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別府市長に「観光で目指す姿」を聞いてきた、「湯~園地」プロジェクトが成功した背景からオーバーツーリズムへの視点まで

7/18(木) 14:20配信

トラベルボイス

課題がなかったのが大きな課題

例えば市内では、クラウドファンディングを活用した企画や起業をしようとする動きが増えてきた。熊本地震で被災した共同浴場「梅園温泉」をコミュニティの力で復活させたのも、その一つ。湯~園地の刺激で、「お金がないとあきらめるのではなく、まずは自分たちでできることをしようと考える市民が増えた」という。

さらに、「賑やかで楽しそうな町に人が集まってくる」と長野氏。新しい可能性を感じた人が新事業を立ち上げたり、就学のために別府に住んだ学生が起業して、卒業後も別府に残るなど、外部からの流入も増えた。別府八湯の一つ鉄輪温泉では、後継者がいない旅館を改修したシェアオフィスがオープンし、新たな休暇スタイル「ワーケーション」の場所としてもアピールする。市内と市外から起こっている街の活性化を、長野氏は嬉しそうに話す。

市民の約9割がサービス業に従事する別府では、観光の重要性が非常に高い。観光での課題をうかがうと長野氏は、従来の手法でも相応の観光誘致ができていた状況を説明。タビナカ対応といった現実的な課題はあるとしながらも、全体的には「観光ではある意味、課題がなかった。それが大きな課題といえるかもしれない」との考えも示す。

団体旅行から個人旅行、物見遊山から体験への流れの中で、別府市の観光は “地獄めぐり”などの定番観光に留まらず、地元で人気の食堂や“ジモセン”と呼ばれる地域の人々が管理する共同浴場に、日本人はもとより訪日外国人の観光客が訪れることも増えてきた。その一方、今夏には別府市として初の国際ホテルチェーンのラグジュアリーブランド「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」も開業。今後は従来の別府の良さを保ちつつも、生活文化からハイエンドのサービスまで幅広く対応し、「真の意味での洗練された観光都市に生まれ変わっていく必要がある」と指摘する。

その上で、「こうした変化に対応するためには、やっぱり外からの目線が大事。それを自分たちにブレンドしていく。いま、まさにそんな取り組みが始まっている」と長野氏。自らが変わろうとする意識を持ち、広い視野で観光や街を作ろうという主体的な動きが広まることが、別府を新たなステージに引き上げていく。

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最終更新:7/18(木) 14:20
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