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シリコンバレー企業の"やってみよう"精神を住民がサポートする理由

7/19(金) 11:06配信

マイナビニュース

マウンテンビューのシビックセンターで、7月16日にテクノロジーショーケースが開催された。市と商業会議所が主催し、同市に拠点を置くテクノロジー関連の会社が製品やプロジェクトを紹介する。今年で5回目を迎えたイベントだ。同市にはGoogleとLinkedInの本社があり、IT企業の多くがオフィスを設け、様々なスタートアップが存在する。

【写真】普段はスポーティなデザインと高級感で勝負しているBESVも、テクノロジーショーケースではチャイルドシートを乗せた実用性をアピール

このイベントが面白いのは、会場が屋外のテントにブースを設けたファーマーズマーケットのようなオープンエア形式で、誰でも気軽に立ち寄れる無料イベントであること。テクノロジーショーケースというと、同業者の交流または異分野交流で知見を広めたりアイディアを得る場で、専門的な会話が飛び交ったり、またはビジネスの場になっている。ところが、マウンテンビュー市のシビックセンターは駅から歩いて5分程度のダウンタウンの中心にあり、裏には公立図書館と公園があって、お昼前後はいつも夏休み中の子供達を連れた家族で賑わっている。だから、来場者のほとんどが一般の人達。屋台も出ていて、テクノロジーショーケースなのに"お祭り"のような雰囲気なのだ。

3~4年前はモバイル、昨年はVRとロボティクスの出展が目立っていたが、今年は、ハイエンドの電動バイクや電動スクーター (BESV、Blue Otter)、自動運転カー (Nuro、Waymo)、配達ロボット (Starship)、AIベースのモバイルコネクティビティネットワーク (RedLINES)、障害を持つ人達のための職場のアクセシビリティ (LinkedIn)、VRによるデザイン/プレゼンテーション (Pomodoro Architects)、ミーティングプラットフォーム (BlueJeans)など、多種多様だ。今年の会場の雰囲気を一言で説明すると「スマートシティの実現」だ。主催者からお題が出されていたわけではないので、それが今のシリコンバレーの傾向なのだろう。

来場者である一般の人達が身近に感じられる製品やテクノロジーは多くはない。今年は昨年より少なくなった印象である。だからといって、一般の人達が関心を示さないかというと、そんなことはない。説明やデモを行う側が一般の人達にも伝わるように工夫すれば、興味を持ってもらえる。

例えば、電動スクーター。試乗して「乗りやすい」と思ってもらえても、それだけで実際の通勤に導入する人は少ない。そこで、マウンテンビューからサンフランシスコに通勤するとして、通勤時間がどのくらい変わるか、2つの市を結ぶ鉄道Caltrainが通勤時間帯に自転車を乗せられる車両をたくさん走らせていること、道交法に違反しない使い方など、あとは購入するだけでアーリーアダプターになれるような情報を提供したり、またはマイクロモビリティを活用できる方法とその価値を説明する。

動物の肉を使わない植物原料の肉にしても、試食できる機会だけだったら「ホンモノの肉みたいにジューシー」と思ってもらえるだけで終わってしまう。だが、他のブースで温室効果ガス排出削減の大切さを意識してもらえるテクノロジーショーケースだから、将来の食糧難の可能性や現在の肉の流通システムが環境に与える影響を緩和する効果をうまく伝えることで「植物原料の肉はベジタリアンやヴィーガンのための食材」という認識を変えられる。

人々が触れたことがない全く新しいテクノロジーや製品はニワトリとタマゴに陥りがちだ。でも、ここでは時に驚くようなことが生活の中で起こる。2014年に公道でGoogleの自動運転カーをマウンテンビューのあちこちで見かけるようになった時、突然始まった実証テストに文句一つ言わない住民の理解に驚かされたが、単にここがシリコンバレーだからというわけではないだろう。テクノロジーショーケースのような取り組みを通じて住民も目標を共有しているから、自動運転カーやスマートシティに関わるようなテストを公共の場で行え、新しい製品やサービスを多くの人が試してくれる。

Yoichi Yamashita

最終更新:7/19(金) 11:06
マイナビニュース

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