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ジョン・ヒューズ『フェリスはある朝突然に』シカゴへの愛と映画への夢が、永遠に輝く一日を作り出す

7/19(金) 17:00配信

CINEMORE

深く愛され、引用され続けるジョン・ヒューズ作品

 2016年の『デッドプール』1作目のエンドロールの途中で、バスローブ姿のデッドプールが観客に向かって「まだここにいたの? 早く帰りなよ」と、とぼけた感じで話し始める。これは、映画のエンドロールに映像を挿入した『フェリスはある朝突然に』(86)を、そのまんまパロったものだ。『デッドプール』の翌年の『スパイダーマン:ホームカミング』でも、スパイダーマンによる敵の追跡シークエンスで引用されるのが『フェリス~』だった。

 『ピッチ・パーフェクト』(12)や『バンブルビー』(18)が、『ブレックファスト・クラブ』(85)へオマージュを捧げたように、2009年に亡くなったジョン・ヒューズ監督作品、とくに全8作のうち、1986年の『フェリスはある朝突然に』までの最初の4作は、時代を超えて偏愛されている。元大統領夫人のバーバラ・ブッシュが、1990年のウェルズリー大学の卒業式訓示でフェリスのセリフを引用し、拍手喝采を受けるなど、『フェリス』はアメリカでは「一般常識」的な作品でもあるのだ。

 高校3年生のフェリス・ビューラーが学校をズル休みして、家族や教師を手玉にとりながら友人たちとシカゴの街で遊びまくるという、あまりにシンプルな物語。ジョン・ヒューズは、この脚本を6日間で一気に書き上げたという。ビューラーというのは、ヒューズの生涯の親友であったバート・ビューラーからとられ、ビューラー家の住所は、ヒューズが子供時代に住んでいた場所と同じに。さらにフェリスと同じく学校を休んでシカゴの街に繰り出すキャメロンも、ヒューズの高校時代の友人がモデルだ。

 フェリスの部屋のデザインも、ヒューズが十代を過ごした部屋から再現された。一貫性のないグッズが乱雑に置かれており、これはフェリスの心を表現したそう。壁にはシンプル・マインズの「Don’t You Forget about Me」のポスターが飾られているが、これは『ブレックファスト・クラブ』(85)の冒頭とエンディングで使われた曲。フェリスが学校にいるガールフレンドのスローンを車で迎えるシーンは、ヒューズの母校であるグレンブルック・ノース・ハイスクールで撮影された。劇中でフェリスの通う高校の名は、シャーマー・ハイスクールで、これはすでに『すてきな片想い』(84)、『ときめきサイエンス』(85)、『ブレックファスト・クラブ』の前3作でも登場していた。ちなみに「シャーマー(Shermer)」はシカゴ北部の郊外とされる場所だが、ヒューズが自作のために創作した架空の町だ。

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最終更新:7/19(金) 17:00
CINEMORE

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