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なぜ日本で電子申告が普及しない? 「e-Tax」の使いづらさと、納税者のリテラシー

7/19(金) 10:55配信

税理士ドットコム

確定申告における国税電子申告・納税システム「e-Tax」の普及が進んできたが、使いづらいこともあり、日本は電子納税の後進国と言われている。

2017年の時点で、確定申告におけるICTの利用率は65.3%に達しているが、申告書の作成だけにe-Taxを使い、提出は書面でおこなうものも多いため、自宅から電子申告を完結させる人は、全体の2割程度にとどまっている(国税庁資料より)。

国税庁は2019年から、スマホで確定申告書の作成を可能にするなど、対策を講じてきたが、状況次第で、「PC版をご利用ください」との表示が出るなど、不満の声があがった。

そこで今回、税理士にメールアンケートを実施し、電子納税の普及の見通しについて聞いた。

●「使い勝手が悪い」「必要性が低い」という仕組みへの批判

回答した税理士は26人。「すべてをICTで完結する電子申告・納税は普及すると思いますか?」という質問に対して、「はい」が34.6%、「いいえ」が38.5%、「わからない」が26.9%で、意見が割れた。

税理士から、否定的なコメントとして、「国税庁の電子申告ソフトは使い勝手が悪い」「セキュリティーが十分ではない」「マイナンバーカードの普及が進まないため。必要性が低い」と、仕組みに対する批判や、「自宅にパソコンを持っていないという人も見受けられるため、自宅からの電子申告は納税者にとってハードルが高い」「ICTが苦手な人もいるので、かなりの時間がかかると思う」といった、利用者のICTリテラシーを問題視する意見も目立った。

また、「個人に限れば、せいぜい年1回の確定申告の時しか利用しない電子申告を利用するメリットが感じられるとは思えないから(税理士関与のある納税者は別)。一方、大法人は電子申告が義務化、中小法人の多くは税理士経由で電子申告するので、法人の電子申告は100%に近づくはず」と個人と法人の違いを指摘する意見もあった。

●そもそも税金について知らなさすぎる現状をどう変えるか

さらに、「電子申告・納税の普及に向けて、何が課題になると思いますか?」と尋ねたところ、

「実際に電子申告をするとセキュリティ強化の面から様々な場面でIDやパスワードを要求される。パスワードは3年ごとに変更しなければならないし、IDやパスワードを管理するのは納税者にとって非常に煩雑であり電子申告のハードルを上げている要素といえる。簡単に本人認証を行えるシステムを導入する必要があると思うが、なりすましを防止しなければならないなどのセキュリティ面の要請もあるのでこのような矛盾した問題を上手く解決する方法を提案できなければ電子申告・納税の普及は難しいように思う」

「UX・UIの改善、もっと簡単に」「導入のめんどくささ」など、システム面の改善を求める声が出た。

また、「個人情報の保護に関して、国民が行政を信用していないこと」「そもそも、『フリーランス・自営業になると、自分で申告しなければならない。』ということを知らない人も、多い。給与所得者でも、「何が控除されているのか、わからない」という人が、多い。自ら学ばないと、誰も教えてくれない状態である。電子申告による納税を普及させるには、学校の段階での具体的な租税教育が必要だと思う」など国民の意識の変革を求める声も目立った。

結局のところ、仕組みとしての不十分さと、国民の意識の問題の両面があるのかもしれない。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:7/19(金) 10:56
税理士ドットコム

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