったのか。立役者である別府市長・長野恭紘氏に、別府市の観光の課題から観光で目指す姿を聞いてきた。

有名観光地から「楽しませてくれる街」へ

「湯~園地プロジェクトにはもともと、市民の気持ちを盛り上げたいという意図もあった」と、長野氏は説明する。

もちろん本来は別府の魅力を打ち出し、誘客に繋げるプロモーション企画だ。圧倒的な湯量を持つ別府の資産を活用しながら、他とは違う面白いものを市民と一緒に作り上げようというのが、企画立案時の方向性だった。しかし、その作業の最中に熊本地震(2016年4月)が発生。別府も大きなダメージを受けたことから、単なるプロモーションではなく、より市民にも熱を伝えていく内容に寄せていったのだという。

そこで長野氏が選んだのが、「湯~園地」のプロジェクト。いくつか出た企画案の中で、関係者が最も「これはダメだ」「できない」と言ったものを、あえて選んだ。

「誰もが無理というものを、100万回の再生で実現することができたら、市民も市外の人もみんながワクワクできる。温泉に浸かりながら遊園地を楽しめるなんて、そんな好奇心を煽るものはない。だからこそあの時、皆さんはこぞって『いま、再生回数がどれくらいか』と注目していただいたのだと思う」。

その結果は、周知の通りだ。

簡単におさらいすると、動画公開から72時間で100万再生を達成し、クラウドファンディング等で約9000万円の資金調達に成功。日本のみならず、海外50か国地域でもニュース等で放映され、広告換算費は約100億円、リアルの「湯~園地」開催に伴う経済波及効果は約1億8000万円と試算された。

しかし長野氏は、「確かに世界に別府を知ってもらうきっかけになった」と評価しつつも、数値に表れていない部分の効果を重視する。

「今回のプロジェクトで一番変わったのは、別府のイメージ。何か面白いことをやる街、元気でエキサイティングな街と捉える人が増えたと思う。市民も別府に対する愛着が増して、市民であることを誇らしく思う人が増えた。そこを狙っていたので、本当にうれしい」。

そして長野氏はこうも話す。「住民が街に誇りを持ち、自分たちの強みを理解して、それをどのように表に出していくかを皆と共有して考える。それこそが地方創生だと思う」。

「湯~園地」以降も、震災支援に対して温泉の湯を全国に届ける「別府温泉の恩返し」キャンペーンや、「別府に来たらどんなにいい人も地獄行き」のキャッチコピー、別府市がキャンプ地となるラグビーW杯に向けて温泉とラグビーを融合させたプロモーション動画など、ユニークな発信を絶えず続けている。こうした取り組みが内外の別府に対するイメージの変化を促し、市内に新たな風が吹き始めたという。

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最終更新:7/18(木) 14:20
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