ここから本文です

『トイ・ストーリー4』は、生きづらさを抱える大人への“処方箋”。物語が伝える、自分を愛するためのヒントとは。

7/20(土) 10:20配信

ハフポスト日本版

7月12日に全国で公開された、『トイ・ストーリー4』。

7月16日に発表された最新の映画観客動員ランキングでは、初登場で首位を獲得。興行収入はすでに28億円を突破し、最終的な興行収入が255億円となった2014年公開の『アナと雪の女王』の公開3日間のオープニング記録も上回った。

9年前に公開された前作の『トイ・ストーリー3』は、アカデミー賞長編アニメーション賞を含む2部門を受賞した。

物語はそれをもって“きれいに完結した”と感じていたので、筆者は正直、この最新作に何を期待して観るべきか、観る前は分からなかった。

それは、30歳である私自身が『トイ・ストーリー』という物語と共に成長してきたからこそでもあったと思う。

しかし、観た今ならばはっきりと言える。

最新作は、「日々葛藤を抱えながら生きる、“大人”こそ観るべきアニメーションである」と。

その理由を、3つのポイントに絞って紹介したい。【小笠原 遥/ハフポスト日本版】

※なお、ここから先はストーリーの「ネタバレ」を一部含んでいます。

《1》“大人”だからこそ、今のウッディに感情移入できる

主人公でカウボーイ人形のウッディは、長年自分を愛してくれた持ち主・アンディとの別れを経験し、彼から譲られる形で少女・ボニーが新たな持ち主になっていた。

日本では1995年に初めて公開された『トイ・ストーリー』シリーズ。

おもちゃの視点から日常が描かれる中で大切にされてきたのは、“おもちゃにとって大切なことは子供のそばにいること”という考え。この概念は、最新作の序盤では変わっておらず、ウッディもそれが自分の使命だと、信じて疑わない。

しかし今作では、物語におけるウッディの立ち位置が大きく変わった。

ウッディはボニーのもとではもはや遊び相手に選ばれず、クローゼットの奥に追いやられる日々が続き、次第に自分の“アイデンティティ”を見失っていく。

これまで「誰かに必要とされること」を生きがいとしてきたのに、全く需要がなくなってしまったことへの喪失感が、ウッディの表情から伝わってきた。

仕事や恋愛、そのほか複雑に絡む人間関係...。

日常生活に置き換えて考えてみれば、「誰かに必要とされなくなる瞬間」はほとんど誰しもが経験する。

筆者の私も、まだ30年しか生きていなくても、過去を振り返ればそんな経験はいくつもある。

打ち込んできたスポーツでは怪我をしたことがきっかけに急にチームに必要とされなくなったと感じたことがあったし、長年交際した相手からは 「別に好きな人ができた」と突然言われて振られ、担当していた仕事を何の説明もなしに外されたこともあった。

そんな瞬間は、ある日突然やってきたりする。

ただ、人生において大切なのは、一度喪失感を感じた後に新たな生きがいや存在理由をどう自分で見いだせるかどうか、ということではないだろうか?

本作は、その方法をウッディというキャラクターを通して我々に教えてくれているように思う。

だからこそ、愛されなくなり自分の存在意義を必死に探すウッディの姿に、大人たちが感情移入できるのだろう。

そして、そのウッディの新たなアイデンティティを探す旅のきっかけを作ったのが、今回新たにシリーズに登場した「フォーキー」というキャラクターだった。

1/4ページ

最終更新:7/20(土) 22:18
ハフポスト日本版

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事