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『君たちはどう生きるか』200万部ヒットで見えた漫画ビジネスの“次の一手”

7/19(金) 11:31配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

初めから1~2万部は売れる作家に育てる

10年間の講談社での編集者経験から「編集者が組める・組みたいと思う条件」はよくわかっている、という佐渡島さん。

「漫画でも小説でも、新人の初版は5000~6000部くらい。それだと人件費などを考えるとトントンだから、やっぱり1万部、2万部は売れる企画に関わりたいって気持ちを、出版社の編集者だったら持つだろうなと」

目安は、出版社に持ち込んだ時点ですでに「1~2万部の部数は見込める」作家。

数年かけてコルクが新人作家にファンコミュニティを1万人規模にまで育てる過程を担い、100万部単位の企画・宣伝は出版社と手を組む ── これが、佐渡島さんが考える新時代の“ヒットの法則”だ。

ファンとの関係性を築く上で必要となるのが、グッズのように購入するリアルな本だ、と佐渡島さんはいう。ここで考え出されたのが、冒頭に出てきたインディーズレーベル、「コルクインディーズ」だというわけだ。

コルクインディーズでは、市場には流通しない限定版の本の出版を扱う。

それらを青山ブックセンター・TSUTAYA BOOK STORE 五反田店・渋谷のBOOK LAB TOKYOといったいくつかの選ばれた書店に置き、「漫画家のライブハウス」として積極的にサイン会や交流会を開く。

佐渡島さんは、それをインディーズバンドと熱心なファンに例える。

たった10人でも、熱心なファンが毎日のように作品と接触できる機会があれば、その熱は必ず外へも波及し、作家を「メジャー」へと押し上げるはずだ ── 佐渡島さんはそう読んでいる。

出版業界はハードランディング

こうした新しい取り組みの背景には、漫画業界・ひいては出版業界に対する強い危機感がある。

出版科学研究所によると、2018年の出版市場規模は、前年比3%減の1兆5400億円(電子版と紙を合わせたもの)。紙の売り上げは、ピークだった1996年の半分をついに切った。

他方では、作家エージェンシーという新しい出版のあり方も徐々に広まりつつある。その一例が、『とある魔術の禁書目録』や『ソードアート・オンライン』などの編集者としても知られる元・電撃文庫の三木一馬さんが立ち上げた「ストレートエッジ」だ。

また、YouTubeベースで漫画を発表するチャンネルも増えており、漫画とそのほかのコンテンツの境目は、今までになく曖昧になりつつある。

その中でコルクが提供できる価値はなんなのかと問うと、まずは生き残ること ── というシビアな答えが返ってきた。

「出版社から出てきた人間が出版社を更新する方が、ソフトランディングが起きて多くの人を幸せにするんじゃないかなと僕は思ってやってきた。けれど、ネットからどんどんこういった人たちが出てきていて 、結局世の中の変化はハードランディングでしか変わらないんじゃないかと」

「そのハードランディングの時に僕らは死なないようにしなきゃいけない、という危機感・緊張感をもって日々、生きています」

コルクが開拓してきた「作家エージェント」というビジネスモデルと、新たに発表した独立系の「インディーズレーベル」という考え方。これらが業界のスタンダードになる日は、もうじき来るのだろうか。

(文・写真、西山里緒)

西山 里緒

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最終更新:7/19(金) 23:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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