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巨人独走で大逆転劇も起こり得ない CSはもうやめるべき

7/20(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【権藤博の「奔放主義」】

 巨人が独走状態に入った。リーグの貯金を独り占めにし、2位とのゲーム差は10。このまま逃げ切るとの見方が多いが、追われるものの苦しさというのはある。

 横浜が38年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した1998年、監督だった私もそれを味わった。6月20日に首位に立ち、1カ月後には2位とのゲーム差が5.5に広がった。それまでは気にも留めていなかった後続の足音が、差が広がったことでかえって気になり始めた。最終的にはペナントを手にすることができたものの、常に野球帽の内側に忍ばせていた、「無理せず、急がず、はみ出さず、自分らしく、淡々と」と記した小さな紙切れを何度も見返した。尊敬する天台宗の名僧・酒井雄哉師の言葉をアレンジしたもので、焦るな、怯むなと自分に言い聞かせたものだった。

 過去の例を見ても、96年に広島が巨人に11.5ゲーム差をひっくり返され、98年には日本ハムが西武に10ゲーム差、08年は阪神が巨人に13ゲーム差、11年にはヤクルトが中日に11.5ゲーム差、16年にソフトバンクが日本ハムに11.5ゲーム差を逆転されている。当時の監督も逃げる苦しさを味わっただろう。

 だから、今季の巨人も――と言いたいところだが、恐らくそうはならない。昨年まで3連覇を果たした広島も18年は2位に7ゲーム、17年は10ゲーム、16年はなんと17.5ゲームの大差をつけ、逃げ切った。前述のようなペナントレースの大逆転劇は、この先ますます起こり得なくなると私は見ている。その一番の根拠はクライマックスシリーズ(CS)が完全に定着してしまったことだ。

■予選通過なら万々歳

 かつては、12球団すべてが優勝のみを目指し、2位も6位も一緒との思いで戦った。今もペナント制覇を目標にするのは一緒だろうが、昨年までの広島や今年の巨人のような独走チームが出てきた場合、必死になって追いかける必要がなくなった。3位までに入れば、“敗者復活”の権利が与えられる。借金を抱え、本来なら予選落ち、という球団にも日本一になるチャンスは残されるわけだ。昔は2位も3位も敗者で、メディアには相手にもされず、親会社も当然のことながら評価などしてくれなかったが、CSが導入された今は3位に入れば及第点、メディアも親会社も「よくやった」と予選通過で万々歳という雰囲気になる。

 だから、首脳陣も早々と優勝を諦め、3位までに入ればいいやと切り替えてしまう。こうなると2位以下のチームが潰し合い、首位球団はいよいよ独走という構図になるわけだ。そんなペナントレースが果たして本当に面白いのか。例えば巨人がこのまま2位以下を大きく引き離して優勝しても、CSというたった数試合の短期決戦で日本シリーズ進出の権利を失う可能性があるのも気の毒だ。ペナントレースの重みもなにもあったもんじゃない。CSが導入されてセは今年で13年目。もうやめるべきだと私は思っている。

(権藤博/野球評論家)

最終更新:7/20(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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